第25話
アキト達が眠りについた頃、キツネはまた行きつけの喫茶店にやって来ていた。中にはいつものマスターと、一人の若い男が居る。その男は眼鏡をかけ、ボサボサの髪とくたびれたシャツを着ており、贔屓目に見てもダサい格好をしていた。
「ンッフッフッフ。やぁ、待ちましたかね?昨日はお疲れ様でしたねぇ。」
「デュフフフフ。いや、それ程でも無いで御座るよ。」
ダサい格好の男はその似合わない眼鏡を怪しく光らせて、キツネを見る。
「ンッフッフッフッフ。相変わらず見事なシステムクラッキングでした。惚れ惚れしますねぇ。」
「デュッフフフフ。あの程度、拙者にかかればお茶の子さいさいで御座るゆえ。」
キツネもまた、胡散臭い笑みを湛えたままに男を見る。
「それで、今度は何用で御座るか?煽てる為に、キツネ殿は拙者を呼んだ訳では無いので御座ろう?」
「ええ、その通りですよ。」
笑みはそのままに、キツネはスーツの懐から紙を取り出して男に手渡す。男はすぐにそれを広げ、内容を確認する。
「ふむ、これが次の標的で御座るか。」
「ええ、きな臭い噂が有るそうなので、少しばかり調べて下さい。もしも、その噂が真で有れば…。」
「承知しているで御座る。」
「ンッフッフッフ。話が早くて助かりますねぇ。」
男はその紙を丁寧に折り畳み、懐に入れる。
「それにしても、どうしてこんな原始的な方法でやり取りするのですか?あなたでしたら、寧ろパソコンや携帯でのやり取りの方が得意だと思うのですがねぇ。」
「パソコンや携帯でのやり取りは、何処かで誰かに覗かれている可能性があるで御座る。通信技術の発展は非常に世の中を便利にしたで御座るが、同時に情報漏洩の危険性を強めたで御座るよ。」
「確かに、そう言う面がある事も確かですねぇ。」
「故に、急ぎの案件以外については、なるべくこの様な方法を採る方が安全だと拙者は考えているので御座る。拙者が人の秘密を容易く手に入れられるのは、ひとえにこの通信技術のお陰で御座るからな。その危険性を拙者は身を以て知っているので御座る。」
男の真剣な目に、キツネは思わず声を出して笑ってしまいそうになるのを堪える。
「あなたがその情報を盗む側なんですけれどねぇ。機械や通信機器を支配する特殊雷導術の使い手の中では、あなた程の実力者は居ません。だから、そんなに心配する必要は無いと思うのですがねぇ…。まあ、盗聴などは確かに警戒すべき事ではありますがねぇ。」
「後、単純に拙者がこの原始的な方法が好きだからという理由も有るで御座る。」
「私の貴重な時間を節約する為には、この様な方法を採らない方が良いのですがねぇ…。まあ、それは良いでしょう。ところで、監視をお願いしておいた標的に動きは有りましたか?」
キツネの言葉に、男が佇まいを直してキツネに向かう。キツネはその様子を察して笑顔を消した。
「キツネ殿の警告の通りで御座る。」
「…潜入調査員は?」
「拙者の手引きで、情報を有りっ丈持って逃亡させたで御座る。今は別の隠れ家に潜ませているで御座るが、相手方に面が割れている故、これからの作戦には参加出来ないで御座る。」
「熱りが冷めるまでは、暫くそのまま潜んでいて貰いましょう。こちらの情報は相手に漏れてしまいましたか?」
「拙者の調べでは、詳しい事はわかって居ないと考えられるで御座る。キツネ殿の指示通り、潜入調査も以前からでは無く今日とし、スパイが其処に勤める清掃員を唆したと言う事に仕立て、大した情報は掴んでいないとしたで御座るよ。」
「それは重畳。偽の情報を掴ませるのは基本ですからねぇ。」
男の言葉に、キツネは満足そうに頷く。
「ただ、確実に警戒はされている御座るな。恐らく今頃手当たり次第に、血眼になって情報収集を始めるている頃で御座ろう。」
「今下手に動くと危険…と。…まあ、そうでしょうねぇ。彼らのしている事を思えば、目を付けられるだけでも大変でしょうしねぇ。」
キツネは真剣な目付きのままに、右手に持った水の入ったグラスを回す。
「やはり…黒でしたか。」
「左様、間違いのう御座る。時間が無かった故、決定的な証拠までは持ち出せなかったで御座るが、彼奴等は例の組織と裏取引を行い、そこから技術提供を受けていたで御座る。」
「代わりに…資金援助をして貰うと。」
「人体実験用の被験体も提供しているで御座る。…主に身寄りの無い者が連れ去られ、その数は十やそこらでは御座らぬ。」
男は声に幾許かの怒りを込めて静かに言い放つ。
「ンッフッフッフ。いやぁ、胸糞悪いですねぇ。」
「デュッフフフフ。全く同感で御座る。さっさと潰して関係者全員を極刑に処したい位で御座るよ。」
