二十六日。
「私、おばあちゃんになっても若いままで生きていたい。老化したくない。」
おばあちゃんの前で、堂々と声を出す。
「いい考えだね。応援してあげるよ。」
久々に家に遊びに来たおばあちゃんは相変わらず、おばあちゃんと呼ぶにはかなり若く見えていた。
私が生きてきた時間の三倍くらいを生きてきたというのに、まだお母さんと同じくらいの顔と体を維持している。すごい人。
科学の力なのか、己の努力なのか。
どっちもなのかも知れない。
「そのためには、毎日頑張らなきゃだよ?運動したり、野菜も食べたり、甘いものは減らしたり。」
「出来るよ。私もそろそろ大人だし。それくらいの根性と時間はかるもん。」
「そっかそっか。一緒にやってみる?」
「うんっ。」
いつも子供扱いをしてくるおばあちゃんだけど、馬鹿にされた感じはしないのが不思議だ。お母さんがやったらきっと、むきってなったはずのに。
「じゃあ今から行こっか。」
「へ?」
「善は急げ、って言葉もあるし。やる!って気持ちだけ先走るのはよくないよ。体も一緒に進まないと、長く続けられないんだから。」
「今から……?」
「うん。今から。」
やるって決めたのに、いざやろうと誘われると、あんまり。喜べない。
いや、私はそんなに弱くない。やれば出来る。
「いいよ。やる。」
嫌な気持ちをぐっと堪えて、踏み出した。
言葉にしてみると案外、嫌だった気持ちはすぐに晴れて、これから行われる事へのドキドキが強くなる。
「あら、本気なんだ。」
「本気だもん。私もおばあちゃんみたいな人になるんだから。」
「うふふ。じゃあまずは、計画からたてようかな。」
「計画?」
「そうだよ。陽鞠がなりたい人になるために、何をどうすればいいかを決めるの。志だけでは何も叶えないんだから。大事なのは、実行。」
「じっこう。」
何かに惚れたように、その言葉を繰り返してみた。そんな私を見て、なにが面白いのかおばあちゃんがくすくすと笑う。
でもすぐに言葉を続けた。
「まずは、なんでも習慣を作るのがいいよ。健康に役に立つ習慣。陽鞠はよく座ってるんでしょう?学校とか、家に帰っても。」
「うん。基本、動かないかも。」
「じゃあストレッチしよう。」
「ストレッチ?どんな?」
「何でもいいよ。ネットで調べてもいいし、勝手にやってもいい。いつもやるのは面倒だから、まずは朝起きたら必ずやる。約束出来るよね?」
「うん。約束。」
「どれだけ疲れても、朝早く出かけなきゃいけなくても、ストレッチはする。」
毎朝ストレッチ。それだけで、おばあちゃんみたいな人になれるのか。
「今はそれだけで十分だよ。陽鞠は若いから、こっから段々積み上げればいいの。」
そんな不安を吹っ飛ばすように、おばあちゃんはにひひと笑って、私と目を合わせた。
「若さは武器なんだよ。」
おばあちゃんの目は涼しく、未だに若さを宿しているように見えた。
「今の陽鞠は、期間限定だから。」




