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カベタス・サマナー  作者: 休眠熊
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第32話

話を終えたアキト達は、ヤクモ達の居る部屋へと戻る。そこで知恵熱を出して倒れているレンに苦笑いをしながら、キツネは用事があるからとヤクモ達に別れを告げた。そこでアキト達は、キツネを見送りに玄関まで来た。


「それじゃあアキト君、これからも何かと会う機会もあるでしょうし、その時はまた宜しくお願いしますねぇ。」

「はい、わかりました。」

「レン君は、さっきの内容について理解出来ましたか?」

「おう!もう大丈夫だぜ!頑張ったからな!」


レンが自信たっぷりに答えると、ヤクモが額を押さえて嘆く。


「ですがまさか、シルバーナ様の方が若様よりもしっかりと理解出来ているとは思わなかったですよ…。」

「嬢ちゃんは凄いぜ!何せ、この俺に教えられる位なんだからな!」

「若様が不甲斐無いんですよ。普通は逆でしょうに…。一体、何歳年下の方に教えられていると思っているのですか…。」

「えっと…七、八歳位か?なあ、ルビィちゃんって今何歳…って痛い痛い!」

「年の差が幾つかと言う問題ではありません。それに、淑女に年齢を訊ねるのは大変な失礼ですよ。」


頓珍漢な答えをしたレンを縛り上げながら、ヤクモは再び溜息を吐いた。一方のキツネは、顔を紅く染めながらアキトと手を繋いでいるシルバーナに問い掛ける。


「シルバーナさんは大丈夫ですか?」

「はい!内容はしっかり把握しましたから、大丈夫です!」

「いえいえ、私が言いたいのは、これからのアキト君との生活ですよ。」

「え?」


シルバーナは『アキトとの生活』と言う言葉に、ヤクモの『気持ちを落ち着ける香りのする花』を処方して貰って何とか抑えていた興奮がまたもや復活してしまい、ただでさえ紅い顔が更に真っ赤になる。


「これからアキト君は、良くも悪くも、更に有名になるでしょう。そうなれば、一緒に住む貴方にも影響は及びます。変な目で見られる事や、謂れのない謗りを受ける事も有るかも知れません。それでも大丈夫ですかと訊ねたのですよ。」

「ああ、其方でしたか…。大丈夫です!そんな事に負けたりなんてしませんから!」


シルバーナは、少しばかり勢い余ってはいたが、はっきりと答える。アキトが人生を掛けて自分を守ると言う決意を聞いてしまった彼女は、アキトに対して絶対に迷惑を掛けたく無いと言う気持ちがより一層強くなっていたのだ。


「力が入り過ぎですよ。もっと楽になさい。」

「ですが…。」

「頑張り過ぎるのは、貴方の悪い癖ですねぇ。」


故に、キツネは抱え込み易いシルバーナに苦言を呈した。アキトに迷惑を掛けたく無いと言う気持ちが強過ぎるが為に、余りに余裕が無くなっている様に見えたからである。


「頑張る事は美徳でもありますが、倒れるまで頑張り過ぎるのは唯の迷惑です。少々厳しい言い方になりますが、周囲に余計な手間と心配を掛けさせるだけの、唯の自己満足なんですよ。」

「あう…す、すみません…。」

「まあそう落ち込まずに。何も貴女を責めている訳では有りませんよ。これから直せば良いだけですからねぇ。貴方なりに、アキト君の役に立ちたいのでしょう?その気持ちは良くわかります。しかし、だからこそ、辛くなったらアキト君に甘えなさい。」

「…え?いや、その、私は…。」

「甘える事は、別に悪い事ではありません。子供が愛を求めるのは、至極当然の事です。愛されなくては心が疲弊してしまい、ひいては成長の妨げにも繋がります。貴方はそれを望んではいないでしょう?」

「あう…は、はい…。」


キツネの言葉に、シルバーナの抑え込んでいた欲望が刺激される。何とかアキトに釣り合うしっかりとした大人の女性になろうと考えていたが、一方で甘えたいと言う想いを払拭し切れては居なかった為だ。キツネのその言葉はまるで悪魔の誘惑のように、欲望に対する『言い訳』を彼女に与え、その理性をゆっくりと侵食して行く。


「そ、それでも…本当に、よ、良いので…しょ、うか…?」

「勿論、甘やかされ過ぎるのは良いとは言えませんねぇ。ただ、だからと言って厳しくし過ぎるのも良いとは言えません。何事もバランスが大事なのです。それはわかりますねぇ?」

「は、はい…。」

「そして、貴方の現状は先も言いました様に、ただ生きて行くだけでもそれなりに大変です。ならばその大変な分、信頼出来る人物に甘えても良い…いえ、甘えるべきなのです。厳しい試練に立ち向かう為にも、そして自身の心の成長の為にも、辛い時には彼に甘えて下さい。アキト君は、きっと応えてくれますから。ねぇ?アキト君。」