「まあまあ、使える者は利用できるだけ利用してからでも遅くは無いでしょう。」
「…故あって付き従う他に無かった者以外は…許さぬ。」
男もキツネも口許は笑っていたが、その目には冷たい怒りが宿っていた。
「それで、情報収集の為に動き出したという事は、狙いはやはり…。」
「…彼で御座ろう。アサテと接触したで御座るからな。」
「ふぅ…全く、アキト君は本当に死神に取り憑かれているのでは無いのでしょうかねぇ?」
「だとしたら、それはキツネ殿で御座ろう?」
「あなたもアキト君と同じ事を言うんですねぇ。私は好き好んで彼を巻き込んだ訳では無いのですよ?」
「だとしても、巻き込んだのはお主で御座る。」
男の声には心無しかトゲがあった。キツネはすぐにその理由を察する。
「はぁ…身内が巻き込まれるのがそんなにお嫌いですか?」
「それを敢えて聞くで御座るか?見ての通りで御座る。何故拙者達がアキト殿の事をお主に教えなかったと思っているで御座る?お主に伝えれば、必ずや利用され危険な目に遭わされる事は目に見えていたからで御座るよ。」
「私はアキト君とあなた達の関係性なんて、精々同じ苗字だと言う事位しか知らなかったのですよ?イナさんが下手に隠そうとしなければ、寧ろあなた方と彼の関係性に気付かない可能性も高かったのですがねぇ。私のカマにも簡単に引っかかりましたし。」
「姉上ぇ…。キツネ殿のやり口は良く存じて居ろうに……。」
男は苦虫を噛み潰した様な顔をする。
「まだ、アキト君の事を詳しく話してはくれないのですね。私にアキト君の詳しい生い立ちなども調べさせてくれませんし。」
「……それは……。」
「良いですよ。無理して話す必要は有りません。あなた達は私の大切な協力者で、充分に働いて下さって居ますし、これからも活躍して貰うつもりですからね。ここであなた達の不興を買う訳には行きません。」
「…それでも、アキト殿は利用するつもりで御座ろう?」
「ええ、彼は使えますからねぇ。」
「出来れば、アキト殿には平安を…。頼めぬで御座ろうか?」
男は懇願する様な口調でキツネに頼む。しかし、キツネはその願いを嘲笑うかのように淡々と答える。
「ンッフッフッフ。あなたも分かるでしょう?私が巻き込まなくても、彼は勝手に巻き込まれに行きますよ。例の組織、『神淵ノ端求社』に喧嘩を売るつもりですからねぇ。」
「…むう…。」
「それに、彼はアサテに目を付けられました。彼が預かっている導族貴族の少女と、高導物の地竜に、どうやらご執心らしいですからねぇ。アサテは、アキト君達を放っては置かないでしょう。加えて、あなたに監視をお願いしていた組織『オーム』が、彼の確保に動き出しました。恐らく、真実を知る可能性の有る彼を危険視しているのでしょうね。今回の動きがその証拠です。もう、彼は後戻りの出来ない所まで来ているのですよ。」
「…拙者達が、アキト殿を援護する他に無いと。」
半ば諦めた口調になる男に、キツネは畳み掛ける。
「ええ、そしてそれが、他ならぬアキト君の幸せに繋がるのです。」
「主の目的達成の為の駒で御座ろう?」
「勿論そうですが、それとは別にアキト君には、シルバーナさんと共に幸せになって貰いたいとも思っていますよ?割と本気で。」
「甚だ胡散臭いで御座る。」
キツネの計画を知っているため、男は冷ややかな目をキツネに向ける。
「そして、これはあなた方の為にもなります。」
「……そう思うなら、彼を巻き込まないで欲しいで御座るよ。」
「私は、彼を生かし、活かして利用すれば、『アラカミ・レイタ殿の発見』というあなた達の目的も達成出来る可能性が出て来ると言っているのですよ?彼も私もあなた方も、皆に利益が有るのです。私はあなた方と約束しました。『私を手伝って頂ければ、代わりにあなた方の目的を達成する為の援助をする』と。これは、あなた方の願いを叶える一環なのですよ。」
「……そういう所がキツネ殿の嫌な所で御座る。」
キツネの黒い笑みに、男は心底嫌そうな顔をする。
「ンッフッフッフ。まあ、流石にここまで見事にアキト君が渦中の中心に来るとは思いもしませんでしたが。本当に死神が憑いているかもしれませんねぇ。」
「予想外にしては、面白いといった顔をしているで御座るな。」
「ンッフッフッフッフ。いえね、どうせ死神に憑かれているのなら、このまま死神と何処までも踊って頂こうかと思いましてねぇ。どうです?良い見世物になりますよ?」
キツネは、アキトを囮として存分に活用するつもりでいた。アキトの言動に注意が向けば、その分キツネ達は動き易くなる。その為に、アキトにはしっかりと目立って貰わねばならない。
