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六日。

 鏡は何をうつしているのか。

 笑ってる私?泣いてる私?

 どっちも違う気がする。

「鏡に問いかける物語って多いじゃん?どうしてなのかな。自分と話せて楽しいのかな。」

 何故か休みの日なのにも出会ってしまったあの子と、二人で鏡を眺めながら呟いた。

 鏡の中の、私の隣で曖昧に笑ってる顔が見える。

「自分自身と話すとか、よくある話なんだよね。哲学?自分と話すのって大事なのかな。」

 二人で遊園地。なんだか、デートみたいだった。

「鏡の中の自分の顔なんて、あまり詳しく見てないんだよね。見るのはお肌の調子とか、目の下のくまとか。気にしてるのは、顔ばっか。あれ、顔よく見てるのかなこれ。」

 二人とも、家族みんなで遊園地。こんなのって被る時もあるんだ、世の中って狭いんだなって、改めて思うようになった。

「家族みんな、期待してるのかな。うちの娘が恋人作ってくるのか?って、わいわいしてるのかも。」

 ふとお父さんの顔が浮かんで、ちょっとにやにやしてそうな感じがした。

「やっぱり。」

 案の定、お父さんは笑っていた。楽しげに。

「ごめんね、話がぐるぐるしてて。」

 むっとした。理由はわからないけど、私とこの子が一緒にいるのを見て楽しそうにしてるのが、なんだか癪だった。

 一緒にいるところを見られるのが恥ずかしいと思うのかも知れない、私は。

「君の家族はどう?そっちも私を特別な人だと思ってわいわいしてるのかな。」

 悪い人なのだろうか。

「そうなんだ。私と一緒なんだね。」

 まだ、幼いからなのかも。

 若いのだ。まだ、自分の心に名付けるくらい、私は大人にはなっていない。

「お揃いなんだねー。」

 そっと近づいて、ぎゅーっと腕に抱き着いてみる。

 びくっと跳ねる感じがした。

「ねぇー、あっち見てー?鏡の中。私達、仲良しに見えるでしょー?」

 私はこの姿を見られるのか、見られたくないのか、未だにわからないけど。

「ひょっとしたら、恋人に見えるかも?」

 こんな姿を自分で眺めるのは案外、楽しかった。

「むふふ。君も抱いてみる?」

 見られたくはないけど、見たいと。

「好きなんでしょ?私のこと。」

 この関係が私だけのものだったら、そう思っているのかも知れない。

「きゃー、強いよー。」

 強く抱きしめられる私達の姿は、とても熱く燃える恋の姿に見えた。

 映画の中の、恋が叶うシーンみたいだな。

 束の間。

「終わりー?もう気が済んだ?」

 その熱い恋はすぐに冷めて、お互いを抱く前よりも遠い距離になってしまう。

 二歩くらい離れたところで、歩幅を合わす私達。

 これは普通の友達に見えるだろう。

「あはは、変なかおー。」

 私は普通の友達といる時、こんな顔をしてたのか。

「もう飽きたし、なんか食べに行こー?遊園地といえばギョウザドッグじゃない?あ、ここにはなかったっけ。じゃあ……ホットドッグ?」

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