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カベタス・サマナー  作者: 休眠熊
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第19話

「うわあああああ!」

「逃げろオオオオ!」


アキトとレンは共にジコクに乗って、公園の出口に向かって逃げていた。理由は、自然公園が炎上してしまった為であった。シルバーナとディアの手伝いで炎を消す事も可能ではあったが、ヤクモの指示も有り、大人しく撤退していた。


「警察の人達はみんな無事でしょうか!」

「今は逃げる方が先決だろう!」

「でもやっぱり心配です!」

「大丈夫だって!公園の中にはもう叔父さん達以外の人間は居ねぇよ!」


逃げるアキト達の後ろを大きな大量の土の狼達が追随する。いずれも腹中に警官が入って居り、自決されたり逃げたり出来ない様に身動きは取れないようにしてある。そして、もう公園内にはヤクモ達以外の人が居ない事も、狼の調べでわかっていた。


「ヤクモさんは、本当に大丈夫ですかね⁉︎」

「わからねぇ!その花は相変わらずウネウネしてるから、大丈夫じゃねぇのか?毒霧は突破されちまったみてぇだけど、その程度でやられる玉じゃねぇさ!今はとにかく、叔父さんを信じるしかねぇ!」

「…うん、わかったよ!レン君!」


アキトは、不安になる気持ちを奮い立たせ、ヤクモの無事を祈る。


「見えてきたぞ!」

「あの人達は警官⁉︎」

「ああ!来るときは隠れて包囲網を突破したが、今はそんな悠長な事はやってらんねぇ!このまま突っ切ってやるぜ!しっかり掴まっていろよ?アキト!」


空中から放たれる巨大な炎に炎上する公園を唖然として眺めている警官達を、アキトとレンを乗せた狼は強行突破する。


「うわあああああ⁉︎」

「公園の中からでっかい狼の群れが!」

「一体何なんだこれは!全然状況がわからんぞ!」

「大丈夫だ!俺にもさっぱりだ!」


次から次へと予想外な事が起きた為に、警官達は只々狼狽えるしかなかった。


「突破成功!結果は上々!良くやったぜ俺、怪我人無し!」

「ええ、でも、出る場所は悪かったみたいです…。」


気付くとアキト達は、沢山の警察関係者にマスコミ、野次馬が集まっている所のど真ん中に佇んでいた。報道陣や一般人は本来なら立ち入りを規制しなければならなかったのだが、人手や情報、時間不足で警察の手が上手く回らず、付近の住民の退避もまだ完了していなかった。

そして、事態をよくわかっていない、興味本位で集まってきている人達の中に、レンは大量の巨大な狼の群れを引き連れて飛び込んでしまったのだ。


「お、おおか、み…?」


誰かが呟く。そして、一瞬の静寂の後、辺りは大混乱となる。テロリストが潜んだという立ち入り禁止の公園の中から巨大な狼が大量に現れた為、テロリストが人を襲う為に狼を放ったのだと勘違いされたのだ。


「しまった!街に狼はヤベェ!」

「えっ何、今更気付いたの⁉︎」

「なんとかしねぇと!手伝えアキト!」

「いやいや、かなりの無茶振りですよね⁉︎」

『アキトお兄さん!落ち着いて下さい!』

『キュピンキュピン!キュッピンピピー!』


アキトとレンが下らない漫才を繰り広げている内に、周囲は警官に囲まれる。手に持つ銃で狙いをつけられ、何時でもアキト達を蜂の巣に出来る準備は万端であった。狼達はレン達を守ろうと一斉に警官たちを威嚇する。更に現場は混乱する。


「おい止めろって!挑発すんな!」

「ええ!制御が出来ないんですか⁉︎」

「おうよ!何せ自律機動だからな!」

「それは自慢にならないですよ!」

『アキトお兄さん!ディアちゃんを、召喚して伏せてください!』

『キュルッピ、キュルッピ、キュッピンピン!』


シルバーナの提案に、アキトはすぐにその場にディアを召喚して、レンと共に地に伏せる。警官隊がそれに驚いてアキトとレンに発砲するが、何故か弾道は途中で曲がってディアに向かい、ディアがその全てを受け止める。


