二十七日。
いつも追いかけられるばかりじゃ、もったいない。相手もきっと疲れるだろう。
そう思って、教室を出たのはよいものの、あの子がどこのクラスなのか全くわからない。思い当たりすらない事を、今更ながら知った。
「ね、そこのあなた。」
「え、わたし…?」
「そうよ、あなた。聞きたいことあるけど。」
だから誰かに聞くことにした。だから通りかかりの生徒に声をかけてみる。
おどおどしてる姿が印象的な子だった。
「人探してるの。私とよく遊ぶ子。知ってるかな。」
「多分…知ってますよ?」
「どこのクラスなのか知ってる?」
「知りません……」
聞いただけでなんでもかんでもわかったら、人はきっと怠惰になるだろう。
「そうなんだ。急に止めてごめんね。」
ここは運に任せた方がいいのかも知れない。どこでも入ってみたら、いるんじゃないか。手当次第に探る方が効率的なのかも知れない。
「ない…」
真っ先に入った教室にはなかった。
次も、その次も。
たった六つしかないクラスの中でもう半分も探したのに、ない。私とは程遠いところで住んでいたんだな、あの子は。
「あった。」
四番目に、私と隣の隣の隣のクラス。そこに、ようやく見つけた。おかげで一苦労したんだから、愚痴の一つくらいは言ってあげなきゃ。
「ね、こんにちは。」
てくてく歩いていくと、とても驚いたように、まるで跳ね上がるような姿が見えた。
「探すの大変だった。なんで教えてくれなかったの?君のクラス、知ってたらもっと早く来たのに。」
昼休みは半分をとっくに超えて、もうすぐ授業の時間になりかけた頃。
「なに、私から会いに来ちゃだめ?」
人探しに十分くらいは使ったような、でもあっという間ではあったような。
楽しかったのかも。
「なに言ってんの。友達だし、普通に遊びにも来るんでしょ?君もよく来てたし。」
私もかなり変わり者のようだ。私が来て喜ぶ顔と、いきなり来ないでって恨めしそうな声も、周りを気にしておどおどする仕草も。
どれも、可愛く見える。
「近くないよ。友達だし、机の上にも座れるし。」
顔もほのかに赤くなったのが、私の中のちょっと悪いところをくすぐる。
「なになにー?もしかして、変なこと考えた?私の足見て、なに考えたのかなー。知りたくはないかも。」
でも今はこんなことしに来たんじゃないから、時間もないし、要件だけさくっと伝えよう。
「ねぇ。」
じーっと、机の上に座って、脚をちょっとだけ広げて、瞳を眺めて、名前を呼ぶ。
「今日さ、一緒に。」
そして、言った。
「デートしよ?」




