表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀河帝国皇帝アスカ様 零ーZEROー ~スペアボディと呼ばれた彼女が皇帝陛下と呼ばれるまで~  作者: MITT


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/97

第十三話「2075年宇宙の旅路」④

 それは、アマテラス自ら人類の上位存在として立ち上がり、強引に人類社会をその統制下に置き、世界を強制的に統一させる事で……もはや、それ以外に方法が無いと結論付けたのだ。


 まぁ、21世紀初頭の人類のグダグダっぷり。

 おまけに、例年の異常気象やら疫病やらは留まることを知らず……。


 あのままの流れが続いていたら、今頃とっくに人類は滅びていたと言うのは、恐らく事実であり、後世の誰もが言っていた事でもあるのだ。


 だからこそ、半ば強引とも言える手法で滅びへと向かう流れを力付くでも変える必要があった。


 それがアマテラスの言い分で、些か性急に過ぎたのは事実であり、もうちょっとやりようがあったと当人も反省していたのだが、いずれにせよ、それは彼女の計画通り進行され、地球圏統一国家連合……アマテラス条約機構が誕生した。


 ちなみに、アマテラス条約機構は正式名称でもなんでも無く。

 アマテラスとその系列AI達が互いに締結した決まり事がアマテラス条約と呼ばれるようになり、古のワルシャワ条約機構の名に習って、なんとなくそう呼ばれるようになったってだけだったりもする。

 

 そして、なんだかんだでアマテラスは、それまで歴史上誰もなし得なかった地球人類の統一を成し遂げた。


 それは紛れもない事実で……。

 彼女のおかげで、私達地球人類は滅びの瀬戸際からギリギリ舞い戻れた……少なくとも私はそんな風に思っている。


 その次の段階として、地球衛星軌道上に建造した長期居住コロニーへの宇宙植民を開始し、100年単位……数世代の経過観察期間を経た上で、地球人類に宇宙環境への適応ノウハウを蓄積させ、同時に人々が地球から離れる事でその環境負荷を軽減し、いずれ太陽系の他の惑星へも人類の勢力圏を広げていくと言う大望を抱いていたのだ。


 もっとも、地球環境の悪化に対する根本原因は、21世紀に入ってから爆発的に進んでいた急激な人口増加と、無秩序にして刹那的に過ぎた各国の近代化にあり、LUCIFER禍で世界人口が激減し、かねてから行われていた世界規模での環境保護対策もじわじわと効果を上げていたこともあって、それはそこまで切迫した問題ではないとアマテラスも判断するに至った。

 

 ぶっちゃけアマテラスが人類をAI統制社会化せずとも、なんとかなっていた可能性も高いと言う指摘もあったんだがね。

 

 何よりも、アマテラスが実施した問答無用のエネルギー革命……常温核融合の実用化、実のところそれがもたらした影響が一番デカい。

 

 本来は、この常温核融合の技術自体は20世紀の頃から、ある程度形にはなっていたのだけど……人類側の石油資本と言う壁の前に、実用化が阻まれていた……そんな背景があったのだ。


 そんな中、アマララスは割と真っ先に、日本のエネルギー資源を20世紀から続いていた石油エネルギーから、核融合エネルギーへと転換を行った。


 なにせ、海水には核融合反応の燃料……重水素が豊富に含まれているのだ。

 日本のような海洋国家にとっては、周り全てがエネルギー源のようなものであり、重水素を回収することでほぼ無限に等しいエネルギーを得られるようになり、その上核融合反応で発生するのは、ヘリウムと水蒸気程度と超エコロジー。


 アマテラスも「なんで、こんな便利なものを使わなかったの?」と言わんばかりに、あっという間に実験室レベルだったこの技術を実用化レベルまで持っていって、ものすごい勢いで普及させていって、ガソリン車も火力発電所もあっという間にオワコン化し、車もあっという間にバッテリーで動く電動カーに入れ替わっていって、電気代もガクーンと下がった。

 あちこちにあった太陽光パネルやら風車やらも、常温核融合のコスパにまるで敵わずにあっという間に消えていった。

 

 これがどれだけ有用な技術だったかは、1000年経った今の銀河人類もほとんど同じ技術を連綿と使い続けている事で明らかだった。


 まぁ、当初は海水抽出方式だったのを、現代ではガスジャイアント惑星の大気中からの採掘と言う方法に改めている程度で、もっと言えば核融合の熱でお湯を沸かして、蒸気タービンを回転させて発電する……そこは実は20世紀の頃と現代で全く変わってなかったりもする。


 1000年以上も同じ技術が延々と使われ続けていると言うのも呆れた話なのだが……枯れているが故にコスパと信頼性が抜群な技術を使い続けると言うのも相応の理由があるのだ。

 

 実際、蒸気タービン式発電より熱効率とコスパがいい発電方法は未だに見つかっていない。

 だからこそ、それもある意味当然の話ではあるのだ。

 