地竜がエサとなる金属を引き寄せるのに利用する特殊導術・金属誘導である。通常はダウジングのように使用する事で、自らの身体を磁石の様に、金属のある方向に引っ張る事が出来る。バイドンはこれを応用して、タウロらの銃弾を手で掴む事が出来たのだ。


ディアの場合は、自身の体重が重い事、導術がかなり強力な事もあいまって、効果範囲はそこまで広くないが、銃弾の方がディアに向かう様に軌道を変えられたのである。


(凄いですね…。ディアはこんな技も駆使できるんですか…。)


アキトはディアの技術に感心した。一方、狼達は発砲された事に激怒し、警官達に襲い掛かろうとする。その時、その場に大きな声が響き渡る。


「ルガウオガアアアアアアアアアアアアアアアアア‼︎‼︎」


ディアの威嚇であった。近くに居たアキトとレンは思わず耳を塞ぎ、狼達はその声に恐怖で萎縮し動きが止まる。警官達も皆怯み、付近は静寂に包まれる。そして、アキトの大きな声がその静寂を破る。


「聞いて下さい!僕達は怪しい者です!が、テロリストではありません!」

「ならば何者だ!」

「ただの学生です!」


警官の問い掛けに対して、アキトは馬鹿正直に答えた。一方レンは、狼達を落ち着かせようと宥めていた。


「ただの学生が何故こんな所に居るんだ!テロリストの仲間だからここに居たんだろう!」

「違います!僕らはテロリストに脅されてここまで連れてこられたんです!そして、テロリストの隙を見て逃げてきたんです!あの空で炎を放っているのが敵のテロリストです!今僕らの保護者の方が戦っているんです!お願いです、信じてください!」


アキトは一部嘘を交えながら土下座し懇願したが、相変わらず警戒は解かれなかった。


「まだ信用に足る証拠が無い!だが、大人しく投降すればこちらも手荒な事はしない!先ずはその狼を何とかしなさい!話はそれからだ!」


警官の言う事は至極尤もではあったが、ムカイドの存在の為に、術を解いて警官達を解放する事は危険が伴う。アキトはレンに小声で相談する。


「どうしましょう、レン君。まだ警官達の中にムカイドが潜んでいるんですよね。」

「ああ、しっかり入り込んでやがる。ここでもしも解放すれば何しでかすかわからねぇ。」

「おい!何をヒソヒソと話しているんだ!怪しい動きを見せれば、テロリストと見なすぞ!」


アキトとレンが相談しているのを見た警官が苛立つ。


「すみません!別に何か企んでいるわけではないのです!事情がありまして!少しだけ時間を下さい!」


アキトが必死に弁明している時、アキトの無線に連絡が入る。


『もしもし、アキト君、聞こえますか?コチヤです。今シルバーナさんから無線をお借りして話しています。』

「コチヤ先生?」

『カスミ先生の方の事件は先程解決したそうです。私からカスミ先生に連絡を入れて、そちらに向かうように要請を出します。彼女なら警察に顔が効きますから、こちらの説得に応じてくれる筈です。それまで何とか持ち堪えて下さい。時間稼ぎにはカスミ先生の名前を出せば効果的ですので。』

「わかりました。ありがとうございます。」


アキトはレンに事情を手短に話す。すると、レンは露骨に嫌な顔をする。


「うへぇ、カスミ叔母さんが来るのかよ…。確かに叔母さんなら警察を説得出来るかもだけど、俺あの人苦手なんだよなぁ…。」

「そんな贅沢言ってられませんよ。とにかく今は事情を話して、何とか時間稼ぎをしないと…。」


アキトは警官隊に向き直ると事情を話す。特にムカイドやカスミの事を“強調”して伝える。予想通りと言うか、やはり一部の警官は、カスミの名前に戦慄していた。そして、恐らく現場の責任者らしき一人の警部が前に出て来る。その顔には恐怖の色が浮かんでいた。