「悪趣味で御座る。」
「そして、それに興味を持った“見物客”から、高い高い“見物料”をガッツリガッポリ頂くと。」
「悪趣味で御座る。」
「どの道、アキト君とシルバーナさんには、“ダンス”の練習もして頂こうと思っていましたからねぇ。将来、王となられるお方なら、“社交ダンス”の教養も必要ですからねぇ。丁度良い機会です。ここでレッスンを受けて頂きましょう。」
「本っ当に悪趣味で御座る。」
キツネの本当の狙いを理解していた為、男の声は凍てつく程に冷たかった。
「シルバーナ殿が女王と成られるには、その為の実績が必要で御座る。故に、シルバーナ殿の導術を利用して、アビス王国でいざこざが起きた時に彼女を活躍させるつもりで御座ろう?」
「おや、良くわかりましたねぇ、その通りです。その為には、修羅場という舞踏場で死神をエスコートする位の実力と度量が必要でしてねぇ。これは良い経験となりましょう。」
アビス王国では、血縁もさる事ながら実績や実力も重要視される。これは、多種族が共存する国において、ある種族のみが優遇される事を防ぎ、不公平感を低減する為である。実際には親の力に任せ、実績も実力も無く親の位を継ぐ者もいるが、部下や領民の反対を抑え込む事に腐心した結果、凋落してしまった貴族も居る。逆に言えば、実績や実力、支持基盤さえ有れば、人族であろうと貴族になる事すら可能であるのだ。
「これでも長い付き合いで御座る。キツネ殿の考え方を、少しは理解しているつもりで御座るよ。それにしても、相変わらず危険な方法で御座るな。アキト殿やシルバーナ殿は大事な虎の子で御座ろうに。」
「過保護に守って育てても、無能で有れば意味無いですよ。獅子は自らの子を谷底に落とし、這い上がって来れる様な強い子のみを育てると言いますからねぇ。私にとって、彼らは虎の子では無く獅子の子です。私が欲しいのは、『アビス王国女王とその夫』なのですよ。それに成れない様では、彼女達の利用価値は低くなる。精々、フェルミ公爵閣下との太いパイプ程度ですかねぇ。」
「それでも充分過ぎるで御座ろう…。」
アキト達を唯の駒にしか見ていない様な、そんな受け答えをするキツネに対して危うさを覚えた男は、キツネの計画の達成の為に重要であろう『ある懸念』について、この際思い切って尋ねる事にする。
「……キツネ殿は、アビス王国を戦乱に落とすつもりで御座るか?」
「それは無いですよ。私が大の戦争嫌いなのは、あなた方も良くご存知でしょう?」
「しかし、それではキツネ殿の計画は…。」
シルバーナをアビス王国の女王に据えると言う、キツネの計画は、アビス王国が平穏で有れば成功する可能性は低くなる。公式には、シルバーナは傍流の王族の庶子である上、導術は無能とされ、実態は忌み嫌われる呪導術しか使えない。例え本当は王位継承順位第一位であったとしても、それのみで国民が彼女を女王として許容するのは難しいのである。
例えバイドンが後ろ盾になって全面協力しようとも、今のマクウィス王が失脚しようとも、他の王族が次の王になる可能性が非常に高い。そのような状況のシルバーナを女王に据えるには、キツネが考えている様に、シルバーナの導術で導族を助け、受け入れ易い状況を造る他に無い。
「あの国は、放っておいてもいずれ勝手に内乱になります。しかし、それでは人族国家が攻め入る絶好の機会を与えてしまいます。それは私の本意では無いですからねぇ。」
「それでは…どうする気で御座るか?」
「アビス王国の強硬派は、恐らくそう遠くない内に内部分裂するでしょう。その際、如何しても小さくない混乱が起きる。特に強硬派が支配する地域では、良くない事を企む輩も出て来るでしょうねぇ。」
「成程、強硬派の導族が支配する地域の導族達を救い、恩義を感じた者を取り込んで支持基盤にするつもりで御座るか。公爵閣下が穏健派を纏めている以上、そこに更に強硬派までも取り込めば、シルバーナ殿に反対する輩は更に少なくなるで御座るな。」
キツネの狙いは、シルバーナの呪導術に対するイメージの転換にある。その為には、実際に彼女が導術を用いて導族を助ける事が必要と、キツネは考える。
「ンッフフフ。公爵閣下にも存分に活躍していただきましょう。」
「国民を救うという実績を積みつつ、混乱による被害を少なく抑えて外国から攻撃する隙を許さない。後はキツネ殿や姉上が得意な工作活動で、シルバーナ殿の印象アップと政敵の排除、“友人”作りなどで地盤を固めれば…って、何故拙者はキツネ殿と同じ様な事を言っているで御座るか?」
