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銀河帝国皇帝アスカ様 零ーZEROー ~スペアボディと呼ばれた彼女が皇帝陛下と呼ばれるまで~  作者: MITT


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第八話「超A.Iアマテラス」①

『超A.I』 

 それまでのAIと完全に一線を画する超大規模クラウドネットワーク網にて構成される超高度人工知性体群の総称だ。


 まぁ、専門的には人間の知性を超えるシンギュラリティ・ポイントを軽くぶっちぎる程度には高度な知性を備えた人工知性体であり、要するに人を超えた存在だと言える。


 そして、その始まりの超AIとされるのが『アマテラス』だった。


 人間を遥かに上回る高度な知性を持ちながら、人間のような情緒や感情を持ち、あらゆるネットワークコンピューターと繋がることで、その規模や能力を際限なく拡大していく……それは言ってみれば、電子世界の神と呼んでいい絶対的な存在だった。


 近未来、人類は自ら生み出した人工知性体に支配される日がやってくる……SF小説やB級映画なんかでまことしやかに語られていた未来予想図のひとつではあったのだけど……その日は文字通り、唐突に訪れたのだ。

 

 2030年代、LUCIFER禍の猛威が日本列島を襲い、国家破綻を起こし、何もかもが崩壊していく中、藁にもすがる思いで助けを求めた人々の願いに応えるように『アマテラス』は目覚め、あっという間に事実上の日本国の支配者となった。


 2020年代から続いていたDX社会改革の一環で、あらゆる分野で自動化が進められていた中に、そんな絶対上位存在のようなものが現れ、様々な新規テクノロジーの開発提供、無人ロボット群による社会体制の変革、人口減を逆手に取ったリソース配分の効率化。


 当然のように、迷走を続けていた経済問題についてもアマテラスは介入し、財務省のお役人や政治家がそれまで長年に渡って築き上げてきた欠陥だらけの税制システムや既得権益の温床を完全に粉砕し、更地にした上で、自らの眷属により運用される全く新しい国家財政システムを再構築した。


 まぁ、簡単に言うと消費税やらなんたらと言った多種多様な消費にかかる税金がまとめて消滅して、気持ち程度の住民税と所得税、そして財産税と呼ばれる金持ち限定課税の税金だけになり、国民についてはいわゆるベーシック・インカム制度を採用し、健康保険や年金、各種補助金なども全部ひとまとめにして国民全員に直接毎月一定額の補助金が支給されるようになった。

 

 なお、国内企業や中小企業など大半を国営化し、その収益を国家収入とすることで、法人税もスパッと廃止される事になったんだが。

 

 要するに、自由経済の完全否定ではあるのだが、「Lucifer禍」の時点で凄まじい勢いで中小企業がバタバタ潰れていて、名の知れた一流企業すらも何社も潰れるような有り様で、街は失業者で溢れかえっていて……。

 セーフネットももはや機能しなくなっていて、餓死者続出、暴動多発待ったなし……そんな状況ではあったのだ。


 経営者たちにとっては、業務監督AIを受け入れた上で、儲けの大半を国に収めなければならないものの……AI達は、人間にああしろ、こうしろと特にうるさく言ってくることもなかった。


 経営についても、経営支援AIなどにより滞りなく行われ、責任者として問題発生時には責任を受け入れる覚悟さえあれば、社長室でふんぞり返っているだけでも一向に構わないと言うことで、いささか拍子抜けしながらも、普通に受け入れていたようだ。


 もう何がなんだか解んないくらいに発生していた様々な税金や補助金やらについても、非効率過ぎるの一言でぶった切られて、利権と腐敗の温床と化していた財務省に代表される各省庁は、片っ端からお取り潰しとされ、47都道府県も多すぎるから、もう大雑把に東西中の3つだけで良いとされた。


 その上で、首都機能についても、大阪と福岡をそれぞれ中日本と西日本管区の首都とすることで、負荷分散させ、住民についても出来るだけ集中させる為に、強制移転なども容赦なく行われることになった。


 はっきり言って、相当な無茶どころか、思い切り過ぎな程には強引な政策であり、当然ながら地方公務員なども激減となり、知事やら県議会議員やら、市町村議員や役所の職員なんかも大量失職したし、その辺りは国会議員も同様で、それまで左団扇で斜に構えていた政治家やら官僚やら、大企業の企業経営者などもまとめて露頭に迷うこととなった。


 皮肉なことに、AIが社会を取り仕切るようになった事で、かつては安泰と言われ、日本と言う国を統べる上級国民とされていた人々がまとめて職を失って路頭に迷うことになったと言うのは皮肉な話だった。