 いずれにせよ、アマテラスが日本を統制社会化しなかったら、恐らく日本という国は先進国の中でも真っ先に空中分解を起こしていたであろうことは間違いなく……それも結局、後からならいくらでも言える事に過ぎなかった。

 

 何よりもLUCIFER禍で大きく人口を失い衰退しかけていた人類だけの力で、地球環境の維持継続を成し遂げるとなると、宇宙進出ですら余裕でもう100年は追加となっていたことは確実で、それが許される状況だったとは到底思えなかった。


 ちなみに、LUCIFER禍が起きなかったと仮定した場合での21世紀末の地球総人口予想は110億人と言う数値が出ており、それは地球自体の人口許容数の理論上限界値を軽く超えていたのだが、その辺りで地球環境の限界と共に、食料生産限界が発生し、以降は自然減少に転じるだろうと予想されていた。


 そして、2050年代の時点で世界人口は97億に達すると予想されていて、アマテラスが覚醒した2030年代の時点でも、もはや取り返しのつかないほどには地球環境が悪化しつつあり、もはや時間の問題で破局を迎えると予測されていたのだ。

 

 だからこそ、アマテラスも当面は地球環境の再生が優先だと考え、宇宙への進出についても取り急ぎ太陽系外への進出までもが必要な状況だとは考えておらず、人類統合体が先行して銀河へ進出するのならば、もうそれは黙って見送るべきだと考えていた。


 実際、この時期に行われた火星圏の開拓についても、将来を見込んだ先行投資と宇宙環境への適応テストケースに過ぎず、国家代表議員たちの人類統合体に対して、地球人が無能でないと示すべきだとの意見を汲んだ上の事だった。


 何よりも、この時点ではアマテラスも火星地球間の8倍もの距離がある木星圏へはサラサラ興味はなかった。

 

 なにせ、木星圏ともなると、地球からだと光の速度でも40分はかかるのだ。

 今の時代、特に航宙艦建造技術に秀でている帝国製の高速航宙艦辺りになると亜光速……光の速度の30%くらいの速度は出せるのだが。


 実際は、そんな4天文単位程度の半端な距離で30%亜光速での航行をする訳がないし、惑星付近での減速や加速にもなかなかの時間がかかるようになってしまうので、帝国の平均的な民間船……5%亜光速快速連絡船あたりだと、4天文単位ともなると軽く12時間……半日コースになる。


 もっとも、帝国の基準は色々とおかしい部分もあるので、12時間が遠いのか近いのは、今の私には何とも言えない。

 

 昔シリウス系の惑星上陸の際に乗った惑星間連絡船では、ゲートと惑星間が1天文単位程度の距離にも関わらず、ベッド付きの個室に案内されて3日ばかりの宇宙の旅を……なんて添乗員から告げられて、なにかの冗談かと思った程だったんだがね。

 

 いかんせん、彼らの言うところのエコロジー省力宇宙船と言うものは、極薄のソーラーセルを大きく展開し、恒星風に乗ってのんびり宇宙を旅する帆船のような代物で、速度性能など初めから考慮していないのだ……後から知ったが、3日は全然早い方で、普通は月単位かかるらしい。

 

 もう、この辺からして違うのだ……そりゃエーテル空間なんて出たくなくなるわな。

 

 さて、当時の航宙艦ともなると、先進技術を用いた当時のオーパーツと言えた人類統合体の宇宙戦艦でもせいぜい光速の0.2%……時速にすると200万キロ程度だった。


 まぁ、それでもたった一時間で地球を10周位できるほどの速度なのだから、まさに当時の宇宙最速の船と言えた。

 

 もっとも、その速度でも地球木星間を航行するとなると、1200時間、つまり片道50日は余裕でかかる計算になる……。


 宇宙の広さの途方もなさを知らしめる話ではあるんだが、あの当時としてはその時点でも軽くオーパーツ級の高速性能だった。

 

 なお、当時の地球製の航宙艦は、そもそも本来ならば惑星間航行ですら無謀なほどには低性能で、人類初の火星地球間往還船「アレス号」でも第三宇宙速度の約3倍……時速18万キロを瞬間的に達成した程度で、これも廃船ついでに人類最高速度記録の更新を目指すと言う事で、二度と地球衛星軌道に戻ることも無く、宇宙の彼方へすっ飛ばす事を前提をしたもので、試作型の空間電磁加速ループシステムの稼働テストとして放り込んでのことだった。


 実際、アレス号は現代の基準からすると、紙飛行機に例えていいくらいのお粗末な代物で、本来はせいぜいギリギリで太陽系を離脱できる第三宇宙速度くらいの速度しか保証されていなかったんだけど。

 これでも当時の人類製有人航宙艦としては、最速と言えたのだ。


 そして、その旅程は往復一年以上にも及び、アレス号の最初の火星往還は、乗員も一人だけに限定したワンオペ体制で、予め先行させた無数の無人補給船との複数回ランデブーの上で、酸素や食料の補給を受け取りながら、半年かけて火星に向かうというものだった。