「ンッフッフッフ。あなたもアキト君と同じで、私に似てきたという事ですねぇ。」
「それだけは嫌で御座る!」
キツネの嬉しそうな言葉に、男は心底嫌そうな顔をして反発する。
「更にそれだけでは有りませんよ?」
「…アキト殿をそれに随伴させ、シルバーナ殿と共に活躍させるつもりで御座るか?」
「御名答。やはり私に似てきましたねぇ。」
キツネは更に笑顔を黒く染める。その笑顔に、男は苦笑いを返す。
「アキト殿は人族で御座るからな。アビス王国女王の夫君とするには問題が多いで御座る。それを実績でもって反対する者を黙らせるつもりで御座ろう?」
「ンッフッフッフ。アキト君には、是非ともアビス王国で人気者になって貰わないとですねぇ。いやぁ、腕が鳴りますねぇ。どんどん功績をアキト君に押し付けて、立派な英雄にして差し上げないと。」
アビス王国には、実は人族も住んでいる。30年程前のナラカ大陸の転移時に一緒に飛ばされた異世界の人族(異世界の人族国家が導族国家に攻め入って奪った領土に住んでいた)である。この世界に飛ばされた際、導族と協力してこの世界の人族と戦った事(この際、転移鎧を開発した)の実績、前国王の融和政策(代表例として、自身の三番目の妻に人族を娶った事)などにより迫害を免れ、印象は次第に良くなっては来ていたが、未だ差別が根深い所も有る。
しかし、アキトはアビス王国でも好意的な意見が非常に多いヨミ国の出身で、尚且つシルバーナを救った英雄として宣伝されていた為、既にかなりの好印象であった。この上更に導族を助ける実績を積めば、人族出身のアビス王国貴族となれる可能性も充分に有り、そうなれば女王となったシルバーナの夫として受け容れられる可能性も高い。
「……アキト殿が素直に従うとは思えぬが…。」
「従いますよ。シルバーナさんが居ますからねぇ。彼女の立場を危うくする様な事はする筈が有りません。寧ろ、彼女の立場を良くし、補強する為に、偽りの英雄だろうと何だろうと喜んで演じますよ。彼には、シルバーナさんの秘密を敵に知らせてしまったという負い目が有りますからねぇ。」
「相変わらず人の弱味に漬け込むのが上手いで御座るな…。やはりキツネ殿には敵わぬ…。」
男は深く溜息を吐く。キツネは、そんな男の態度を欠片も気にせず、上機嫌に続ける。
「ンッフッフッフ。導族を救うためにならず者達を懲らしめる。その旅の中で、共に生活し、協力し合う内に、何時しか二人の間には深い深い愛情が芽生え、やがて深く男女として愛し合い、そして二人の愛の結晶にして次代の王が…。」
「アキト殿を犯罪者にするつもりで御座るか?」
「ヨミ国では違法でも、アビス王国では特に違法では無いので大丈夫ですよ。」
アビス王国では、結婚年齢に制限は無い。そして、双方の自由意志の元の同意が有り、保護責任者の許可が有れば、そういう行為も違法では無い。以前より減りはしたが、十代前半で出産する事も往々にして有るのだ。(勿論、若過ぎる身体での無理な出産は、母体には危険であるとして推奨はされていない。)
「そうだとしても、アキト殿がシルバーナ殿に手を出すとは思えぬ。」
「そこはシルバーナさんに期待ですねぇ。アキト君を押し倒して、さっさと一線越えて欲しいですねぇ。一度越えてさえしまえば、責任感の強いアキト君は責任を取るでしょうしねぇ。ンッフッフッフ。」
「何処までも悪趣味で御座るな…。」
「そして、女王のシルバーナさんと、その夫のアキト君は、無事に幸せな家庭を築いて幸せに過ごしましたとさ。次代の王の教育(洗脳)や、煩雑な政治(政敵排除の裏工作)の事はこのキツネに全てお任せ下さい。今までよりも、更により良い国を造って見せましょう。ンーッフッフッフッフ!」
キツネは高らかに哄笑した。その笑みは真っ黒であった。
「シルバーナ殿の威を借るのなら、やはり虎の子らしく守った方が良いで御座るよ。あと、そう言うのを、捕らぬ狸の皮算用って言うで御座る。」
「失礼ですね。私は狸では無くキツネです。あと、虎の子は守るより、親虎を罠に嵌めるエサに利用して親子共々手に入れるのが一番利益になりますよ。」
「……最早反論は無駄で御座るか……。」
そうは言うも、キツネの得意な顔にいい加減腹が立った男は、何か意地悪な事を言いたい衝動に駆られる。
「それにしても、キツネ殿も意外とロマンチストで御座るな。やっすいハッピーエンドが好きで御座ろう?話の内容が陳腐過ぎて、今時の小学生でも考えないで御座るよ。」