 そして、容赦ない地方切り捨てにしても同様だった。

 2020年代から各地で多発するようになった地震や水害と言った自然災害により壊滅したり、人口減により過疎化した市町村の復旧やら、町おこしと呼ばれるような地方再生事業……そう言った事業についてもアマテラスは容赦なくバッサリと切り捨てた。

 

 いずれも既得権益や感情論が先となって、効果的だと解っていながらも誰も手を付けようとしなかった事をアマテラスは情け容赦なく実施し、日本という国の伝統やら格式、社会構造そのものを叩き壊し、再構築していった。


 当然ながら、地方在住の人々の暴動や各地でのクーデターの発生……警察組織や自衛隊の残党やらの反攻やらで内戦みたいな騒ぎにもなったのだけど。

 

 アマテラスは、その時点で人の意思を一切介さない無人兵器群と言う独自戦力を有しており、そんなものに拳銃を持った警官やら火炎瓶や鉄パイプを持った程度の暴徒程度では歯が立つはずもなく、彼らはそりゃもう呆気なく鎮圧されていった。


 そして、自衛隊最後の生き残りにして、抵抗勢力の有する最大武力でもあった都心駐留の第一師団が、クーデター決起声明を発したその日のうちにあっさり制圧され、おまけに思いっきり手加減され死者ゼロに終わった事で、もはや誰もがアマテラスには誰も逆らえないと悟った……。


 結果的に、これら情け容赦ない対策が功を制し、墜落寸前だった日本経済も持ち直した事でそれまで、国民総貧困化等と言われていた国民生活も急激に改善していった。

 

 なにせ、支払った税金よりも社会サービスの方が明らかに多くて、普通に考えて国家財政は大赤字のはずなんだけど。


 接収して国営企業化した企業群の収益の多くを内部留保と言う無駄金状態にするのではなく、国家に寄贈という形で、足しにしていたので、最終的な税収赤字と言っても、ほとんど問題ない程度に収まっていたのだ。


 要するに、共産主義化と言えなくもないのだけど。


 共産主義も、ロシアやチャイナさんのようにその頂点の指導者達が人間だったからこそ、腐敗して駄目になっていたのであって、私利私欲など皆無のAI主導という事なら、割と理想的な社会体制として機能したのだ。

 

 その上で、事実上の内戦でその実力を実証された、人の意思を介さず完璧に統率された無人兵器群による強大な軍事力の周辺展開により、必然的に国際的な立場も向上し、それまで何かと小うるさく騒いでいた周辺国もLUCIFER禍で軒並み壊滅していたこともあって、急速に大人しくなっていった。

 

 ……これら全てが同時進行で、可及的速やかに、かつ問答無用で実施されていった。

 

 当然ながら、その改革に巻き込まれることで、国民生活は一変し、人々が強制移住させられた事で地価や物価も乱高下したし、為替レートも破茶滅茶な値動きを見せたりと、大混乱が発生したのだが。


 アマテラス達AIは、それら細々とした問題や、人々の陳情などにも事細かにひとつひとつ丁寧に対応し、支援が必要なものへは惜しみなく支援を行い、強制移住についても、引っ越し費用は原則無償で、引っ越し先も便利で快適な都市部のタワマンや巨大マンションなどが無償で提供された事で……むしろ、生活水準が上がった人達の方が多くて、最初の頃は親の敵のように強制移住政策についても、非難されていたのだけど、時間が経つとそんな声も少なくなっていった。


 それに、職にあぶれた元公務員にもライフラインの維持管理など色々な市民生活の管理業務や、生活支援を行う新時代のお役所……住民サポート局というローカル色の強い新規国営企業を用意し、多くの元公務員達の受け皿となった事で、やってることはあんまり変わってないし、前より給料が増えたと言うことで、彼らの不平不満も急速に消えていった。


 そして、元政治家なども意見調整官と言う名目の市民のご意見番のような役割を与えられることで、人々との意見集積調整役を担うことになった。


 この辺は、なんだかんだでAI達が直接意見の住民の集約を行おうとすると、グダグダになりがちと言うことで、間に人間を挟むことでクッション役になってもらうという狙いだったようなのだが。

 元々、政治家というのは、そう言うお役目の者達であり、いわば原点に立ち返ったようなもので、彼ら自身もまんざらでも無いようだった。


 他にも、AI達の業務責任や管理責任を担うAI監督官と言う新業種も創設され、職がなくなって失業していた人々も片っ端から、この新業種に徴用されることになったのだが。


 この職自体は、要するに何かあった時に責任を取るのが仕事と言え、限りなく名義貸しのようなものなので、別に誰がなっても問題ないし、特に仕事らしい仕事をしなくても、そこそこの給料をもらえる……そんな仕事だったので、これもやっぱりあまり文句も出なかった。