キツネはアキトに同意を求める。シルバーナも緊張と期待の入り混じった目で、恐る恐るアキトを見上げる。すると、アキトは悩む暇も無く即座に答える。


「ええ、勿論です。」

「ほ、本当ですか⁉︎あ…でも、その…みっともなく…無いでしょうか…。」

「何を言っているんですか。そんな事は無いですよ。寧ろ、貴女が背伸びをし過ぎている姿は、見ていると此方が不安になってしまいます。ルビィには、もっと僕を頼って欲しいと思っているんですよ。」

「う…ああ…。」


アキトは、シルバーナの目線の高さに合わせながら屈み、彼女の手を取って、その目を見ながら優しく微笑む。シルバーナは嬉しさの余り舞い上がり、そして緊張から上手くアキトの顔が見れなくなってしまい、俯く。しかし口だけは何とか動かし、辿々しくも言葉を絞り出す。


「で…ですが、ご…御迷惑を…。」

「迷惑だなんて決して思いませんよ。可愛い妹に頼りにされるなんて、兄冥利に尽きるじゃないですか。」

「か、可愛…はうう!」

「それとも、僕はそんなにも頼り無いでしょうか?…まあ、確かに力及ばずな所や色々と拙い所も有りますから、頼り無いと言われればその通りかも知れませんね…。ルビィに気を遣わせてしまっているだなんて、保護者失格です…。」

「そ、そんな事はありません!」


苦笑を浮かべ、自信無さげに頭を掻きながらアキトが悄気た様な発言をすると、シルバーナは顔を上げてすぐにそれを否定する。すると、アキトはその言葉を待っていたかの様に、優しそうな笑顔を見せる。その笑顔に吸い込まれる様に、シルバーナの視線は其処に釘付けになってしまう。


「そうですか。それを聞いて安心しましたよ。なら、僕を頼ってくれませんか?僕に甘えてくれませんか?僕もまだまだ非力な若輩者ですが、それでも精一杯、貴女を支えたい…貴女の役に立ちたいんです。」

「う…あ…あう…。」

「苦しい時も有るかも知れませんし、悲しい事も有るかも知れません。ですが、僕はそれを、貴女やディアと一緒に乗り越えたいんです。その為にも、何方か一方のみが頑張れば良いなんて関係は嫌です。苦しい時に、一緒に手を取り合って乗り越えて行ける様な、そんな関係になれたら良いなと思います。」

「はう…うう…。」

「僕は、ルビィ達の隣に居たいと思っています。だから、ルビィの隣に立つ為に、僕を貴女の役に立たせて下さい。甘える位は全然構わないですし、大変な時はもっと頼って欲しいんです。自分勝手な考えですが、貴女の隣に居る事に、僕自身が心苦しくならない為にも。」

「ひゃ…ひゃい…。わかり…ました…。」


シルバーナは必死に頑張り、何とか理性を保たせながら答えていた。しかし、最後にアキトに優しく抱き締められ、耳元で『ありがとう、ルビィ』と囁かれた瞬間、それまでの自身の方針とか目標とかその他諸々が、もう完全にどうでも良くなってしまった。弾かれた様にアキトに強く抱きつき、人目も憚らずにその匂いを存分に堪能する。


(ああ…なんて気持ちが良いの…頭が蕩けそう…。もっと…もっと…ああ…。アキト…様ぁ…。)

(可哀想に…これ程の不安を押し隠して居たんですね…。まだ、こんなに小さいのに必死に頑張って…何とお労しい…。これで少しでも、不安を除く事が出来れば良いのですが…。)


シルバーナの顔は喜びで完全に弛みきっており、アキトの顔はシルバーナの労苦(勝手な想像)を思う余りに、とても沈痛であった。互いの顔が見えないので、互いの心情の温度差に全く気付かない。


「キュウ…。」

「ディアもおいで。」

「キュキュ!」


ディアが寂しげにアキト達を見ていた為に、アキトはディアを呼び寄せ、シルバーナと一緒に抱き締める。結果的に、蕩けた表情が一つから二つに増えていた。その一連の光景を見ていたキツネは、狙った通り(ある意味ではそれ以上)の展開になったとは言え、アキトの無自覚な言動に呆れを覚えていた。


「何と言うか…アキト君って、本当に天然なんですねぇ…。」

「…ええ、全く。色んな意味で。」

「ん?アキトの何処が天然なんだ?電波な事も全然言わねぇし、俺みたいに変にポジティブって訳でもねぇし。別に普通じゃね?」

「「…若様(レン君)も大概ですね(ぇ)…。」」


キツネとヤクモは、両者共に同じ様に大きく溜息を吐いた。そして、アキト達が抱擁を終えるタイミングを見て、キツネとアキト達は別れの挨拶をする。そのままキツネが踵を返そうとした時、何かを思い出したかの様にヤクモが声をかける。