「わ、わかった。イズモ殿が参られると言うなら、それまでその術を解かなくて良い。ただし、妙な真似はしないでくれよ?幾らイズモ殿の頼みとは言え、流石に命が危なくなる位なら反撃するのもや、やむを得ないだろう?」

「わ、わかりました。何もしませんから、そんなに怖がらないでください…。」


警部は明らかにカスミに恐怖していた。カスミのネームバリュー(悪名)は、アキト達の予想以上に効果絶大であった。


「うわぁ…、どんだけ叔母さん怖がられてんだよ。てか、本当に何したんだよ…。」

「僕もここまでの反応は予想外でした…。カスミ先生の名前を出すだけで良かったんですね…。」

「キュイキュイ。」


呆れる二人に対し、ディアは『わかる、わかるぞその気持ち』というかの様に頷いた。


「これで一先ず、時間稼ぎは大丈夫でしょう。後は、あの人達の中にムカイドが仕込まれていないか、ですかね。すぐに見つけられれば良いのですが…。」

「その心配にゃ及ばねぇぜ。ムカイドの匂いは覚えたからな。俺の狼達なら、ムカイドが出て来りゃすぐに見つけられる。狼達は土だから、ムカイドにも取り付かれねぇしな。」

「そうなんですか!それは有難いです!」

「おうよ、何ならもっと褒めてくれても良いんだぜ?」


鼻高々に自慢するレンを一先ず置いておいて、アキトは燃え盛る公園を見て、呟く。


「あとは、ヤクモさんの勝利を信じましょう。」








「ぐ…が…。」

「惜しかったですね。あともう少しで貴方の勝利だったのですがね。」


焦土と化した公園の中で、ヤクモは満面の笑みで男を蔦で縛り上げていた。男は身動きが取れず、導術も使えなかった。その背中からは血が流れていた。


「ヒ…ヒヒ…やるねぇ…。まさか君が…縁絶鋼製銃弾を…利用するとは…。予想外…だったよ…。さっきの場所には…無かったから、てっきり…彼が持って…いったとばかり…。」

「アキト様の計らいですよ。もしもの時の為にと、蔦に巻かれた際に秘密裏に拳銃を渡して下さったのです。ムカイド相手では、銃で狙うのは大変ですからね。」

「ヒヒ…捕らえた…警官達の武器を…木に…持って来させ無かったのは…、僕を…油断させる為…だね?」

「あなたが、何らかの手段で警官達の行動を監視している可能性は考えられましたからね。」


アキトは、蔦に巻かれて飛ぶ際に、こっそりと拳銃を蔦に渡していた。そして、蔦は飛んでいく途中で一部分離して拳銃に巻きつきながらをこっそりと落ち、それを周辺の木々が秘密裏に回収、根を使って地面の下に拳銃を隠し、ヤクモ達が戦う場所の地下に移動させておいたのである。蔦を巻いたままで土の下を移動させることで、土が拳銃に入り込んで動作不良を起こす事を防いでもいた。


(今回は私もかなり汚い手段を用いてしまいました。精進が足りないですね。)


男がヤクモに近付く際に、ヤクモはそれとなく拳銃の位置が男の真後ろになる様に誘導した。そして、自身の足裏から木の根を伸ばして銃を取り、男がまさにヤクモにムカイドを仕込もうと集中し、また油断している時に、背後から縁絶鋼製銃弾を撃ち込んだのである。そして、百足に銃弾を取り出させる前に蔦で男を縛り上げ、導術の行使と身動きとを封じたのである。


「ヒ…ヒヒ…。予想外…最高だ…。」

「あなたは本当にブレないですね…。ある意味で尊敬しますよ。」


男は相変わらず恍惚とした表情を浮かべていた。その表情を、ヤクモは呆れながら見ていた。


「ヒ…ヒヒ…。これは…出し惜しみ…出来ないね…。」

「あなたに他の武器は無いとわかりましたし、百足を使いますか?言っておきますが、何かしようとすれば、あなたの頭を破壊します。」


ヤクモは男の周囲を大量の蔦で隈なく監視する。どの縫合痕から百足が出て来ても即対応出来るように警戒する。頭には蔦を執拗に巻き付け、力を込めて締め潰す用意もする。


「もしも、頭を破壊されたく無ければ、百足の操作を全て止めて、大人しく捕まって頂きましょうか。脳を何よりも大事になさるあなたです。きっと私の申し出を受けて頂けると思うのですが。」