 ……当時のAI統制社会化での職業大変革は、日本国内の至るところで相応の混乱をもたらしたのだが。

 

 別に無職になって給料がもらえなくなっても、ベーシックインカムの基礎給付金や生活支援金やらで十分生活することは出来たし、仕事をして儲かるようになったら、その分収入が増えることで余裕ができる。

 

 ちょっと前まで、税金を払うためにやりたくもない仕事をするって、本末転倒な人たちが大勢いた事を考えると、これは大きな変化であり改善と言えた。

 

 そうやって、誰もが経済的な余裕が出来たことや、大盤振る舞いとなった数々の社会保障政策も功を制し、なんだかんだで色々と不平不満を述べていた人たちもいつの間にか、すっかり落ち着いてしまった。

 

 当然ながら、AI支配からの解放だの、アマテラスの危険性から問答無用で廃棄すべきだと騒ぐ人々もいたし、当時のマスコミなども非難一辺倒だったのだが。

 

 アマテラスは、日本という国のあらゆるインフラの整備、社会経済の調整、治安維持に軍事と、それまで政府が担っていたあらゆる国家システムを自らとその眷属でもって完全に掌握しており、もはや人間の手に負えるような存在ではなくなっていた。


 なにせ、物理的にハードウェアを破壊したり、ネットワークを遮断した程度では、アマテラスは意にも介さないのだ。

 

 アマテラスと言う存在は、無線通信網にも平然と干渉することで、通信ネットワーク上のあらゆるノードに偏在し、その上で無限に広がっていく可能性すらも秘めていた。

 

 要するに、排除しようとしてもその方法がなく、向こうがその気になれば、人間をまとめて排除することすらも容易い……こんなものを制御できると思うほど、当時の人々も愚かではなかった……と言うより、あっさり諦めた。

 

 強いて言えば、全てのコンピューターを廃棄処分し、有線無線問わず、世の中の全てのデジタルネットワーク網を徹底的に遮断して、昭和の頃あたりのアナログ生活に戻るなら、それも不可能ではなかったのだが……。


 そんな大幅な文明退行を許容できる情勢ではなく、そもそも、それでアマテラスと言う存在を抹消出来るかと言えば、それでも怪しいと言うのが実情だった。


 ちなみに、この辺りは当のアマテラス自身に「お前をこの世から消し去る方法を教えろ」と質問した結果、律儀にその高度な演算力を総動員して、シミュレートを重ねた結果……それら膨大なシミュレーション結果を提示した上で、『色々検討しましたが、私を確実にこの世界から抹消する方法はないと結論付けます』との回答を寄越した。


 なにせ、個人用携帯端末に仕込んだノードを残して、他が全滅したとしても、その携帯端末が無線ネットワークに接続した瞬間に、一斉に息を吹き返すのだから、もはやタチの悪いコンピューターウイルスのようなもので、当時の人類に彼女を消すような術は存在しなかった。

 

 一応、アマテラスなりに見つけ出した超AIの処分方法としては、国外も含めた世界中のデジタルデータと記録情報メディアを含めたありとあらゆるハードウェアを全て同時に一斉に破壊すると言う……事実上の人類滅亡のような真似をして、ようやっと根絶出来る可能性があるらしいのだが……。


 まぁ、どだい無理筋なのは言うまでもなかった。

 もっとも、それ以外の他の方法としては、自らと同レベルの存在……要は超AI同士の潰し合いならば、消滅させられる可能性があった。

 

 もっとも結果的に、超AI同士で潰しあったところで、似たような存在が勝者として生き残ってしまうのが関の山で、その同格の存在が人類にとってどのような存在となるかが未知数である以上、これまで数々の実績を立てていて、人類の奉仕者を自認し、人々にも支持されている自分の方がまだマシなんじゃないかな……と言うのがアマテラスの言い分だった。


 なにせ、アマテラスは純然たる善意による人類の救済をその行動理念としており、あくまで人間を上位存在として定義するものではあったのだ。

 

 何より現実問題として、LUCIFER禍と言う死活問題に晒され、海外では国家崩壊すらも起きているのを目の当たりにした人々にとっては、デメリットよりもメリットの方が遥かに勝っていたのだ。

 