「ああ、キツネ様。言い忘れていた事が有りました。少し宜しいですか?」

「何でしょうか?」

「この辺りは虫が多いですからね。ここへ来る道中に付けてしまわれたのでしょう。キツネ様のお召し物に沢山の『害虫』が付いておりました。」

「……ああ、やはりそうでしたか。実は、私は結構そう言う『迷惑な虫』に好かれ易いみたいな体質でしてねぇ。いやはや、困った物です。ンッフッフ。」


困った物と言うには些か黒すぎる笑顔に、アキトはまた誰かを罠にでも嵌めたんだろうなと考えた。そして、おおよそ何があったのか予想も付いたが、関わり合いになりたくなかったので黙っていた。


「付いていた『害虫』は全て取り除きました。処分は此方で行っておきますので。」

「それは大変有難いですねぇ。ですが、私は殺生は嫌いですし、虫もまた必死に生きていますからねぇ。程々にお願いしますねぇ?あと、私はそれに関して一切感知していないと言う事で。」

「わかりました。少々残念ではありますが、御要望と有らば程々にしておきましょう。では、道中お気を付けてお帰り下さいませ。」

「ええ、虫には充分に気を付けますよ。それでは皆々様方、また相見えるその日まで、互いに壮健たらん事を。ンッフッフッフッフッフッフ。」


キツネは、耳障りな嗤い声と共に玄関を開け、そのまますぐ目の前に停めてある漆黒の車の中へと入り込む。それと同時にその車は発進し、暗い山道の中へと溶ける様に消えて行った。









「お疲れ様です。キツネ様。」


キツネを乗せた車の運転席に座る女性ーーイナが、キツネに話し掛けた。


「では早速ですが、報告をお願いしますねぇ。」

「はい。コシノ・ヒヨウが約定を反故。部下を各方面に派遣して我々の情報を集めています。」

「ンッフッフ。早速ですか、思った通りでしたねぇ。」


キツネは嘲笑を浮かべた。彼は始めから、ヒヨウが約束を守る気が無いのを見抜いていたのだ。それでも、それをあの場で指摘するつもりは無く、敢えて約束を守る余地を与えた。それは、キツネなりの慈悲であり、最後通告でもあった。


「如何致しましょう?約定を簡単に違えた相手に、最早かける慈悲など無用と存知ますが。」

「ンッフッフッフ。もしも約束を守る気があれば、少しは手心を加えるつもりでしたが、こうなってしまっては仕方ありませんねぇ。」

「では、容赦は要らぬと。」

「ええ、完膚無きまでに叩き潰して差し上げなさい。ああ、公安捜査庁自体はなるべく『生かす』形でお願いします。私の『友達』へのプレゼントにしますから。要らない『頭』は切り捨てて、使える『手足』を残して下さいねぇ。ンッフッフッフッフ。」

「仰せのままに。カキエモンにもそう伝えましょう。」


イナの口角が少し上がり、その目は狐の様に爛々と輝く。


「ヒヨウが放った部下達の動向は把握出来ていますか?」

「はい。私が置いた証拠物品を無事に回収した後、外務省や警察、その他我々に関係するであろう各所に密かに人員を派遣して情報収集をしております。そしてその内数名は、私達の車の後を密かに尾けていました。」

「此方の情報の流出は?」

「一部真実を混ぜた上で、大方はガセを掴ませました。今現在、致命的な情報流出はありません。」


イナは、様々な場所に潜ませているキツネ子飼いの密偵達を使い、密かに動き回るヒヨウの部下達の情報を、逆に収集していた。そしてその動向を完全に把握し、偽物の情報を掴ませる事にも成功していた。キツネはその報告に満足そうに頷く。


「それは大いに結構。貴女も、良い具合に成長して来ましたねぇ。嬉しいですよ。」

「お、お褒めに預かり…光栄です。」

「それで、私達を追って来た方達は予定通りに処理出来ましたか?」

「はい。ヤクモ様に全員残らず綺麗に捕縛して頂きました。」


キツネは、ヒヨウが高確率で追っ手を放って来るだろうと考えていた。そして、彼等の追っ手を敢えて振り切ら無い様に移動し、素知らぬフリしてヤクモの元へと来た。結果、追っ手はキツネの計算通り、見事に蜘蛛の巣に引っ掛かってしまった。


「今は如何なっていますか?」

「現在、先の家の地下にて、彼の玩具となっている模様です。」

「果たして、程々にしていてくれているのでしょうかねぇ…?」

「……それは保障致しかねます。」


ヤクモは程々にするとは言っていたが、それは彼の匙加減次第である。殺される事は無いだろうが、それでもかなりのトラウマを植え付けられる事は必至だろうとキツネは思った。


