第三十八話 黒のコアの、持ち主がわかりました。
翌日、ジャン様が来た。
いつもより早い時間だった。
表情が、いつもより険しかった。
「アゼルさん、少し話がある」
「……はい」
二人でカウンターの端に移動した。
あたしは少し離れたところで、でも聞こえる距離にいた。
「黒のコアを持ち出したのは、ルネだ」
あたしは息をのんだ。
ルネ様。
四銃士の一人だ。
「……わかったのか」
「昨日、城の兵士から話を聞いた。ルネが女王様の保管庫に近づいていたという情報がある」
「ルネは、今どこに?」
「わからない。ただ、魔物の動きと連動しているなら、街の近くにいると思う」
アゼルが静かに言った。
「……ルネは、俺を恨んでいる」
「ああ。あなたが四銃士を辞めてから、ずっと」
「俺のせいで、チームのバランスが崩れたと言っていた」
「そうだ」
アゼルが少し間を置いてから、言った。
「……ルネと、話せると思うか」
ジャン様が首を振った。
「難しい。ルネは追い詰められている。コアを使おうとしているなら、もう後戻りできないと思っている可能性がある」
「それでも、話す」
「アゼルさん」
「俺がいなくなったことで、ルネが壊れたなら。俺に責任がある」
「……無謀だ」
「わかってる。でも、やらないといけない」
あたしが前に出た。
「あたしも行く」
「マミ」
「一人じゃダメって言った。一緒に行く」
「危険だ」
「わかってる。でも、一人よりも二人の方が、ルネ様の話を聞いてもらえるかもしれない」
「……どういう意味だ」
「ルネ様は四銃士を守りたかったんでしょ。アゼルがいなくなって、崩れてしまったから。でも、今のアゼルを見たら、わかるかもしれない。アゼルが料理人として生きていることの意味を」
アゼルはしばらくあたしを見ていた。
ジャン様が静かに言った。
「……マミの言う通りかもしれない」
「ジャン様」
「俺も行く。三人で話す」
「……よろしくお願いします」
その夜、三人で作戦を立てた。
マリー様とユージィン様も加わって、五人で話し合った。
「ルネを見つけるのは俺とジャンがやる」
「アンリにも連絡した」
「アンリも来てくれるか」
「ああ。ルネとは一番長い仲間だから」
「わかった」
「マミとアゼルは、お店を開けていてくれ」
あたしは少し驚いた。
「お店を?」
「ルネを説得するためには、このお店の存在が必要だと思う。アゼルが料理人として生きている証拠として」
「……なるほど」
「開けていてくれ。いつも通りに」
「わかった」
「任せた」
今夜のオスティウムは、戦いの前夜だった。
でも、いつも通り温かかった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
黒のコアの持ち主はルネ様でした。
アゼルの過去が、ここで最大の問題になってきましたね。
「一緒に行く」というマミ、頼もしいです。
次回、ルネ様との対話が始まります。
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