第四十六話 ミクちゃんの天然接客が、大人気になりました。
ミクちゃんがオスティウムで働き始めて一週間が経った。
最初の日、ミクちゃんはお客様にオムライスを運びながら言った。
「お、お待たせしましたぁ……ど、どうぞぅ」
常連のおじさんが少し笑った。
「どうぞぅって何だ」
「す、すみませんっ! 正しくは……ええと……」
ミクちゃんがあたふたし始めた。
あたしが横から助けた。
「お待たせしました、ご主人様。ごゆっくりどうぞ」
「そ、そうですっ。それですっ。す、すみませんっ」
ミクちゃんが深くお辞儀した。
おじさんが声を上げて笑った。
「いや、いいんだよ。なんか、可愛かった」
「か、可愛い……ですか?」
「うん。また『どうぞぅ』って言ってくれ」
「え、えええっ!?」
その日から、ミクちゃんの「どうぞぅ」はオスティウムの名物になった。
常連のお客様たちが「今日もどうぞぅを聞けた」と嬉しそうにしていた。
閉店後、ミクちゃんが落ち込んだ顔で言った。
「マミさん、あたし、ちゃんとした接客できてないですよねぇ」
「そんなことないよ。みんな喜んでるじゃない」
「でもっ、正しい言葉が出てこなくてっ」
「ミクちゃん」
「はいっ」
「接客で一番大事なのは、お客様を笑顔にすることだよ。ミクちゃんは毎日それができてる」
ミクちゃんが少し、目を赤くした。
「……マミさん」
「うん」
「ありがとうございますぅ」
今夜のオスティウムに、また温かいものが増えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
ミクちゃんの「どうぞぅ」、名物になりましたね(笑)
接客で一番大事なことをマミが教えてくれる場面、好きです。
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