「…陳腐な内容で悪かったですねぇ。ですが、安かろうと幸せな結末は大好きですよ。増してや、その話の登場人物が自分達だったら、悪い結末になんてしたく無いじゃありませんか。」
「それはそうで御座るが…。」
予想に反して、キツネが開き直って真面に返して来た為、男は言葉に窮する。
「ロマンチストで何がいけないのですか?寧ろ、趣きがあって良いでは有りませんかねぇ。そんなだから二十歳過ぎても、彼女の一人も出来ないのですよ?」
「三十台半ばに差し掛かっても彼女いない歴がイコール年齢な、童貞拗らせた魔法使いのキツネ殿にだけは言われたく無いで御座る。ブーメランになっているのわかって言っているで御座るか?」
「…貴様何故知っている。」
「…ネットの力は怖いで御座るよ?」
そこで、二人は互いに笑い合う。
「冗談はこれ位にして…と。話を戻しますが、あなたにはそんな彼を補佐して守って頂きたいと思っているのです。危険な状況に向かわせるのなら、保険が必要ですからねぇ。」
「密偵の扱いもそうで御座るが、そこはキツネ殿の良い所で御座るな。」
「無理をさせない事ですかねぇ?ええ、そうですよ。実績を出したりするのは重要ですが、無理して情報諸共死んでしまえば意味が無いですからねぇ。有能な人材を育てるのには、時間も労力もお金も掛かるのです。是非とも生き残って、別の機会できっちり活躍して貰わないと。」
「……少しだけ見直した拙者の気持ちを返せで御座る。」
キツネは愉快そうに笑うと、表情を引き締め、男を真剣な眼差しで見る。
「それで、返事は?」
「聞くまでも無いで御座ろう。御意に御座る。」
「ンッフッフッフ、有難うございます。これからは、通信による情報交換も多くなるでしょう。そのつもりでいて下さいねぇ?」
「はぁ…。」
男は、肯定の返事の代わりに、諦めの溜息を一つ吐いた。
「それでは、よろしくお願いします。アラカミ・カキエモン君。」
「その名は格好悪くて嫌いで御座る。」
「本名でしょうに。」
「そうで御座るが納得はして御座らん!…親から貰った大切な名前故、改名などはせぬが、出来ればもっと普通の名前が良かったで御座るよ…。これは親に対する数少ない不満の一つで御座る。」
男改めカキエモンは、頭を抱えて酷く落ち込む。相当気にしているらしい。
「ンッフッフッフ。良いでは有りませんか。面白くて。」
「だから嫌なので御座る…。」
「あなたの似非オタクっぷりも中々に面白いですよ?」
「拙者の素の喋り方に近いで御座る故、これが話し易いので御座る。それに、他人には拙者を侮って貰った方がやり易いで御座るからな。」
「だったら、もう少し似せる努力をした方が良いと思いますがねぇ?」
「そうは仰るが、どうにもオタク文化は解せぬ。まあ、努力は怠らぬで御座るよ。デュフフノフ。」
どうにも中途半端なカキエモンに対して、キツネは苦笑を浮かべる他に無かった。
「大変申し訳ございませんでした。大旦那様。私の至らなさで、大事な跡継ぎたる若様を危険に晒してしまいました。」
学園長の屋敷の座敷で、ヤクモは学園長に平身低頭で土下座して謝罪していた。アサテと戦い、敗北し操られ、アキト達を危険に晒してしまった事に対し、責任を感じていたのである。
「もう良いって言ってんだろ?お前は精一杯やったんだから、もう気にすんじゃねぇよ。それと家の者しかいねぇ時は、俺の事は親父と呼べって言ってんのに。」
「そう言う訳には行きません。立場を弁えるのは大事な事です。私は大旦那様に仕える身、主従関係をきっちりするのは当然です。」
「お前も強情だな…。」
ヤクモの妻のヤクモ・リンは学園長の娘にしてレンの叔母である。ヤクモは立場上、学園長に仕える使用人では有るが、同時に義理の息子でもあった。
学園長は人前ではヤクモの『大旦那様』呼びを認めていたが、家族のみの場所ではよそよそしい呼び方を嫌っていた。学園長にとって家族は大切で特別な存在であり、ヤクモもまた大事な息子であるが為に、他人行儀であるのが気に入らなかったのである。
「兎に角、お前も無事、レンもアキトも無事、皆無事だったんだ。結果オーライ、それで良いじゃねぇか。」
「そんな単純な話では…。はぁ、大旦那様は相変わらずですね…。」
「ガッハッハ。お前の親父はそう言う奴って事だぜ。いい加減諦めるんだな。」
ヤクモは、学園長の性格を良く知っていた。本気で言っている事もわかっていた。其れだけに、自分自身が許せなかった。操られたとは言え、一時でも他の者に忠誠を誓っていた事がどうしようも無く悔しかった。
「……私は今回、敵に忠誠を誓っていました。これは、若様や大旦那様に対する重大な裏切り行為です。」