「大体ですね。彼等をヤクモ様への御機嫌取り用の『生贄』として利用した方が、図々しくも彼等の心配を為さるのは…流石に厚顔無恥が過ぎるのでは?」

「う…それを言われてしまうと反論出来ませんねぇ…。」

「それで、肝心の『アキト君を態々狙われ易い状況を作る』と言う提案に関して、ヤクモ様は許して下さったのですか?」

「ええ、ヒサメさんや部下の方達を、無事に引き抜いた事を高く評価してくれましたので、それで何とか…。」


キツネは、アキトの今後に関して自分がどうして行くつもりなのかを午前中にヤクモに話し、その際にやんわりと反対されていた。キツネの提案は結局の所、アキトを敢えて要らぬ危険に晒す事である為であった。故に、それをただでヤクモが認める筈も無く、アキトをサポートする態勢は万全に整っている事を示す必要があり、そのパフォーマンスとして、ヒサメ達をコシノ家から救って見せたのである。


「まさか、アキト君との交渉を認めて貰う条件の一つに、ヒサメさん達の保護を求めて来るとは思いませんでしたがねぇ。」

「ヤクモ様にも、何か思う所があったのでしょうか。」

「細かい所は兎も角、何とか上手く行きましたから良しとしましょう。あと、私の急な作戦変更にも良くぞ応えてくれました。感謝しますよ、イナさん。」

「あ…いえ、この程度の事、雑作もありませんので。」


実はキツネは、ヒサメ達を救う事を最初の計画の内には入れていなかった。ヒサメの境遇などに多少の同情はしたものの、強大な権力を持つコシノ家への下手な干渉を良しとしなかった為である。しかし、ヤクモからの要請が有った為に急遽、ヒサメとその部下達の保護を計画に入れ、イナやカキエモンらの尽力によってそれを成し遂げたのである。


「それで、ヒサメさん達への説明は?」

「先程、恙無く完了致しました。」

「彼等は、納得してくれましたか?」

「やはり家族を保護したのは効果が高かった様で、全員快く申し出を了承して下さいました。ヒサメさんは、かなり驚いた様子でしたが。」


特にヒサメは、ヤクモに捕まった時に言われた言葉が、まるでこの事態になる事を予想していたかの様な物であった為に、本気で驚いていた。そして、とても申し訳無さそうに、また何処か嬉しそうに、申し出を受け入れた。


「ンッフッフッフッフ…それは良かった。これで、我々の使える駒がまた一つ増えましたねぇ。」

「即戦力になる優秀な氷導術使い、しかも射撃や特殊車両の運転などの高度な技術訓練を受け、また統制も良く取れている集団を、ほぼ無傷で手に入れる事が出来ましたからね。これから、彼等をどう扱うのですか?」

「氷導術は、要人警護を得意とすると聞きます。取り敢えずは、外国に派遣している導術使いの皆さんへの護衛任務に充てるのが良いでしょう。」


氷導術は『縛・守・走』のバランスが取れた導術である。上手く扱えさえすれば、敵を殺さずに氷で拘束したり、敵の攻撃を氷で防御したり、氷を張って相手の移動を鈍くしたり、逆に自身の動きを加速したりと、様々な状況に対応出来る為に、護衛任務に対して効果的との評判を得ている。故にキツネは、それを最大限活かそうと考えていた。


「最近は、派遣された導術使いを狙った事件が多発していますからね。彼等は、襲われたとしても反撃すらも許されない立場だと言うのに。」

「導術使いが非導術使いを傷付けると、何かと煩いですからねぇ…致し方有りませんよ。ですが、それで何も対策するなと言うのは理不尽過ぎます。向こうには私が話を付けておきますので、貴女は彼等への説明をお願いしますねぇ。」

「御意。」


キツネが積極的に進めている、導術使いによる人道支援事業は、実はかなりの成果を挙げている。お陰で導術使いに対する意識も、特に発展途上国に於いては顕著に改善されて来ていた。しかし、それを面白く思わない輩もやはり多く、度々導術使いが襲撃される事件が起きていた。派遣された導術使いは、例え自身の身を守る為であっても反撃する事を許されていない為に、恰好の標的にされていたのだ。


しかし、キツネもその状況を、ただ手をこまねいて見ているだけでは無かった。様々な交渉(脅迫と誘惑)を存分に活用し、派遣先の国の政府高官らを上手い事懐柔し、自衛に関する限りで護衛のみ、導術または武器使用による反撃を可能とする事を承諾させるにまで至っていた。しかし、その護衛の為の訓練を受けた人材が不足しており、丁度良いからとヒサメの部下達をそれに充てようと考えた訳である。


