↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
248/301

【暴食領平定編 東】 宣戦布告

 兵士は肩で息をしながら、強欲帝マモンの前へ跪いた。


「緊急報告です!」


 広場が静まり返る。


 先ほどまで笑っていた荒くれ者たちも、兵士の様子を見て口を閉ざしていた。


「何があった。」


 マモンの低い声が響く。


 兵士は震える手で一通の封書を差し出した。


「各帝領より同時に伝令が……!」


「正式な書状が届きました!」


 マモンは封を切り、中へ目を通す。


 一枚。


 二枚。


 三枚。


 読み進めるほど、その表情から笑みが消えていく。


「……。」


 誰も声を出さない。


 風だけが広場を吹き抜けた。


 やがてマモンは静かに書状を畳む。


「そういうことか。」


 短く呟く。


 兵士は顔を上げ、大きく息を吸った。


「強欲帝様!」


「各帝領より正式に通達!」


「これは——」


 兵士は叫ぶ。


「宣戦布告です!!」


 その一言が、ラクスウェル中へ響き渡った。


 街がざわつく。


「宣戦布告……?」


「戦争か?」


「まさか……。」


 住民たちの顔から笑顔が消えていく。


 サミエムも真剣な表情でマモンを見る。


「どこの帝領だ。」


 兵士は震える声で答えた。


「憤怒帝領。」


「慈愛帝領。」


「そして嫉妬帝領。」


「三帝領が同盟を締結。」


「全帝領に対し、侵攻を開始しました!」


 その場の空気が凍り付く。


 三帝領。


 同時侵攻。


 誰が聞いても異常事態だった。


「他の帝領は。」


 マモンが静かに尋ねる。


「怠惰帝は現在迎撃態勢へ移行。」


「残る傲慢帝は・・・消息不明、動向が掴めません!」


 マモンは静かに目を閉じた。


 数秒の沈黙。


 そして。


「全軍招集。」


 低く、よく通る声だった。


「戦時体制へ移行する。」


「兵站を確保。」


「避難誘導を開始。」


「冒険者ギルドへも通達。」


「一時間以内に戦略会議を開く。」


「はっ!」


 兵士たちは一斉に走り出した。


 街中が慌ただしく動き始める。


 鐘が鳴る。


 兵士が駆ける。


 住民たちは不安そうな表情で空を見上げていた。


「零。」


 マモンが僕を見る。


「休息はここまでだ。」


「はい。」


「サミエム。」


「当然行く。」


 サミエムは迷いなく答えた。


「ヴィオラ。」


 急に名を呼ばれた彼女は一瞬驚きながらも、真っ直ぐマモンを見返す。


「はい。」


「君の力も借りる。」


「承知いたしました。」


 マモンは小さく頷く。


「ならば行くぞ。」


「世界が動き始めた。」


 その一言に、誰も異論はなかった。


 僕は城を見上げる。


 ここから始まる。


 帝たち全員を巻き込む、本当の戦いが。


 こうして——


 世界大戦の火蓋は切って落とされた。


【暴食帝平定編 東 完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。