道の望み
チンギスハンはまたもや悟ったような顔をした。
〖仮に女性が誰かから襲われる時、ロードロードが女性を庇っても……負の性欲から罵倒されそうだな〗
「そうだな。イケメンが助けたら感謝されるかもしれないが、俺なら罵倒されるだろう。あるいは、イケメンでさえ心肺停止から助けたらセクハラ扱いを受けそうな人間界だぜ」
チンギスハンは醜く、泣きじゃくった。
〖朕も自信無くなってきたよ。仮にイケメンに生まれても、朕は非モテなのかなって〗
そもそもチンギスハンって人間に生まれ変われるのかな?
仏教のこと好きじゃ無いけど、もしも業によって転生先が決まるのならチンギスハンなんてよくて虫けら……あるいは単細胞生物だろ。
でもモンゴル人には愛されてるからモンゴル人にまた生まれるのかもな。
「その性格は直した方がいい。二度と性暴力するなよ?」
〖難しいな。朕はモテる自信がない、だから強○してしまうんだ。でも、その、お前と話して分かったよ。強○って社会的にはいけないことなんだなって。だけど考えていく内に気付いたんだ。多分、朕のやったことって個人の問題としては悪いけど、国家的には悪いことじゃないって〗
「どう考えても悪いだろうが」
〖恋愛文化は少子化をすることになる。遺伝子に対する厳選行為が行われるからな。冴えない男と結婚するより独り身を選ぶ女で社会は溢れる〗
古代社会から起こる社会問題だな。
それはその通り。
〖男性は八割くらいの女をターゲットに出来るが、女性は上位二割の男しかターゲットにできない。性的格差があるわけだよ。そうなれば強○が事実上、人口の維持に必要になってしまう〗
あるいはムスリムみたいに男は四人まで結婚していいって考えになるか、だな。
ムハンマドは食い扶持がいなくなった未亡人の為に一夫多妻制をコーランに書き記した。が、まさかそれがそのまま人口政策になるとは。
まぁ、少子化したら……子沢山な移民を受け入れて乗っ取らせと付き合っていかなきゃいけなくなる。それに対抗するなら保護された女性の権利を制限しなきゃいけなくなる。
チンギスハンの意見としては……少子化して滅ぶような国よりは自分の強○の方がマシ、とでも言いたいのだろう。
「チンギスハンは多分、少子化して滅んでってる国が馬鹿らしい国に見えてるよな?」
〖うむ〗
「で、どちらかと言うと強○を悪いこととも思ってる。だけど闘いの習わしで敗者が失うのも仕方ないとも思ってる」
〖うむ〗
「俺に強○はいけないって教えられたことで、チンギスハンは自分の人生を否定的に見えるようになった。けど、過度に女性の権利を保護して衰退してる国々よりはマシって思ってる。そこだけは理解して欲しいってことを言いたいのか?」
チンギスハンは晴れやかな顔で頷いた。
正解のようだな。
〖そうだ。ロードロード、お前は最高だよ。朕を倒したのが、お前で良かった。イケメンリア充が訳知り顔で「努力不足」とか「自己責任」とかほざいて朕を殺したら……いつまでもその魂を呪い尽くし、永遠に許さないだろうな〗
怖。
まぁ、分からないでもないけどね。
無敵の人がナイフで人を刺す側の気持ち、分からなくは無いから。
とは言え、実際にはやらないんだよな……俺。
「ならそう言えばいいだろ。話長いんだよ、お前」
チンギスハンは恥ずかしそうに頭をかく。
〖その、自分でそうまとめられなかった。ごめんな〗
チンギスハンは俺に謝罪し、頭を下げる。
〖……ロードロードって頭固いな〗
「お前に言われたくねえ」
〖お前、絶対強○しないわ〗
「俺だけじゃなく殆どの人間がそうだよ」
〖日本じゃ僧兵でも強○やってたじゃないか。捨て子出身で親の愛を知らず、聖職者面して強○に勤しむ不良共がいたわけだ。取り繕ってる分、朕より悪質と言える。だが、普通の人は寂しくなったら強○すると思う。それが自然だと朕は思う〗
