十日。
突然、思ったことがある。
もしこの世界が、人生が、作られたものなら。決められたシナリオをなぞる映画のようなことなら。
もしこの世界が、私が、作られたものなら。ゲームのキャラクターのように、私の動く姿を見て楽しむ何かがあるのではと。
ふと、思ったのだ。
「シミュレーション仮説、知ってる?」
もしそうだったらと思うと、胸がじんわりと、わくわくしてたまらない気持ちになる。
「ここが仮想現実ではないかって仮説で、確か……人類が現実をそのまま映し出したようなシミュレーションを作れるのなら、私達はシミュレーションの中の存在なのだ?そんな話だった気がするけど。」
難しいことはわからないけど、今こうして話すのも、話さないのも、全部見られてる可能性がある。
「私達は私達じゃないとか、どうせ作られたものだからどうなってもいいとか、後戻りが出来なくなったらリセットするだろうとか、思う人もきっとあるんじゃないかな。」
つまり、私はその誰かさんの楽しさを満たしているという話しで。
「私?私は…わくわくしてるかな。」
そう思ったら、なんだか、自己肯定感が上がるっていうか、自分が好きになるというか。
「そりゃ、私、テレビに出てるんだよ?テレビじゃなきかもしれないけど。私を見て、君を見て、暇をつぶしてるってこと。私達が知らない誰かさんを満足させてるってことなの。」
上手く言葉には表せないけど、いいなーって思う。
「世の中の、今私達が生きている世界で誰もこっちを見てなくても、その誰かさんはずーっと私を見てるってこと。せめて一人、顔も声も名前も、人なのかも確かではないけど、その誰かさんがずっと私を見て……それってつまり、私は見られる価値がある人間って事になるから。」
どこに行ってもなにをやっても見られるのはちょっと窮屈なのかも。でも、それくらい私は眺めたい人間ってことになるから。
「私も、君も、世の中の誰が価値を見出だせなくても、その誰かさん達は価値を見つけたって事でしょ?」
なんだかむふふって笑いたくなる。
「絶対の味方がどこからか見守っている。こりゃ、その人達の為にもがんばらなきゃ。」
過ぎ去った人生は後戻りなど出来ない。じゃあせめて、これからの人生、恥のないように頑張ろうって静かに決意した。
「天を仰ぎ一点の恥もないように、その人達の為にも、見ていてよかったって思えるように生きていこうよ。そう思わない?」
悔いはあっても恥はないように。
「えー、私だけー?」