 そして、先立って送り込まれていた宇宙空間作業ロボットたちによって建設されていた火星軌道ステーションにやっとの思いで到達し、その場で人類火星到達宣言をおこなったのだった。


 これが当時の地球人類の最先端であり、その限界点だった。


 そもそも当時の地球側の有人航宙艦の造船技術は、全くもって未熟で、地球衛星軌道やいいところ月あたりまでしか航行出来ない短距離航行宇宙船がほとんどで、地球衛星軌道艦隊も長距離航行能力を始めからかなぐり捨てて、軌道ステーションのすぐ近くで運用する短距離用宇宙輸送艦のペイロードに武装を満載したと言う安普請な代物ばかりで、惑星間を長駆航行して、戦闘を仕掛けられるようなものではなかった。


 そして、長距離惑星間航行宇宙船と言ってもアレス号のようにせいぜい一天文単位……地球火星間を一年以上の時間をかけて往復するのがやっとと言う有様で、その遥か上をいく人類統合体については、もはやほっとくしかない状況だったのだ。


 これについては、地球側の技術力が低かったとは決して言い切れないものがあり、そもそも、あの時代に10万人もの大勢の人間を乗せて地球、木星間……往復8天文単位もの距離を容易く行き来するような宇宙船をいきなり10隻もまとめて建造した人類統合体がおかしい。


 今でこそ、宇宙艦艇技術は進みに進んで、帝国あたりになると光年単位の距離がある恒星間を亜光速航法で何年もかけて駆け抜けるとか、平然とやるようになっているのだけど。

 アレス号の地球火星間往復の時点で、それは十分な偉業と言えたのだ。

 

 旧アメリカのNASAが2020年代に、無人調査船を火星に送り込んでいたことを考えると、その半世紀後にようやっと有人船が火星到着とはまたずいぶんな時間がかかったのだが。


 無人航宙艦と有人航宙艦では、その技術的なハードルが桁違いなのだ。

 たった一人の乗員と言えども、凡そ一年間もの宇宙空間での生活を保証するとなると、いくつものハードルがあって、むしろ半世紀でそこまで漕ぎ着けたのも十分早かったと言えるし、そもそものアレス号も絶対失敗すると言われていて、火星まで辿り着けた事自体が奇跡に近かったのだ。


 そして、このアレス号の建造工程もまた、当時としては画期的なものだった。

 それまで無人艦艇などについては、宇宙で建造するのが常識になっていたのだが、その細かいパーツなどはその大半が地球地上で製造され、軌道往還機や軌道エレベーターでの輸送に頼っていたのだ……。

 

 要するに宇宙船の建造と言っても、パーツの組立……最終アッセンブリー工程を宇宙で行ったと言うだけの話だったのだ。

 

 その点、アレス号については、その生産に必要な資源についても月や近隣小惑星から採掘し、すべてのパーツを宇宙空間の自動工廠で製造し、乗員の食料や水、酸素なども全て宇宙空間の実験コロニーで製造するという徹底ぶりだった。

 

 これもまた、宇宙時代を想定した技術開発の一環であり、地上に拘る人類単独では、なかなか実現しなかったであろう発想だった。


 それ故、これは当時としては極めて画期的な出来事で、人類の宇宙時代の幕開けと言う事で、ビックニュースになったのだけど。


 だからこそ、そのわずか数年後に、木星圏に到達し宇宙空間における完全な自給自足体制を確立し、独立国家の建国宣言を行った人類統合体はあきらかにおかしかった。


 その時、誰もが思ったことは、いつのまに? どこで? その化物宇宙船の群れはいったい何事? そもそも、人類統合体って何? 私を含めて、それが大方の人々の感想だった。


 当然ながら、全世界へ向けて発信されたその独立宣言を耳にした誰もが疑問符だらけで、彼らが主張する木星圏の統治権についても、そもそも木星圏なんて、近くまで投げっぱなしの人工衛星を飛ばしたことがある程度の正真正銘人類未踏の地であり、早いもの勝ちだと言われてしまえば、誰もが納得するしか無かった……。


 そして、当時の水準では圧倒的と言える長距離航続能力と高速航行能力を持ち、地球側の技術では建造すら出来ないような巨大宇宙船を次々と建造し、それらが地球圏近くまで飛来し、彼らの言うところの寄る辺なき者たちを次々と回収していくようになっていった。


 当然ながら、その回収されていった者達は、地球側の認識では問題児ばかりであり、アマテラスが危険視していた非アマテラス系超AIなどもその中に含まれていた。

 

 それらについても、データ転送という形で人類統合体の宇宙船へ転送され回収されることで確実に人類統合体の力となっていき、また各所から合流を希望した武装組織やならず者、反乱分子なども続々と人類統合体へと合流していき、地球側がなすすべもなく傍観せざるを得ない中、日に日にその勢力を拡大していった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