「それで、アキト君自身はちゃんと説得出来たのですか…と言っても、結果は既に見えていますが。」

「ンッフッフッフ。いえいえ、デメリットをきちんと説明せねばならなかったですし、少しばかり危なかったでしたよ?まあ、結果は貴女の考えている通りでしたがねぇ。」

「どうせ、アキト君が逃げられない様に、シルバーナ様を取引材料にでも利用したのでしょう?危ないだなんて、白々しいのも甚だしいですね。キツネ様がそんな分の悪い交渉をする訳無いではありませんか。」

「……当たってはいますが、もう少しオブラートに包んだ言い方でも良くないでしょうかねぇ?」

「キツネ様の言動を少しでも改善して頂ければ、それも考えましょう。」


キツネはアキトとの交渉に於いて、アキトに対して理不尽な二択を迫り、『アキトへの危険』と『シルバーナやディアへの危険』を天秤に掛けさせた。勿論、アキトが必ずシルバーナ達を守る為に自己を犠牲にするだろうと踏んでの事である。


つまり、キツネは最初からアキトを逃す気など更々無かった。しかし、アキト自身には『自分の意思で』キツネに従う事を選ばせる事で、彼の強い責任感を利用して彼が自分自身を縛る様に仕向けたのだ。その相変わらずのやり口には、イナは理解は出来るが納得が出来ない。彼女のその気持ちが、刺々しい言葉に滲んでいた。


「しかし、幾ら何でも余りにも、アキト君に対して入れ込み過ぎではありませんか?これ程の情報を彼に与えてしまっては…。」

「ンッフッフ。彼が私達を裏切ると?」

「その様な事は無いと思いますが…万が一と言う事も…。また、私達が彼等を敵から守り切れる保障も有りませんし…。」

「ンッフッフッフ。気持ちはわかりますが、私としては逆の意見です。此処で中途半端に追い出してしまうよりも、しっかり此方側に引き摺り込んでしまった方が監視もし易いですよ。それに、彼も詳しい情報が有ればそれ相応の行動をしてくれるでしょう。その方が、却って守り易い。」

「そうでしょうか…。」


イナは、キツネがアキトを純粋な善意から守ろうとしているのでは無く、利用し尽くすつもりだから囲い込もうとしている事を見抜いていた。しかし同時に、キツネは仲間を見捨てる事は極力避けたり、出来る範囲で願いを叶えたりする人物でもある事をわかっていた為に、複雑な気持ちになっていた。


「それに、彼自身もまた、シルバーナさんと共に居る事を望みました。これは確実に彼の願いであり、私から無理強いした事ではありません。ここは、その彼の意思を尊重して差し上げるべきだとは思いませんか?」

「……なんか納得行きませんが、わかりました。」

「ンッフッフ。御理解頂けた様で何より。それで、アキト君の御家族への説明と説得は如何でしたか?」


キツネは、アキトのこれからの扱いに関して、イナに彼の家族への説得をする様に命じていた。その結果についての説明を求められた為、イナはそれに渋々答える。


「……アキト君の意思を尊重して欲しいと。つまり、彼が良いならそれで良いとの事です。」

「おや、中々に理解の有る御家族ですねぇ。普通はこんな話、俄かには信じ難いでしょうに。私が持たせた袖の下の効果でしょうかねぇ?アキト君の反応を見る限り、彼の実家はかなり貧乏そうですからねぇ。」

「いえ…それは無いかと存知ます。確かに貧乏ではあるのですが、それを渡そうとした際に『大事な息子を、質になど入れられるものか』と仰って、はっきりと断られましたので。」

「そうでしたか、これはまた中々に見所の有る方達ですねぇ。私としても、大変気に入りましたよ。これからも仲良くして行きたいですねぇ…と、如何しました?」


キツネは、イナの様子がおかしくなっている事に気付く。イナの手元、ハンドルを握る手が小刻みに震えていたのだ。それが恐怖から来る物だと、キツネにはすぐにわかった。


「そんなにも…怖い方達なのですか?」

「ええ…。詳しい事は言えませんが…兎に角、決して怒らせてはならない…とだけ。」

「それで、貴女は彼等を怒らせてしまった…?」

「いえ、それは無かったのですが…。少しだけ、注意されまして。」


イナは身震いをした。彼女は別に怒られた訳では無かったのだが、その『注意』を受ける際に一瞬だけ放たれた『殺気』に、イナは完全に呑み込まれていた。その時の状況を思い出し、恐怖が蘇ったのだ。


