第7話 終末ドライブ
駐車場を先へ進むと四角いトンネルが奥にずっと続く。三方向の分かれ道はど真ん中を選択、車がすれ違える程度の幅を突っ走る。
前に壁が見えて心配になるが、上に動き始めて隔壁だと分かった。えらく厳重な構造だ。
しかし、車の速さがアクセルペダルをベタ踏みするレベルなため安心はできない。声をかけるか迷うけど、自分より勝手を知るのに出しゃばってもなと抑えた。
迫る壁には身体が緊張でこわばる。本当に大丈夫なのかと覚悟が決まる前に、屋根の擦る音が聞こえて通り抜けた。
「へーい! ギリギリセーフ!」
「バカやってんなよ」
遊びにしては危険すぎる。まさに冷や汗ものだった。
「武達ちゃんが悲鳴を上げて助けを求めたら楽しいでしょ」
バックミラー越しに笑う藤雉と目が合う。ドン引きの下ネタに比べれば遥かにマシか……。
「そりゃセクハラまがいの行為だ。注意したおれにポイント移動な」
「あたしは運転でプラスだし?」
「メイクもプラスか?」
あんまりガバガバな判定で稼がれても困る。特にメモるわけでもなし、あとが怖くなってきた。
隔壁はいくつもあり自動的に上下する仕組みらしく、何度も屋根を擦る始末。通るなら事前に全てを開けるとか、他にやり方はあると思うが。
時間にすれば数分の走りで道が上を向いて外に出た。まだ太陽が眩しく目を細める。幅が広まって見えた景色は団地に続く団地だった。街路樹も生えてて断絶前とさほど変わりないような。
「再開発地域は綺麗だよねー」
バックミラーで表情を読み取られたのか、藤雉が話を振ってくれる。惨状を考えると、しばらくはプレハブ小屋すら上等で、野宿が当たり前だったはずだ。
「一度は更地だっけ?」
「荒れてても住みやすい場所があるわけさ。そこに百年以上持つなんて触れ込みの建物をバンバン作っちゃうんだから。さすが、我らが人類!」
ロストテクノロジーだらけとはいえ底力を感じた。道の中央にはレールが現れ、景色にも変化が訪れる。田んぼに畑、農場などでひどく牧歌的だった。
ビニールハウスにシンプルな箱型建物も食料関連の施設かな。人口減少で自給率そのものは上がってそう、というか海外との行き来も怪しいし。まかなうしかないのが現状か。いただきますの精神を大切にだ。
そして、徐々に緑は減りコンクリートと土色が増えてくる。
「まだ瓦礫が残るんだな」
「必要になれば片付けてこうよ、って方針かなー。これでも倒壊しかけな建物は処理済みだけどさ」
「ジャムが隠れてたら洒落にならん。万全を期した態勢も労力ばっかで疲れるぜ?」
「ジャム?」
「JPEのナウな言い方ね!」
断絶の原因になったやつか。世界を壊す存在が未だにいるかもってマジ? 軟禁も納得のハードモードだった。まぁ外出のわがままを聞いてくれるんだし。リスクも場所によると。
窓からの眺めはレンガ造りのビル群に変わり、大きな倉庫と電車が見える。電線が四方に伸びる様子は不思議と懐かしく映った。
「破壊を免れた車両基地を中心に、小さな町を整備したんだよねー」
「単にベース呼びされてんな」
「路面電車にできたのは大助かり!」
作業服を着て歩くのは女だけ。男とバレたら一体どうなるか。モテモテで終わる平和な社会であってほしかった。
藤雉は車を閉じたゲートの前で止める。向こう側は、どことなく校舎の面影を持つレンガの建物だ。エンブレムには黒と銀のコインにアルファベットのCが刻まれていた。
「ご用件は?」
「車を置かせてよ」
近づく警備のお姉さんに手帳を見せると、ゲートを開けてくれる。アスファルトの敷地内を左へ進んだ先に、布製の屋根で覆われた駐車場が現れた。
「ほい、車はここまで!」
地面に降りて伸びをする。外の空気に触れる機会は渡り廊下ぐらいだったので、シャバに出られたような解放感だ。
やけに大人しい斑柄も興奮状態でなければ、こんなもんか。四人でゲートから敷地を離れると警備のお姉さんが頭を下げる。
「一介の高校生に丁寧だな」
「おれたちは男の警護を任されてんだぞ? エリート様に敬意を示すのは当然だ」
「それは言いすぎー」
戦闘訓練をこなすし銃とナイフにも平気で、ただのクラスメイトとは思っていないが。比率を考えれば女子オンリーの学校が多いはず。何かしらの基準で男子がいるクラスに選ばれるのだろう。
「いかに暴力的か、ってのは重要だぜ?」
「あながち間違いじゃなかったりして」
そこは優しさであるべきじゃ? 最低限、尻を狙いませんと誓約書に署名を頼む。
「斑柄も結構やるんだよな」
巳家に肩を組まれて迷惑そうにするが。手つなぎと同程度の接触で表情が険しくなった。
石畳の道をすっかり新鮮な感覚で歩いていると、トラックが度々行き交う。建物の煙突に上がる水蒸気など工場が集まるのが分かる。
コンビニを発見し久々にホットコーナーへの欲求が高まるなか、藤雉が向かうのは路面電車の停留場だった。
「せっかくならね!」
「武達がいるんだ。電車は乗りてーよな」
「いやー、様式美は大事!」
「恋人同士の痴漢プレイはセーフ」
人並み以上に元気な下半身との認識も、二人の勢いには臆する。自身の性欲がちっぽけだと分からされると、余計及び腰になった。環境って怖い。
『X』と『pixiv』もやってます。
FANZAサークル名:deep78pool
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『男女比1:20の終末貞操逆転世界で女の子好きな私が〇〇〇される話』




