十八日。
「ひまりー!朝だよ朝!起きなさーいっ。」
「んぬぅぅっ。」
目を閉じて数十秒くらいしか経ってないのに、朝だって教えてくるお姉ちゃんの声が聞こえた。
何かの嫌がらせか、いたずらに違いない。
「もう七時なの。ご飯食べる時間だよー?」
「うそ…」
「本当だってば。」
だと思っていたのに、本当に朝になってしまったらしくて、カーテンが明るく光るのが見えてしまう。
まだ眠った感じがしないのに、どうして。
「ほらほらほらー!今日も元気に行くぞ!」
もう、信じられない。
こんなあっという間に睡眠時間が消えたのもありえないし、朝っぱらからこんなテンションのお姉ちゃんも信じられない。人間なのに、どうして寝起きにこんな元気にいられるんだ。
ちゃんと見たらお姉ちゃんもまだ寝起きみたいで、髪はがさがさで、声も沈んでいた。
なのにあのテンションだと。
「おねーちゃん…」
「うん!」
「二度寝するー…?」
「だめ!二度寝は快適な一日の邪魔になるんだから。陽鞠も健康な一日を送りたいなら二度寝はやめて、お姉ちゃんと一緒にご飯食べよ?朝ご飯も健康のためには食べなきゃ。」
「なんでそんなに元気なのもう……」
信じられない。
姉妹なのにこんなに違ってもいいのか。
「起きろーっ。無理矢理引きずり込んじゃうぞー?」
「もー引っ張らないのぉ。」
お姉ちゃんの方が太陽なのかも知れない。私じゃなくて、お姉ちゃんが陽鞠だったら。
いや、むしろこんなに明るかったから、少しは暗くなって欲しくて静良って名前になったんだろう。
人は、名前と似たように生きることが多いが、たまには名前と似合わない生を送る人もいる。
「……よいしょっ!」
「ぬわぁっ?!」
急に持ち上げられた!ベッドでもたもたしてたら、布団ごとお姉ちゃんにお姫様抱っこみたいに運ばれてしまう。
「軽いなぁ。もっと食べた方がいいよ?陽鞠は肉があまり付かないタイプだから、人一倍は食べないと。じゃなきゃ、いつもお姉ちゃんに運ばれちゃうよ?」
「余計なお節介なの。」
私と身長はあまり違わないくせに、力は強い。やっぱり、お姉ちゃんが陽鞠に似合う。嫌でもきらきら照らしてくれるところが、本当に太陽。
静良の方がよかった私は。
「お姉ちゃんが陽鞠になる?」
「急になにぃ。陽鞠ちゃんったら、いつも難しいこと考えるんだから。人生はもうちょっと単純なことなんだよ。喜ぶのは幸せで、怒れるのも幸せで、愛するもされるも幸せで、楽しむことも幸せ。喜怒哀楽を持てばいいのだよ。」
「喜怒哀楽のあいは愛しいあいじゃないけど。」
「哀しいことより愛しいことがいいじゃない。」




