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第三十二話 新しいメニューを、また考えました。

「ねえアゼル、ホットケーキって作れると思う?」


朝の仕込み中に聞くと、アゼルが首を傾けた。


「ホットケーキ?」


「小麦粉と卵とミルクと砂糖を混ぜて焼く、ふわふわのお菓子」


「……それなら材料は全部ある」


「ふわふわにするのが難しいんだけど、この世界のミルクが濃いから、うまくいくかもしれないと思って」


アゼルが少し考えてから、言った。


「……試してみよう」


「やった」


「ただ、ふわふわにするには、卵の白身を別に泡立てた方がいい」


「そう! 知ってるの?」


「料理の基本だ」


「じゃあアゼルなら絶対できる」


「……やってみないとわからない」


「できる。絶対できる」


アゼルの耳が少し赤くなった。


試作が始まった。


卵の白身を泡立てて、黄身と小麦粉とミルクと砂糖を混ぜたものと合わせる。


フライパンで焼く。


蓋をして、蒸らす。


できあがったホットケーキは、ふわふわだった。


「……これは」


アゼルが一口食べた。


沈黙。


「うまいか?」


「……うまい。軽くて、甘くて、でも素朴で」


「でしょ! 上にバターとシロップをかけると、もっと美味しくなるよ」


「バターはあるが、シロップは」


「甘く煮た果物でも代わりになる。この世界の赤い果物、砂糖で煮たら絶対美味しい」


アゼルがまた少し考えた。


「……やってみる」


赤い果物を砂糖で煮たシロップは、甘くて少し酸っぱくて、ホットケーキと完璧に合った。


「……これ、朝のメニューにもできるな」


「朝営業、考えてみようか」


「マミはすぐ広げようとする」


「だって楽しいから」


アゼルが少し笑った。


「……まずは夜のメニューに追加しよう。落ち着いたら朝も考える」


「了解」


「マミ」


「うん」


「また美味しいものを知ってるんだな」


「前の世界にはいっぱいあったから」


「……全部教えてくれるか。いつか」


あたしは少し驚いた。


「いつか、って?」


「全部作るには時間がかかるから。少しずつ」


「……ずっと、一緒にいるってこと?」


アゼルが静かに言った。


「ずっと、一緒にいる」


あたしの胸がじわっと温かくなった。


「……うん。全部教える」


今日も、オスティウムに新しいメニューが生まれた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

ホットケーキ完成しました!

「全部教えてくれるか、いつか」……「ずっと一緒にいる」という意味ですね。アゼルらしい言い方です。

次回も美味しい話が続きます!

面白いと思っていただけたら、ぜひ★評価とブックマークをよろしくお願いします!

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