二十九日。
「ドキドキが欲しい!」
相変わらずの四人で、カフェで胃袋の中に甘味を詰め込んでいた時。相変わらず、美羽が口を開く。
「ホラー映画見りゃいいじゃないの。」
相変わらず美羽には素っ気ない綾も。
「吊り橋効果的な?」
「ちがーうよ!もっと心暖かく、でもひんやりしてて、ニヤニヤしたくなるドキドキがいいの!」
この四人がどうやって仲良くなったのか、今更ながら疑問に思ってしまう。
「コメディー寄りのホラー映画でよくない?」
「確かに、コメディーでにやにやしてホラーでひんやりドキドキ出来るかも。」
「だから違うって!」
いつも騒がしく恋愛ばかり考える美羽と、そんな美羽が大好きで八つ当たりする綾と、適当に受け流してスマホばっかみるかな。
それと、私。
「恋人作れば。」
「ぬっ………ド正論ですけどぉ…わたしと付き合える男もそうそうないし……」
色鮮やかな四人組だなぁ。いつも思う。
「……!」
せっかく集まってそれぞれスマホ見たり本読んだり喋ったりお絵描きしたりと。
一人でやるのはつまんなくて、でも一緒にやれる人もなくて、集まってそれぞれの趣味を嗜む。
これはかなり上品な遊び方なのだろう。
「男だけ見るからいけないのかも…もし、女も守備範囲に入れたらいけるんじゃない?」
「子供も作れないのに付き合う意味ある?」
「あるよ!子供なんかより、心の混ざり合いが大事なんだからっ。子供なんか拾えばいいじゃん。」
「やばっ。」
こうやって集まるのは読書の時間が出来ていいけど、ぶっちゃけ集中できない。
「義理の子とかよくあるし。大事なのは血の繋がりなんかじゃなく、社会的に許されるか否かだよ。」
美羽がうるさいのもあるけど、その話題がかなり私の興味を誘う場合が多いからだった。
「同性愛って社会的に許されてないじゃん。結婚できないし。」
「それもそうか……じゃあ、結婚しなきゃいいだけだし。愛の結末が結婚ではないの!数々の愛の物語の最果ては結婚じゃない!付き合うことだよ!それとも愛を確かめ合うとか。」
「ほぇー。」
最近になって美羽の言葉に耳を傾けてしまうのは多分、私が恋愛まがいなことを始めたのが一番の理由なのだろう。
「愛は形じゃない!心なんだよ。結婚なんか、社会的に『わたし達はもう二人だけの世界に入りますので指図は結構です』って意味なの!もう他の相手なんか見向きもせず二人だけを見ますーって契約で、約束で、呪いなの!」
たまに、美羽の言葉は役にたつのだ。
「愛は呪いだ!起きても寝ても、歩いても走っても、心を蝕み、本能をくすぐる呪い!」
どういう流れで話がここまで流れたのかはわかんないけど、結構楽しい。
「つまり陽鞠は相手と呪いあってるってこと。」
「人聞き悪いな。」
「でも本当でしょ?お互い、だんだん相手なしじゃ生きてられなくなるんだから。日常のどんな時でもふと相手を思って、隣にいないと悲しくて、一緒にいたらもっと一緒にいたくなるから。」
恋愛なんてした事もない子の恋愛のアドバイスとか、恋愛観とか聞いて役にたつかはわかんないけど。