男の意識をコピーされたムカイドが無理やり男の意識の代わりを務めていようとも、そのコピー元である男の脳が無ければ、ただの百足となる。ムカイド自体には確固とした自己は無く、男の考え方を、脳に取り付いて模倣しているだけであるためだ。ヤクモは、事件を解決するために、アキト達を守る為に、最悪男の殺害も止むなしと考えていた。


「ヒヒ…ヒ…怖いねぇ…。」

「では、申し出を受けて頂けますか?」


男は冷ややかな目で、警戒するヤクモを見つめる。


「ヒ…ヒヒヒ…嫌だね。」

「あなたなら、そう言うと思いましたよ。残念ですが、お別れです。」


ヤクモは蔦に力を込めて、男の頭を潰そうとする。が、急に蔦に力が入らなくなる。


「何⁉︎」

「ヒッハー!」


男の頭に巻かれた蔦の中から、ムカイドが飛び出す。


(まさか、体内の縁絶鋼製銃弾を⁉︎)


ヤクモは予想外の攻撃に驚く。男はムカイドを利用して、弾を体外に出すのでは無く、頭に持ってきて皮膚を破り、内側から蔦に押し付けたのだ。そして、縁絶鋼の効果で蔦は操作が出来なくなったのである。ヤクモは急ぎ蔦を操ってムカイドを縛る。


「まだまだァ!」

「ぬぅっ!」


更に、男の首元の縫合痕では“ない”ところの皮膚を突き破って、百足が飛び出す。縫合痕から百足が出ると考えていたヤクモは意表を突かれるが、またも蔦で百足の突撃を防ぐ。


「ヒヒヒヒヒ!引っ掛かったな!」

「な⁉︎」


ヤクモはまたも驚く。巻きつけた筈の蔦に力が入らないのである。縁絶鋼製銃弾はまだ男の頭を巻きつける蔦の所にあり、それをもし持って来ているなら蔦が自由に動く筈なので、とっくに男の頭を潰している。ヤクモは困惑する。


(一体何が…?)


ヤクモが戦慄しながら男と距離を取る為に、後方に蔦を伸ばしつつ、念の為に地面の下に太く根を伸ばして二つの方向への逃げ道を確保しようとしたが、突如生じた炎により邪魔をされる。


「エンカイド⁉︎何故!」

「ヒッヒヒヒ!ムカイドだけじゃ無いんだよねぇ!」


ムカイドに混じって出て来たエンカイドの炎により、後方の蔦はと足元の根を焼かれる。ヤクモは自身の投げ上げて、燃えた部分を切り離す事で辛くもその炎を逃れるが、付近に木々は無いため、空中で移動したり姿勢を制御出来ない。空中で身動きが上手く取れないヤクモに対し、アサテからは更に大きめのムカイドが飛び出して襲い掛かる。


「この程度!」

「やれ!」


ヤクモはそのムカイドを捕らえるが、その蔦に何かが取り付く。縛った時に力が抜けた例の百足であった。その百足が取り付いた時、またも力が抜ける。その結果、その蔦で捕らえたムカイドが再び突撃を開始する。


(これが原因か!)


ヤクモは目の前まで迫ったムカイドを蔦で何とか押さえながら、例の百足を睨みつける。そして、近くに転がる石を蔦で掴んで振り回し、百足を殴り飛ばす。力は抜けなかった。


「ピガアアアア!」

「くっ!」


ヤクモは例の百足が、最初に捕らえたムカイドを縛る蔦を、殴られる途中で無効化して行ったのに気付いた。そのムカイドが再び動き出すと、急ぎ蔦を操作してそれを捕まえようとする。


「ピガアアアアアアアア!」

「ぐっ⁉︎」


すると、その一瞬の注意の乱れが、ヤクモに隙を与えた。目の前の大きめのムカイドの中から、小さめのムカイドが飛び出したのだ。隙を突かれ、意表を突かれたその突撃を、自身の耳や口を蔦で塞いですんでの所で防ぐ。