「……しいて言うなら、俺がお前と違うのは……生活の保障がモンゴルと違ってあった国に生まれて育った記憶からだろうな」
朧気だけど。
〖そっか。お前は豊かな国に生まれていたから……まだ強○するメンタルになってないんだな〗
「そうなのかもな。御飯が食べられなきゃ人は殺害って選択肢が浮上してしまったりする。俺は食には恵まれた時代だったんだろうな。美味しい物を食べれるってんじゃなくて食うに困らないって意味だけどさ」
チンギスハンは遠い目で俺を見る。
〖……でも、男として愛されたことは朕と同じで一度もないんだな〗
「あぁ、無いよ」
俺とチンギスハンの間に微妙な空気が流れる。
〖……そんな人生、悲しくはならないのか? 不細工と結婚する女より、誰からも相手にされない不細工のがずっと悲惨で可哀想じゃないか〗
「前の世界じゃそうだったけど、この世界には恋人がいるから。もうそれで良いって決めてるんだよ」
〖……人間界のこと、愛してないのか?〗
草原を生きた男が、大きな首を傾げる。
……答えてやるか。
「愛してないね。そして、俺がお前に劣ってるとこを話すよ」
〖性欲だろ? こればっかりは朕より上な奴はなかなかいないと思ってる〗
「違う。人間界への愛着だ」
チンギスハンは悲しげな顔をした。
……俺の言葉を理解したらしい。
「俺は相手にされなかった。そして美少女を強○をしても、俺の願いは果たせない。人間界は俺を楽しませることをしなかった。だから愛着がないんだよ」
〖そっか。朕は強○して、世界に感謝することがあったけど……ロードロードは強○やっても楽しくないのか。変わってるな、お前。取り繕ってる奴は多いけど美少女を強○すれば喜ぶ男のが圧倒的多数はだと朕は考えてる〗
「あぁ……俺、ポルノ作品でもどちらかと言えば純愛系の方を好んでる少数派だったから」
〖そんなこと聞いてねえよ、純愛だなんて気持ち悪い〗
「強○大王に言われたくねえ、お前のが気持ち悪い」
チンギスハンは目を閉じ、
〖強○……楽しいぞ〗
「絶対楽しくねえ」
〖やったことも無い癖に、よく言えるな。何事もチャレンジだ〗
「あのさ、何事もチャレンジだってのは反社会的なことを含めちゃだめだよ」
〖やってみなくちゃ分からないだろ〗
うぜえな。
やらなくても分かることがあるんだよ、火を見るより明らかってな。
「じゃあお前、自分よりブスな女性に犯されたり汚物を食わされて楽しいと思うか?」
〖思わない。でも、自分でするのと他人にするのは違うだろ〗
「その、な」
〖うむ〗
「実はな……俺は恋愛に憧れがある」
〖?〗
「俺はまだ、この世界に来て一ヶ月しか経ってない。そして恋人がいるんだけど、まだキャラもろくに分かってないんだ。嫉妬深いとこあるなってくらいだな。その子が揶揄い上手でもロシア語でデレるでも何でも良い。俺は初恋の彼女とのコミュニケーションを楽しみたいんだよ」
【おいコラ、ロードロード! 危険な発言止めろよ!】
ふざけんな、小賢者分身。邪魔するな。
大体、この強○の話題のがずっと危険だっての。
【泣……】
……。
チンギスハンの顔が真顔になる。
〖コミュニケーション……〗
「同じとこ、違うとこ。それがどこかを一つ一つ丁寧に探っていきたい。そしてな? 好きになった相手を辱めたくないんだよ。尊重したいって思うんだよ」
俺がそう言った瞬間、チンギスハンの目から涙が流れる。
〖そうか……確かにそれは、強○では得られないものだな。そしてそれは叶えられるなら素敵なものだ〗
チンギスハン編、今月で終われるかもしれません(歓喜)。
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