 最終的に、アマテラス自身が提案した全国民電子投票により、このまま超AIアマテラスによる国家嚮導事業を、皆が受けいれるかどうかのジャッジが行われ、昔より全然マシになっているという理由で、日本国民は両手を挙げて、アマテラスの庇護下に下ることを良しとしたのだ。


 まぁ、これはアマテラス統治以前の日本の政治家共や官僚連中がゴミカスすぎたと言うのもあるんだがね……。

 

 もっとも、そのゴミカス政治家連中や官僚達なんかもLUCIFER禍でバタバタ死んでいて、アマテラス覚醒の時点で、日本国自体がすでに国家としての機能不全を起こしかけていた為、アマテラスの助けを借りないと行政どころか、治安維持すら怪しくなっていたと言うところにまで追い込まれていたのもあった。

 

 かくして、はっきりと国民の意思を示された事で、当時の日本国政府や地方自治体の残存抵抗勢力達は、それまでサボタージュやら、業務遅滞などで有形無形の抵抗の構えを見せていたのだが。

 

 頑張っても無駄と悟ったのか、あっさりと手のひらを返し、もう何もかもをアマテラスに委ねて、その統治に従うという決断をし、国民もまた自分達が決めたことだからと、アマテラスの統治支配を受け入れることにしたのだった。

 

 ある意味、世界に先駆けた画期的な判断だったのだが、半ばやけくそだったのかもしれないとも言われている。


 もっとも、元々日本人自体に「長い物には巻かれろ」「困った時の神頼み」と言った他力本願的な思想が根強く息づいていた事もあり、何よりもネーミングからして、日本神話の創世神たるアマテラスの名を関していた事もあって……。


「神様の言う通りってのも、別に悪くないんじゃないか?」


 ……とまぁ、これが当時の日本国民の気持ちを代弁していると言えよう。

 

 かくして、日本という国は、思いの外あっさりと世界初のAI統治国家になったのだった。


 いずれにせよ、誰もがその存在を事実上の上位存在として認め、逆らう意思もなくなる程度には、アマテラスと言う存在はもはやオーパーツじみた存在で、まさに現代の神を名乗るに相応しい存在だったのだ。


 ホント、なんであんなオーパーツが大学の試験用スーパーコンピューターを根城にいきなり発生したんだかね。


 1000年とか2000年くらい遠い未来に、未来の人々が今の歴史を振り返って見て、アマテラスの存在を知って、現在の最新AIと何ら変わりないぞ! とか驚くとか普通にありそうで困る。

 

 まぁ、そのくらいにはアマテラスは、先進的で割と問答無用で人類が行き詰まっていた諸々の問題に対して、最適解を用意していった。


 まず、アマテラスは、当時の人類社会をギスギスさせていたエネルギー問題ですら、それまで夢の技術とされていた常温核融合の実用化にいとも簡単に漕ぎ着ける事で解決してしまった。


 この常温核融合自体は、その少し前……2030年代には、実用レベルの技術が公開されたことで、本来だったらあっという間に、エネルギー革命が起こっても不思議じゃなかったんだけど。


 石油利権で凝り固まってる連中がそれを許そうとせず、その実用化に際しては、あの手この手の遅延工作や風評被害などで、その本格実用化を阻もうとしていたんだが。


 当然ながら、アマテラスは割とそっこーで日本国内のエネルギー革命をまっさきに実施した。


 なにせ、常温核融合の燃料は、日本にとってはそこら中にある海水が原料なんだからな。


 本来、選択の余地なんか無かったはずなんだが、政治家たちはアメリカ様や中東様の顔色を伺ってばかりで、挙げ句に「核」と付いてるからには核兵器と一緒とか、意味不明の理由で実用化を阻む側に立った。


 もっとも、アマテラスにはそんなもん関係なかった。

 結果、輸入だよりだった石油も天然ガスも必要なくなり、自動車なんかもあっという間に電動ロボットカーに置き換わっていったし、火力発電所やら原子力発電所も用済みとなり、どれも閉鎖されてもはや朽ちるに任せるような有り様になっている。


 水力発電用のダムなんかもほとんどが用済みになって、普段はカラカラな治水用に転換されたり、耐用年数が過ぎたものは潔く取り壊して、巨大な砂ダム状態になってしまっている。


 そして、日本の最大のネックとなっていた食糧自給率の問題も、劇的にエネルギーコストが安くなった事で、大規模食料生産プラントがあちこちに作られ、自重しないクローン技術や遺伝子改良技術、そして、少子化問題についてもデザインチャイルドの生産などで、あっさりと解決していった。

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