表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/70

第三十六話 不穏な噂が、聞こえてきました。

始まりは、小さな違和感からだった。


ギルドの常連さんが、少し暗い顔で来た。


「マミちゃん、ちょっといいか」


「どうしましたか?」


「最近、街の外で変なことが起きてるって話を聞いた」


「変なこと、というのは?」


「魔物の動きがおかしい。いつも出ない場所に出るようになってる」


あたしは少し顔を引き締めた。


「危ないですか?」


「今のところは大丈夫だ。でも、何かの予兆かもしれない」


「ギルドは動いてますか?」


「ああ、調査中だ。ただ、原因がわからない」


「わかりました。教えてくれてありがとうございます」


常連さんが帰った後、アゼルに話した。


アゼルは少し、目を細めた。


「……魔物の動きがおかしい、か」


「何か知ってる?」


「……少し、気になることがある」


「何?」


「黒のコアという魔力の塊がある。それが近くにあると、魔物が影響を受けることがある」


あたしは少し驚いた。


「黒のコアって、前に話してた?」


「……まだ話していなかったかもしれない」


「どういうもの?」


アゼルが少し間を置いてから、答えた。


「……強大な魔力を秘めた宝石だ。扱い方を間違えると、周囲の魔物を狂わせる。最悪の場合、広範囲を消し去る力がある」


あたしは少し背筋が冷えた。


「……そんなものが近くに?」


「わからない。でも、魔物の動きがおかしいなら、可能性はある」


「どこにあるの?」


「……以前、女王様が保管していると聞いた」


あたしは少し考えた。


「女王様が動き始めたと、ユージィン様が言ってたね」


「ああ。女王様がそれを使おうとしているなら、危ない」


「どうすればいい?」


アゼルは少し間を置いてから、言った。


「……まず、ユージィン様に話す。それからマリーにも」


「今日?」


「今日」


「わかった」


その夜、ユージィン様とマリー様を呼んだ。


四人でカウンターに集まった。


アゼルが話した。


黒のコアのこと。魔物の動きのこと。


ユージィン様の顔が、少し曇った。


「……知っている。母上が保管しているものだ」


「使おうとしていますか」


「……まだわからない。でも、可能性はある」


マリー様が静かに言った。


「母上は、何のためにそれを使うの」


「……力を示すためだと思う。他国への牽制か、あるいは」


ユージィン様が少し間を置いてから続けた。


「……この街への、警告か」


あたしは少し考えてから、聞いた。


「対策はありますか?」


ユージィン様が静かに答えた。


「……ある。ただ、時間がかかる」


「わかりました。何でも手伝います」


「マミたちにできることは、今まで通りにいることだ」


「今まで通り?」


「このお店が賑やかでいること。街の人たちが笑っていること。それが、一番の答えだ」


あたしはアゼルを見た。


アゼルがうなずいた。


「……いつも通りの料理を出す」


「ありがとう、アゼル」


「両方だな」


「うん、両方」


今夜のオスティウムは、少し緊張していた。


でも、温かかった。


嵐が来るとしても。


このお店は、このお店のままでいる。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

第4章が始まりました。黒のコアという新たな脅威が近づいてきています。

「今まで通りにいること」という答え、アゼルらしいですね。

次回、事態が少しずつ動き始めます。

面白いと思っていただけたら、ぜひ★評価とブックマークをよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