「があっ⁉︎」


大きめのムカイドの腹を食い破って、別の百足がヤクモの腕に取り付いた。ヤクモは腕に痛みが走ると共に、導術が使えなくなる感覚を覚える。


「まさか縁絶鋼!何故⁉︎」

「ヒヒヒ!予想外だったねぇ!」


ヤクモは焦る。何故縁絶鋼を体内に仕込んで導術が使えたのかなど、疑問に思う事はあったが、それよりも今は、自らの力が封じられてしまった事が重要だった。


(逃げ…切れない!)


至近距離まで迫っていたムカイドを、導術も無しに振り切る事は敵わず、力の抜けた蔦を掻い潜ったムカイドは、耳からヤクモの体内に入り込み、意識を奪う。


(アキト様…若様…お逃げ…を…。)


薄れ行く意識の中、ヤクモはただただ、アキト達の心配をしていた。


「ヒヒヒヒ!惜しかったねぇ。」


倒れ伏すヤクモを、男はニヤニヤと嗤いながら見つめていた。傷は全て焼いて潰していた。


「縁絶鋼を仕込んだ機械化百足、ゼツカイドだよ。小さな縁絶鋼の欠片を体内に仕込んでいて、必要に応じて体の各所から取り出して目標に撃ち込めるんだ。僕の作品の一つさ。…あそっか、今君は気絶状態だったね。」


誰も聞くことの無い説明を、男は得意げに話す。


「前提条件は常に変化する。縁絶鋼を体内に取り込めば、導術が使えない。だから体内に縁絶鋼は隠せないなんて、そんな思い込みに君は負けたのさ。どうだい?予想外で面白いだろう?

科学と同じさ…。今までの常識が、これからも常識だなんて限らない。常に新しい発見によって、その常識は千変万化する。それまでの情報に捕らわれる思い込み、これは僕自身にも言える事だけど、本当に危険な事だ。気をつけないとね。」


縁絶鋼は通常、接触しなければ効果を発揮しない。ゼツカイドは通常時、その体内にそれを隠す事で、宿主の男の導術を妨害しなかったのだ。ゼツカイド自身は導術が使えないが、導術使い相手の戦いにおいて、相手の導術を妨害するゼツカイドは非常に有効である。


「ふむ…どうやら術者の意識が切れると、毒の効果も薄れるみたいだね。もう元に戻しても大丈夫かな?」


ムカイドによる自分自身の操作を解くと、まだ幾ばくか麻痺が残るものの自由になった身体を動かし、自分の意識が問題無く動作する事を確認する。


「ヒヒヒ!やっぱり自分の頭を使っているって言う感覚は素晴らしいね!発想が湧いてくる!堪んないーー‼︎」


男は饒舌に語り続ける。


「ヒヒヒ!それにしても、やっぱり君は凄いよ。あれ程の猛攻をほとんど防いでしまうんだからね。もしも僕の手の内がバレていたり、最初から僕を殺す気で来ていたら、恐らく僕に勝ち目は無かったよ。だけど、苦労して君を手に入れる事が出来て本当によかった。これから存分に働いて貰うから、宜しく。」


男は、ゆっくりと立ち上がるヤクモに嗤いながら話しかける。


「ええ、よろしくお願い致します。このヤクモ・クロガネ、誠心誠意あなた様にお仕えいたします。」


起き上がったヤクモは、腕から縁絶鋼を引き抜きながら、新たな主人に忠誠を誓った。

ヤクモさん敗北回でした。


『獲物を前に舌舐めずりは三流』と言いますが、『有無を言わさず敵なら殺す』というのもどうかと思ってしまいます。ただ、やはり危険なことには変わらないので、『敵・即・殺』の方が安全と言えばそうなのでしょうね。


ヤクモさんが敵に操られてしまいましたので、次回はヤクモさんがアキト達を追い詰める事になります。優秀な人材は、敵に回ると恐ろしいと言う事が、少しでも描写出来たらなと思います。

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