「…それはお前の本心からの行為か?」
「滅相も御座いません!私は大旦那様以外の方に、心から忠誠を誓う事など有り得ません!」
ヤクモの言葉に学園長は眉を顰める。その声には静かな怒りが込められる。
「なら、良い。」
「……はい。申し訳ございません。」
「俺が何で怒っているか分かるか?」
「……私が、大旦那様を裏切ったから…。」
「違ぇよ。」
学園長は、土下座するヤクモに近付き、拳骨で頭を叩く。力など碌に入っていない軽い物であったが、ヤクモの心には重く響く。
「お前が俺を裏切ったなんて言う、バカな事を言ったからだ。お前は精一杯やって、それでも負けて操られた。ただそれだけだ。それは裏切りでもなんでもねぇ。」
「…はい…。」
「だから、お前がそれに責任を感じる必要はねぇんだ。寧ろ変に気を使われちゃ、やりにくくて敵わねぇ。」
「…しかし、私が負けなければ…。」
「それでも責任感じてんなら、いつも通りのお前に戻れ。不敵に笑って誰かを弄れ。凍てつく笑顔で敵を脅せ。不器用な愛で仲間を守れ。そして、二度とそんなバカな事を言うんじゃねぇ。それがお前に課す俺からの罰だ。言っておくが、拒否なんてさせねぇし、内容も変えねぇからな?」
「…有難うございます。」
学園長の罰と言う名の赦しを得たヤクモは、益々の忠誠を誓う。
「さて、お前の気も済んだだろう。そろそろこれからの話に移らねぇか?」
「…はい。」
ヤクモは顔を上げて学園長を見る。その顔は真剣であった。
「奴らを遂に見つけました。私達が接触した奴とは違いましたが、アサテという人物は確実にあの組織の一員です。召喚術によって逃げた為、導術追跡機を利用する事によってアジトの位置がある程度推測が可能です。恐らく、それは奴も気付いているでしょうが、有力な手掛かりにはなる筈です。」
「ああ、今まで碌な情報が無かったからな。今回の情報はかなり有益だろう。あの狸の口車に乗せられて学園の経営なんて物をやって見たが、まさかこんな形で情報が手に入るとは思わなかったぜ。ま、情報の出処なんて物に興味はねぇから如何でも良いがな。」
学園長らは特殊部隊時代、『神淵ノ端求社』検挙に失敗してから部隊を解散し、個人的に追いかけ続けていた。しかし『神淵ノ端求社』の足取りが掴めず、捜査が行き詰まった時に、キツネが導術開発総合学園の経営の話を持ち掛けてきたのだ。
キツネ曰く、『神淵ノ端求社』は必ず、活動資金の確保の為に導術関連の技術提供を行う筈であり、有力な導術使いを育成して世に送り出したり、導術研究を通して様々な企業や研究所とコネを作る事で情報網を築けば、必ず何処かに引っ掛かるとの事であった。
今回は、アキトが保護したディアの確保の為にアサテが動き出し、それが切っ掛けでアサテの発見に繋がったが為に、情報の入手は偶然の産物では有るのだが、その過程は学園長には重要では無かった。
また、学園長は本当の学園が気に入っており、生徒を育てる事に対しても実はかなりの充実感を感じていたので、情報収集抜きにしても学園の経営は続けていきたいとも考えていた。そのため、口では悪く言っても、学園の経営の話を持ち掛けてきたキツネには感謝をしていた。
「今、カスミが警察に依頼して、奴らのアジトを探して頂いております。此方にも情報を頂ける様にして頂いたので、私も早速行動を起こします。」
「苦節十年余りか…ここまで来るのに長かったな。今度こそ逃がさねぇ。」
「ええ、今度こそは遅れを取りません。必ずや奴らを追い詰め、捕まえます。」
ヤクモも学園長も、声に混じる怒りを隠さない。
「奴らは強敵だ。何があるかわからねぇし、俺もお前も無事に済むかわからねぇ。だが俺は引く訳には行かねぇ…最後の最後までな。…それでもお前は来るか?」
「愚問に御座います。この身の命を賭してお支えする覚悟など、とうの昔に決めて居ります。それに、私の大切な家族の敵なのです。引く事などあり得ません!」
「そうか…その気持ちは有難く受け取るぜ。だが、もしもの時にはお前は引け。」
学園長の言葉に、ヤクモは絶句する。
「な…、何を仰いますか!主人を置いて逃げ果せるだなんて、そんな恥知らずな行為など!」
「その恥を耐え忍べと言っているんだ。」
「そんな…。」
ヤクモは、今回の失態も踏まえ、戦力として期待されていないのかと落ち込む。
「私が、頼りありませんか…。」
「んな事ぁねぇよ。俺を止められる奴ぁ、お前以外にゃそう居ねぇ。ただ、イズモん所に嫁に行ったカスミに手を煩わさせるのもあれだろう?お前にゃ俺のブレーキ役っつう大切な仕事が有るんだ。俺より先に突っ走るんじゃねぇぞって釘を刺してんだよ。」
