第15話
今回は先生視点です。
相手の暗殺者集団は全員黒づくめで顔は良く見えず、車から降りてきた8人と、狙撃手2人の少なくとも10人以上はいる事がわかった。
全員が銃を所持し、更に中にはビデオカメラを持った人物もいた。
8人はリーダー格とカメラを持つ者の2人が後方待機、残りの6名が銃を構えつつコウガの車に対して扇状に展開して、少しずつ距離を詰めて来ていた。
「そこで止まりなさい!あなた達は何が目的ですか!どうして私達を狙うのです!」
相手の目的などわかりきっていたコウガだったが、今は少しでも時間を稼ぐためと、銃を警戒して車の影に隠れつつ相手に質問を投げかけた。
「その車の中にアビス王国の貴族がいるだろう。その者を渡して貰いたい。」
「嫌だと言ったら?」
「貴様の命が無くなるだけだ。」
「それは嫌ですね。ですが、シルバーナ様を渡す訳には生きません!」
言うや否や、コウガは手に隠し持っていた閃光弾を足元に密かに落とした。
「クッ!。」
炸裂した閃光に暫し目を潰された暗殺者達は、次の瞬間飛んでくる何かに気付くのが遅れた。
「があ!。」
暗殺者の一人が吹き飛ばされ、道の反対側の建物の壁に激突した。
「少々汚い手かも知れませんが、そこはあなた達も複数で挑んで来ているのですからお互い様ということで。」
彼らが見た物は、一体の甲冑であった。すかさず暗殺者達は手に持っていた銃で攻撃するが、甲冑には傷一つ付かない。
「こいつはA班で抑え込め!B班は貴族の娘を狙え!」
暗殺者集団は、甲冑の動きを抑える組と、シルバーナを確保する組に分かれて別に行動しようとしたが、車の前に何体もの甲冑が現れている事に驚き立ち止まる。
『ココカラ先ヘハ通シハシナイ。』
甲冑達が皆、コウガと同じ声で喋る。暗殺者の一人が呟く。
「土導術。いやこれは土系創造召喚の鉄人形か…。」
鎧のみで動く騎士達。これこそコウガの創造召喚、リビングアーマー・レギオンであった。
これらは全て自律機動可能で、各自に行動を指定しなくても、それぞれがコウガの行動様式に則って動くことが出来る。また、各自の視界とコウガの視界が共有可能である代物であり、其処から繰り出される連携攻撃は死角がなかった。
車に近づこうとした2人に対して、リビングアーマーは4体が相対し、防御に徹しながら行動を阻害する様に動いていたため、なかなか暗殺者は車に近付くことが出来ずにいた。
「クソッ!このままでは増援が来るぞ!」
「洒落臭え!!」
暗殺者の一人が焦りの余り叫ぶと、別の一人がコウガに向かって突撃した。その男は銃を捨て、背中に背負った大斧をコウガ目掛け振り下ろした。コウガはそれをひらりと避けて距離を取る。見ると元居た位置に斧が綺麗にめり込んでいた。
「おいタウロ!ここで導術を使っては!」
「そんな悠長な事やってられっか!!早くしねぇと増援が来るんだ!こいつを倒せば創造召喚は解ける!とっととこいつをぶっ殺す!」
タウロと呼ばれた大男は、いともたやすく斧を引っこ抜くと再び構えた。
「エミリオ様、先日の汚名を返上する機会をくれぃ!すぐこいつをぶっ殺して娘を連れ出す!」
「うむ…、わかった。ただし、娘は導術で傷付けない様に注意しろ。」
エミリオと呼ばれた、恐らく暗殺者集団のリーダー格と思われる人物は、タウロの申請を許可すると、カメラを持つ人物に撮影を止めるように指示した。
「ありがとうございます、エミリオ様!」
タウロはエミリオに礼を述べると、コウガに向き直り、叫んだ。
「おいテメェ、さっきから不意打ちだの多人数による袋叩きだの、格好は騎士のクセにやることが汚ぇんだよ!テメェは騎士の大事な誇りを汚した!泣いたって許してやらねぇからな!」
「おやおや、あなたが騎士について一家言持ちですか?見るからに騎士じゃなさそうですがね。」
コウガは相手が頭に血がのぼりやすいと見て、露骨に挑発した。
「んだとテメェ!いいだろう教えてやる。俺は栄えあるアビス王国騎士団、『純血導盟騎士団』所属騎士、『大斧』タウロ・ミノラグルドだ!これから貴様に騎士の誇りを汚した罪を身をもって教えてやるから覚悟しろ!」
相手の正体を掴んだコウガは内心ほくそ笑み、
「おやおや、名乗られてしまいましたか。ではこちらも名乗らなければ失礼ですね。私は導力開発総合学園所属、召還導術実習担当特別講師、ミノリ・コウガ。これからあなたに教育的指導を行いますので覚悟なさい!」
コウガは、相手の気迫を物ともしない勢いで名乗り返し、タウロと相対した。
次回は先生が活躍します。




