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第四十話 黒のコアが、封じられました。

マリー様が受け取った黒のコアは、不安定な状態だった。


ルネ様が使いかけていたせいで、黒い光が漏れ始めていた。


「このままでは、危ない」


アゼルが静かに言った。


「封じる方法を、知っている」


ユージィン様が言った。


「どういう方法だ」


「強大な魔力で包み込んで、内側から押さえつける。英雄が昔使った方法だ」


「それは」


「命がけになる可能性がある。でも」


アゼルがあたしを見た。


「……マミ、少し離れてくれ」


「嫌だ」


「危険だ」


「だから離れたくない」


「マミ」


「アゼル、一人でやろうとしてる?」


「……俺にしかできない」


「あたしにできることはない?」


アゼルが少し間を置いてから、答えた。


「……そばにいてくれ」


「それだけ?」


「……それが一番、力になる」


あたしは少し目が熱くなった。


「わかった。そばにいる」


アゼルが黒のコアを両手で持った。


青白い魔力が、アゼルの手から広がった。


黒い光と、青白い光がぶつかり合った。


お店の中が、静かになった。


ジャン様が、マリー様が、ユージィン様が、アンリ様が、ルネ様が、みんながアゼルを見ていた。


アゼルの体が、少し光り始めた。


金色だった。


あたしは息をのんだ。


前にアゼルが話していた。


広場の英雄の像。


アゼルが言っていた「昔、守り切れなかったことがある」という言葉。


もしかして、アゼルは。


光が強くなった。


黒いコアの光が、少しずつ弱くなっていった。


一分。


二分。


三分。


黒い光が、消えた。


アゼルが静かに立っていた。


手の中のコアは、ただの黒い石になっていた。


「……封じた」


あたしはアゼルに駆け寄った。


「大丈夫?」


「……大丈夫だ」


「怪我はない?」


「ない」


「本当に?」


「本当に」


あたしはアゼルをぎゅっと抱きしめた。


アゼルが少し驚いた気配がした。


でも、静かに抱きしめ返してくれた。


「……大丈夫だ、マミ」


「よかった」


「泣いてるか?」


「泣いてない」


「……目が赤い」


「泣いてない」


アゼルが小さく笑った。


マリー様が静かに言った。


「……アゼル、あなた」


「はい」


「英雄の血を引いているの?」


アゼルが少し間を置いてから、答えた。


「……遠い昔に、英雄の力がこの血に流れているらしい。それだけだ」


「それだけって」


「今の俺は料理人だ。英雄でも何でもない」


マリー様が少し笑った。


「……相変わらずね」


「はい」


ユージィン様が静かに言った。


「黒のコアは、城に戻す。二度と使えないように処理する」


「よろしくお願いします」


「アゼル、ありがとう」


「……いえ」


ルネ様が、静かに頭を下げた。


「……申し訳ありませんでした」


アゼルが静かに答えた。


「……俺こそ、長い間放っておいて、すまなかった」


ルネ様が、少し目を赤くした。


今夜の廃屋は、静かだった。


でも、終わった夜だった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

黒のコアが封じられました!

アゼルに抱きついてしまったマミ……「泣いてない」は通じませんよね(笑)

英雄の血を引くアゼル。でも「今の俺は料理人だ」という言葉が一番アゼルらしかったです。

次回、事件の後始末と、街への影響が描かれます。

面白いと思っていただけたら、ぜひ★評価とブックマークをよろしくお願いします!

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