「大旦那様…。」
「それだけじゃあねぇ。お前には子供達を、俺の大事な孫達を立派に育て上げる責任が有る。俺が育てりゃ、あのお転婆娘共のような人間になっちまうからな。お前にしか頼めねぇんだ。」
学園長は二人の実の娘を思い出し、苦笑いを浮かべた。
「それに俺は、この家の立派な庭木達を、お前以外の奴に管理を任せるつもりはねぇんだからな。だから絶対に死ぬんじゃねぇ。これは主人からの命令だ。」
「そんな…あんまりで…御座います…。」
学園長の気持ちに、その不器用な気遣いに、ヤクモは反論も出来ずに下を向く。
「ただ、勘違いするんじゃねぇぞ?この家の立派な庭を、お前が手入れしてくれている俺ん家の自慢の庭を、一番に愉しむのはこの俺だ。他の奴らにゃ勿体無ぇ。」
「は…はい!」
「俺は死ぬつもりは無ぇ。生きて奴ら捕まえて、孫達の晴れ姿を見て、可愛いひ孫だってこの腕に抱いてやるんだからな!それまでは死ねるかってんだ!」
「勿論で御座います!」
「背中は任せた。しっかり頼むぜ?クロ坊。」
「必ずや御期待に沿いましょう!義父上!」
ヤクモの決意を聞き遂げた学園長は、獰猛に笑う。
「ラン…キョウギ…セッカ…タイメイ…。お前達の敵は必ず取る!そして必ずお前達を見つけ出す!」
未だ行方がわからない、かつての戦友にして大切な子供達を思い、学園長は一人吼えた。その瞳には、煮え滾る溶岩のような、熱くも粘り有る怒りの炎が湧いていた。
「やあ、おかえり、アサテ。おや?随分と上機嫌だね。」
アサテは召喚術により、拠点の一つである寂れた建物の地下にある実験施設の近くの廃ビルに帰還していた。そこから実験施設の部屋に戻ると、彼を待ち受けていたのは、同じ組織に属する仲間の男であった。
「ヒヒヒヒ!わかるかい?さっきから僕の脳神経が早く実験と考察をさせろって五月蝿くてね。久し振りのインスピレーション、この興奮が冷めない内に早く実験をしないとね。ヒッヒヒヒヒ!」
「君が愉しそうで何よりだよ。」
男は興奮するアサテに苦笑する。
「そう言えば、他の皆はどうしたのかな?」
「おや、君が皆を気にするなんて珍しいじゃないか。明日は雪が降るかもね。」
「ヒヒヒ、そう言う事もあるのさ。珍しくて驚いたかい?脳への良い刺激になったろう?」
「フフフ、そう言う事にしておくよ。」
男は口元に笑みを作りながらアサテを見る。
「みんな相変わらずさ。キョウは自分探しの、キノウは強者探しの、オトイは不変の愛を探す旅の真っ最中。自分の好き勝手にやっているよ。」
「ヒヒヒヒ、皆充実しているねぇ。良い事だ。僕も負けていられないね。」
「好きにしたら良いさ。」
いつも以上にご機嫌なアサテの反応に、男は肩を竦める。
「ああ、そうだ。君にも一応伝えて置こうと思うんだけど。良いかな?」
「ヒヒヒ、何かな?」
「僕が懇意にしている所、『オーム』から連絡があってね。どうやら鼠が入り込んで、誰かを唆して情報を奪っていったらしいんだ。更に悪い事に、当の鼠には上手く逃げられちゃった見たい。」
「鼠?」
アサテは、男の言葉を訝しむ。
「君が改良した機械化ムカイドを少し前、『オーム』を介してアビス王国の強硬派に売ったのは覚えているかな?」
「ヒヒ、興味無くて碌に聞いていなかったよ。」
「だろうと思ったよ。」
男は苦笑して溜息を吐く。
「そこの強硬派団体の構成員がたくさん捕まったんだ。世間一般には上手く隠されている見たいだけどね。捕まえたのはあのアラカミ・アキト君と関係者らしい。ムカイドの出処を知っている部隊長は上手く逃げ果せたけど、他に捕まっている構成員から情報が漏れている可能性が有り、鼠が入り込んだのはその情報の所為ではないかって『オーム』から連絡があったんだよ。」
「ヒヒヒ、そいつは大変だね。」
「君がムカイドを使って騒動を起こして来ただろう?それでムカイドがテロリストの武器として有名になる。それを扱っていた上、戦争を起こそうとしていた団体と裏で実際に繋がっていただなんて事実を世間に知られたら、一貫の終わりだね。」
「ヒヒヒヒ、それもそうかな。余り興味無いけどね。」
「そこまで酷く心配する必要も無いと思うんだけどね…。アビス王国の強硬派団体の起こした事は、全責任をシラサギに押し付けたアキト君達にとっても公表したくない情報だろうし。返って余計な事をしないか心配さ。」
男は机に頬杖をついて、憂う様な仕草を見せる。
「ヒヒヒ、わざと止めなかったのは、君が愉しみたいからだろう?」
「フフフ、わかるかい?」
「君はそういうの見るの好きだからねぇ。本当、良い趣味してるよ。」
