二十四日。
汗まみれになって、へとへとになって、今にも諦めてこの場で寝転びたいという気持ちをなるべく抑えて走るを何十分。
ようやく、目的地にたどり着いた。
「終わったーっ!」
勢いに任せてぴょんぴょんと飛んで、そのまま寝転ぶ。服が汚れるとか考えず、土の上に背中を預けて、青空を布団にして、ぽん。
倒れたように見えたのか、何人かが慌てて走ってきたのが見える。みんな私を好きな人ばっか。
世の中、好きな人じゃなきゃ倒れても気にしないのだろうか。私も知らない人は倒れても滑ってもあまり気にしないけど。
少し、寂しい世の中なのかも知れない。
「元気だよー。」
駆け寄ってくれた人達に元気さをアピールするように、天に向けてピースを作った。本当は足ががくがくしてもうあるけそうにないけど、ここまで走ってきたし、なんとかなるっしょ。
まだ私元気だから。
「えー、こんなに走って18位ー?まじ?もー、こんなんだったら出ない方がよかったよぉ。」
元気でも、遅いのは遅かったようで、マラソンで18位。校内マラソンにしてはいいのだろうか。
50何人の中の18位。悪くないかも?
「ねー疲れたー。甘いの食べたーぃ!私にアイスをもってこーいっ!」
なんだか気持ちが高ぶって傲慢に振舞ってみた。汗を流すとなんだか、自分は偉いぞー!って気持ちになってしまう。
これは、よくないのか。
「嘘だったー。水ちょーだい。」
すぐに言い直してもすでにアイスを買いに何人か行ってしまった。かなは水を持ってきた。
「冷たっ。」
「飲み過ぎないようにね。」
アイスを買いに行くあの子の姿が見えた。
「死ぬかと思った。もう二度とやるもんか。」
「来年もやろうよ。走るところかっこよかったし。」
「いーやだっ。命の危機を感じたの。運動は普段からやるやつがやった方がいい。私みたいな帰宅部は大人しく帰るのが私にもみんなにもいいの。」
「またまたー。結構運動できるくせに。」
「かなのせいでこんな目に会ったんだから。来年は期待しなよ。」
「楽しみにしてるね。」
地面がかなり暖かい。冬に近いのに、暖かい。まだ世の中に熱は消えてないのだ。
目を閉じれば、瞼の向こうから差し込む激しい光と、背中を温める地面の温もりと、まだ走ってる友達を応援する声が聞こえた。
どたばたと、走るようで歩くような足音もまた聞こえる。袋の音も。
「結構早かったね。陽鞠の為だから?」
かなのからかう声と、あの子の素直な言葉が飛び交う。否定はしないんだ。
「なにあじ〜?」
私のために小走りでアイスを買って来た。おまけに、私好みのやつで。
「やったぁ。」
少し体が冷めて、冷たいものを食べると風邪引きそうだけど、いいだろう。運動したし。