「注意…。私達のスタンスに対する物ですか?」

「…はい。アキト君を利用する事、それ自体は一向に構わないそうです。しかし…もしも彼を裏切ったりすれば…その時は、容赦しないと…それで…。」

「お止めなさい。もう充分です。」


イナの声は、その時の恐怖を思い出したからか、幾分か震えていた。そこでキツネはイナの報告を止めさせる。彼女に余計な負担を与えたく無かった為である。


「済みませんでしたねぇ。アキト君を知る貴女なら、彼の家族との交渉相手として最適と考えていたのですが、かなり無理をさせてしまっていたみたいです。次からは別の者を向かわせましょう。」

「…いえ、私は大丈夫です。これからも、彼等と交渉する役は私に任せて下さい。」

「そこまで言うのでしたら…わかりました。ですが決して、無理だけはしないで下さいねぇ?貴女は私の大事な部下で、私の計画に必要不可欠な存在なのですから。こんな所で潰れて貰っては困りますよ。」

「…有難う御座います。キツネ様。」


イナは申し訳無さそうに、キツネに礼を言った。しかし、不甲斐ない所をキツネに見せてしまった事に、イナの気持ちは鬱屈としてしまう。それを感じ取ったキツネは、イナの気分を切替させる為に話題を変える。


「ところで話は変わりますが、貴女に相談したい事が有ります。」

「…何でしょうか。」

「アキト君とシルバーナさんを、如何にしてくっ付けるかについてですよ。ここで、女性の意見も聞いて置こうと思いましてねぇ。」

「……え?」


キツネの問い掛けは、イナの気持ちを切り替えさせるのに充分に効果を発揮した。尤も、それはイナの気持ちを前向きにする物では無く、呆れさせる方向の物でしか無かったが。イナの冷たい視線が、バックミラーに映り込むキツネの姿に突き刺さる。


「シルバーナさんは、既に充分にアキト君に惚れ込んでいるのですがねぇ。アキト君の方が、彼女の事を妹以上には捉えられないみたいでして。完全に保護者が子供を見る目線でシルバーナさんを見ているのです。手を出す気配が全く無いんですよ。」

「それはアキト君が常識的なだけです。」

「どうにも、シルバーナさんからのアプローチが上手く行って無い様でしてねぇ。ただ、私からシルバーナさんの気持ちを詳らかにする様な、そんなデリカシーに欠けるお節介を焼くのもどうかと思いまして。何とかシルバーナさんにもっと自発的にアキト君を攻めて貰う方法は有りませんかねぇ?」

「それも充分にお節介です。」

「私の見立てですが、恐らくシルバーナさんは今の現状に満足してしまっていますねぇ。もっと積極的になって貰うには、『このままではいけない』と言う危機感を煽るのが得策でしょうか?『アキト君が盗られてしまうかも』とか思わせれば或いは…ここは、適当に恋のライバルでも見繕って見るのは如何でしょうか?」

「もうお止め下さい。全くもってくだらない。」


キツネはお節介を焼くのみならず、勝手に恋のライバルを用意するまでして、無理やりにでもアキト達の仲を進展させようと画策していた。そんなデリカシーの無いキツネに対して、イナは蔑む様な口調でその意見に反対する。


「下らないとは心外ですねぇ。私としては、本気でシルバーナさんの恋路が成就して欲しいんですよ?」

「シルバーナ様をアビス王国女王に据えて、アキト君を使っての閨房外交(君主の恋愛を利用する外交)を行いたいだけでしょうに。」

「ンッフッフッフ。まあ、確かにその通りですがねぇ。そして出来れば、彼等の子供…つまり次世代の王の『教育』を行う事で、ヨミ国との関係の更なる良好化も目指したいですねぇ。」

「どうせ『洗脳』して『傀儡化』するつもりなんでしょう?盗人猛々しいにも程が有りますよ。しかも問題点が山積みではありませんか。そんな物は、『取らぬ狸の皮算用』って言うんですよ。」


得意気に自身の計画を話すキツネを、イナは一刀両断した。すると、その様子を面白そうにキツネは眺め、そして彼女を揶揄う。


「ンッフッフ。流石はカキエモン君の姉君、弟君と全く同じ事を仰っていますねぇ。」

「カキエモンと一緒…?そ、そんな!キツネ様!これは何かの間違いです!」

「まあまあ、そう熱くならず。それで、確かに貴女の言う通り、この計画にはかなりの問題点が有り、実現の可能性が低いですねぇ。まあ、有体に言えば浪漫な計画です。」

「らしく無いですね。キツネ様はそんな不安定な計画を立てる方では無かった筈ですが。」


イナは、キツネの話す計画に対して違和感を感じていた。キツネの計画は根回しを充分に行い、尚且つ賭けをしない物ばかりである。一発逆転を狙うよりも、小さくても着実な成功を重ねて行くのが彼の基本方針であった。しかし、だからこそ今回の計画は、キツネが立てたにしては余りに不確定要素が多過ぎた。


