十一日。
「お歌が上手になりたいなぁ。」
少し浮腫んだ声帯で、いつもより低めの声を出しながらカラオケを出る。
「今も十分じゃないの。」
「いや、今よりもっと上手になりたいもん。歌手さんと冗談で張り合える程度にはなりたいなー。」
みんなといっぱい遊んだお陰で、みんなも声がかすかすになったり、がらがらになったり、重たくなったりしている。
いつもより声のテンションは低い。
「陽鞠は十分にやばいって。2時間ぶっ通しで歌う人普通ないでしょ?」
「体力と実力は違うんだからぁ。ねぇ、君もそう思うでしょー?長く歌えるだけで上手な訳じゃないから。」
でも、皆でわいわいと遊んでたお陰で機嫌はいい。もっとって思ってる子は多い。
「まぁまぁ。疲れたし、今日はここまでにしとくか。」
でも、帰りたい子も確かにあって。
「またねー」
「ばいばいー」
誰かが解散って言っただけで次々と帰って行っちゃう子も多い。
残りはいつも見てる面子で、五人くらい。昔は四人しかなかったのに、一人増えた。
「ねぇ、次どこ行く?甘いものでも食べて、喉べちょべちょにしちゃうー?」
「そういうとめっちゃしちゃいけない感じしかしないんだけど…」
「いいんじゃない。蜂蜜とか喉にいいって言われるし。甘いのも、疲れた喉にいいかも?」
「そうよそうよ。」
でもやってることは同じだった。
カラオケ行って、遊んで、カフェ行って、甘いの食べて、ゲーセン行って、お菓子とって食べ歩きして。
お財布がいっきに半分こになっちゃうような遊び。
「ねーねー、じゃがいもケーキ食べたいな。チーズ入ってて、あちぃやつー。」
「太るよ?陽鞠ちゃん。」
「いいじゃん。いっぱい歌ったし、カロリー消費したし。使った分くらいは食べても。」
みんなはどうやって私に付き合っているのだろう。こっちはいっぱいお小遣いをもぎ取ってなんとか遊んでるけど、みんな同じなのかな。
案外、バイトとかして稼いでいるのかも。
「ほら行くよー。はやーく。じゃがいもケーキ食べたあとはアイス食べに行こー?」
「抹茶アイス食べようよ。抹茶美味しいよ?」
「いつも抹茶食べてるじゃん。今日は違うの食べよ?ミルクシェイクとか食べるー?マック行こうよ。」
「じゃがいもの後はマックねぇー……」
不服そうな子もいて、わくわくする子もいて、たった五人なのに色が強いなぁ私達。でもなんとか遊んでるし、私達は同系色なのかも。
鮮やかな同系色達。
なんか、素敵な言葉だな。
「いいじゃんマック。せっかくだしミルクシェイク以外にも月見バーガー食べようよ。大食い大会でもするー?一番食った人が全奢りーみたいな。」
「食べて損しかないじゃないかそれ。」
「私に美味しいもの奢れるよ?」
「陽鞠のそういうところは尊敬するよ…」
とりあえずみんなを引きずってカフェに向かう。カフェでじゃがいもケーキ食べて、マックで月見バーガーにミルクシェイク。
なんて豪華な食事なのだろう。
夕食たべなくなるかも。
「私が奢る可能性もあるじゃん。」
「陽鞠ちゃんめっちゃ食べるし、それもそうか。」
「だからやろうよ。みんな私よりたくさん食べられないから、どうせ奢るの私だし。」
「その言い方はちょっと嫌だな。いいよ。あんたに月見バーガー五つ食わせてやる。」
私達が白熱してるのを他所に、みんなはのほほんと笑ってるのがとてもよかった。