「フフ、僕も皆と同じ様に充実したいのさ。」
男は造った憂い顔から、歪んだ笑みを浮かべてアサテを見る。アサテは狂っている様な笑顔でそれを見返す。
「そんな訳で、彼らは恐らく何らかの事情を知っているであろう有名人のアラカミ・アキト君とその関係者を狙っている。更に、君が彼らと接触した事を知れば、尚更に動くだろうね。」
「ヒヒヒ、僕はその『オーム』とやらの事は頭から抜け落ちていたから、その情報が漏れる訳は無いんだけどね。」
「…まあ、君と彼らが接触する前に鼠は入り込んでいたみたいだし、その線は薄いと考えるだろうけどね。でも、どうやら鼠は今日入り込んだらしいから、やっぱりアキト君が怪しいと考えているみたい。その情報も疑わしい物だけどね。」
エミリオ達からの情報を元に『オーム』に潜入したのなら、今日スパイが入り込んだという情報と辻褄が合うと『オーム』関係者は考えていると男は語った。
「まあ、とにかく疑わしきは全て処分…と言う事でね。アキト君達とその関係者の内の誰かを誘拐し、情報を聞き出して人質としつつ、情報を知り得る関係者を全員捕まえようとしているんだ。証拠隠滅する為にね。」
「ヒヒヒ!アキト君を?彼は僕のお気に入りなんだけどなぁ。」
「その割には冷静だね。君のお気に入りの危機だってのに。」
「ヒヒヒヒ!彼はそう簡単に仕留められる様な、そんな柔な人間じゃないさ。君もわかっているんだろう?」
「フフフ、君が最後の切り札を用いてまでして逃げ帰って来たんだ。それなりに実力がある事位わかるさ。」
男は相変わらず似合わない歪んだ笑みを続けている。
「ま、実力自体は大した事無いんだけどね。」
「おや、そうなのかい?」
「ヒヒ!だけど、甘く見ると痛い目を見る。僕のようにね。」
「フフ、じゃあ彼らには是非とも彼を甘く見て行動して貰いたいね。」
「ヒヒヒ!相変わらず悪趣味だね。」
「フフフ、それはお互い様だよ。」
アサテと男は笑い合う。その笑い声には、互いに狂気が混じっていた。
「じゃあ、僕は少しばかり彼らを『観賞』して来るよ。君もどうだい?」
「ヒヒヒ、僕は興味が無いから、『干渉』するなら君一人でどうぞ。僕は実験に取り掛かるよ。」
「ツレないなぁ。」
「ヒヒヒ!僕も早く充実したいんだよ。」
男は再び肩を竦め、立ち去ろうとするアサテを見送る。
「じゃあね、また何かあったら会いに来るよ。アサテ。」
「ヒヒヒ!呉々も、僕の貴重な実験時間を浪費しないようにね?アシタ。」
「フフ、努力するよ。」
男もといアシタは、アサテに嗤って答える。
「ああ、そうだ。わかっていると思うけど、もしかしたら近い内に、彼らがやってくるかも知れないから。次に来た時には、此処は無くなっているかもね。ヒヒヒ!」
「大丈夫さ。君が勝てばここは無くならないし、君が負ければそもそも僕は、君に会おうと思わないから。」
「ヒヒヒヒ!全くもってその通り!ヒッヒヒヒヒ!」
悠々と部屋を出て行くアサテを見送ったアシタは、一人残された部屋で再び嗤う。
「さて、僕も愉しもう。君達はどんな姿を、どんな世界を僕に見せてくれるのかい?今から愉しみだよ。フフフフフ。」
アシタの笑顔は先ほどよりも更に醜く歪み、端正な顔を台無しにしていた。しかし、そんな事も気付かない位に、彼の心は暗い喜びに満たされていた。
実は、作中では味方側と敵側で、得ていた情報の違いから、状況の見解の不一致が生じています。
キツネ側:アキト達がアサテと接触した。→『神淵ノ端求社』から繋がりの有る『オーム』にその情報が伝わるだろう。→『オーム』が、内部にスパイが入り込んでいないか身辺調査を始める前に、工作しつつ工作員を撤収させておかねば。
オーム側:スパイが潜り込んでいた。しかも入り込んだのは今日との事だ。→昨日エミリオがムカイドをアキト達に見せていた上、その部下がアキト達に捕まっているらしい。→アキト達がスパイを送り込んだのか?急ぎ確かめねば。
キツネは『オーム』と『神淵ノ端求社』の関係は知っていましたが、『ムカイド』の事は知りませんでした。故に、オーム内部が騒がしくなってアキト達を狙い出したのは、アサテとアキトが接触したからだと考えています。
一方、オームはキツネがスパイを送り込んだとは知らず、カキエモンの工作の結果、送り込んだのは時間的に考えて、ムカイドを売ったエミリオ達から情報を得た可能性の高いアキト達では無いかと考え、アキト達を狙う様になります。
実はキツネの工作が切っ掛けとなって、アキト達が狙われると言う結果に繋がったと言う事なんです。