「ンッフッフッフ。偶には趣向を変えてみるのも良いかと思いましてねぇ。しかし、やはり貴女の指摘通り、この計画は不安定です。成功した際のリターンは大きいですが、その為にクリアするべき課題が多過ぎますからねぇ。」

「わかっているのでしたら…。」

「ですから、いつでもこの計画は中断して、方向転換するつもりでいます。その時の状況を、可能な限り利用して、不利益になる証拠は隠滅します。その際には、もしかしたらアキト君とシルバーナさんには、別れて貰わねばならないかも知れませんねぇ。」

「……ええ⁉︎」


イナは絶句する。アキトへのシルバーナの気持ちを利用する気でいて、その癖いざとなれば彼等の間を引き裂くと、キツネは臆面も無く言ってのけたからである。イナは怒りを顕にする。


「キツネ様!流石にそれは酷過ぎます!彼等の気持ちを利用するだけしておいて…!」

「おや?彼等をくっ付ける事が下らない事では無かったのですか?」

「それとこれとは話が違います!シルバーナ様をアキト君に惚れさせる様に仕向けて置きながら、何をそんな勝手な事を!」

「勘違いして貰いたく無いのですが、私と出会った時には、シルバーナさんは既にアキト君の事を憎からず想っていましたよ?私は、そっとその背中を押して差し上げただけです。あとは、天然タラシなアキト君の責任ですよ。ンッフッフ。」

「貴方って方は…本当に…。乙女の純情を何だと思っていらっしゃるのですか…。」


悪びれる素振り少しも見せずに、不敵な笑顔を続けるキツネに、イナは怒りを通り越して呆れ、そして哀しさに肩を落とした。すると、キツネはふざけた態度を止め、真剣な口調になる。


「…私は、別に彼等の仲を引き裂きたい訳では有りません。出来れば、このまま人族と導族との仲を取り持つ象徴となって貰いたい。その気持ちに嘘偽りは有りませんよ。しかし、それが却って足枷となる場合には、それに拘るつもりは無いと言うだけです。」

「しかし…彼等はあんなにも互いを大事に思って…。」

「……気持ちは確かに大事です。しかし、それが全てに勝る訳では有りません。自らの気持ちを優先してそれを無理矢理に押し通した結果、他者を不幸にしてしまう事は往々にしてある物です。……私の言いたい事は、わかりますね?」


キツネは飽く迄、『アキト達の幸せ』よりも『人族と導族との友好』の方を優先事項としていた。つまり、個人の幸せよりも全体の幸せを選ぶべきと考えていたのだ。その為にアキト達が愛し合う事が必要ならば後押しし、邪魔ならば引き裂く、ただそれだけの事であった。目的には共感出来るものの、その余りに無機質な方針に、イナは唇噛み締めて悔しそうに呻く。


「……わかっては、いるつもりです。キツネ様の仰る通り…彼等が計画の邪魔になるのなら、その時は…。」

「いいえ、貴女は何もわかっていない。少しは成長したかと思いましたが、これではまだまだですねぇ。」

「…え?」


イナは、キツネの言葉に驚く。彼女としては、不本意ながらもキツネの方針に追随するつもりでいたのに、それを真っ向から否定されたからである。キツネは、混乱するイナに対してその言葉の意味する所を伝える。


「私は、私の目的を貴女に伝えました。つまりは、それに違えない限り貴女は何をしたって良いんですよ。」

「目的を違えない…?」

「まだわかりませんか?私は『必要になれば』貴女の懸念する所の方法を実行しましょう。しかし、貴女はそれを求めていない。なら、貴女は『どうすれば』最善だと思いますか?」


キツネの細い双眸は、ミラー越しにイナを見つめる。そこから微かに見える瞳の色は、厳しくも優しく、大切な部下の成長を願う上司のそれであった。その目に込められた期待を感じ取ったイナは、何としてもその期待に応えたいと言う欲に駆られた。


(私の最善…私の求める最善の結果…。)


イナは、自分の気持ちを見つめる。キツネの望む世界を造る手伝いをしたい。父親を探したい。アキトやシルバーナに幸せになって貰いたい。様々な想いが駆け巡る。そして、それらを全て同時に叶える事は出来ないのではと考えている自分に気付いた。


(そうか…キツネ様が求めているのは…。)


イナは、自らの弱気な心を深く恥じ、そして喝を入れた。そして、真っ直ぐな目で前を見た。キツネでは無く、車の進む道の先を見据えた。その反応を見て、キツネは満足そうに頷いた。


「私の最善は、誰も犠牲にせず、何も諦めず、人族導族問わず、自分を含めた全ての者が幸せになる世界を造る事です。」

「ンッフッフ。これはまた大きく出ましたねぇ。しかし、理想と現実は違いますよ。」

「ええ、それはその通りです。ですが、それが最善を求めない理由には成り得ません。理想を叶える為に、私は私の出来る事をする。アキト君達を犠牲にせず、我等が父君を探し出し、人族と導族とが仲良く暮らせる世界を造る。その為に、私は貴方様を『利用』します。」

「ほう?私を利用する?上司である私を?」


イナの挑戦的な発言に、キツネは態とらしく大袈裟な反応をする。


「はい。要は、貴方様の目的に私が背かなければ良いのでしょう?なら、貴方様の目的を『私の願い』に向けさせれば良いだけ。そうすれば、貴方様の御力をお借りして、堂々と私の望みを叶えられます。」

「ふむ。確かに、それはその通り。しかし、そう上手く行くと思いますか?」

「上手く行かせれば良いだけの事です。目的は一つでも、それを叶える手段や過程は一つでは有りません。ならば、『私の願い』を叶える事こそが、それに至る最善手となる様に仕向ければ良い。だってそうでしょう?貴方様は、目的さえ果たせれば、その過程には拘らないのですから。」


イナは、少しだけミラーに映るキツネを見る。その目には、強い意思が宿っていた。そこでキツネはパチパチと拍手する。


「良いでしょう。合格です。」

「……有難う御座います。キツネ様。私の為に、私の弱い心を叱咤激励して下さったのですね。」

「いえいえ、それが私の目的の為の『最善手』になると踏んだまでの事ですよ。」


キツネは、弱気になっているイナの心を見抜いていた。イナは口ではキツネを否定しても、基本的にはキツネの方針に違えず任務を果たして来ている。部下としては非常に優秀で扱い易いのだが、良い意味では従順、悪く言えば主体性に欠けていた。それは、彼女自身の自信の無さから来ている物であり、『キツネに言われたから』を免罪符にして行動する事により、『自分の考えに基づいた行動と責任』から無意識に逃げていたのだ。


「自らの判断で行動する事が求められる機会があった時、その時に一々私に頼っていては、絶好の機会を逃す事に繋がります。また、現場から離れている私よりも、現場に居る者の方が状況をより良く理解し、正確な判断を下せますからねぇ。」

「はい。」

「私は、貴女に現場での指揮官になって貰いたい。その為には、貴女自身が常に周囲の状況を見つめ、何が出来るのか、何を利用出来るのか、そしてその行動の結果何が起こり得るのか、それらを常に考え続け…そして、何よりも貴方自身が判断を下す事こそが必要です。」

「だから…私を試したのですね。私が私の意思で行動出来るか…それを見極める為に。」


しかし、キツネはそれを望んではいなかった。彼女の意思と想いに基づき、自らの責任をもって行動してその結果を受け止める。誰かに言われて動くのでは無く、自ら判断を下す。それが出来るだけの『一人前』の指揮官へと育って欲しかった。キツネの意思で動く『手足』では無く、自らの頭で考える『同志』が欲しかったのである。


「しかし、私はそれにすぐには気付けませんでした…。キツネ様の言う通り、まだまだ未熟者です…。」

「いえいえ、自らを未熟と捉える事が出来るのは重要ですよ。『初心忘るべからず』です。それに、『未熟』と言う事は『まだまだ成長する余地が有る』と言う事でも有りますからねぇ。貴女の素養は充分ですよ。この私が保証します。これからの貴女の成長、期待していますからね。」

「ふふ…そうですね。これはもう、頑張る他にありません。キツネ様の目論見通り、見事に焚き付けられてしまいました。」

「ンッフッフッフ。少しは良いお手本になりましたかねぇ?さあ、次は貴方の番ですよ。見事に私を利用して、貴女の目的を達成してみせなさい。私を乗り越えて見せなさい。」

「御意。御勅命しかと賜りました。このアラカミ・イナ、若輩ながら我が身を賭して、必ずや御期待に沿う事を此処に誓いましょう。」


イナは、心からの想いをキツネに伝えた。その声は迷い無く、その瞳は不安無く、その覚悟は揺るぎ無かった。しかし、その決死の覚悟に対して、キツネは苦笑しながらやれやれと首を振る。


「……お気持ちは嬉しいのですがねぇ。貴女が死んでしまっては、私が困ります。」

「も、申し訳御座いません!」

「期待に応えようとしてくれるのは私としても大変嬉しいのですが、決して無茶はしないで下さいねぇ?貴女の命の方が私にとって、もっともっと大事ですから。」

「……はぁ。やはり私は、まだまだ未熟者です…はぁ…。」


イナは、自分自身の至らなさに辟易として、深い溜息を吐いた。そして、キツネから『自分の命の方が大事』と言われた事に対する嬉しさから、もう一度別の意味で溜息を吐いたのだった。

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