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フロムゲーこそ我が人生  作者: 伊可乃万


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エルデンリングおじさん③ マルギット戦で早くも誉れを捨てた男

これは後にエルデの王となり、エルデンリングをトロコンするまでやり込んだ、とあるおじさんゲーマーの、エルデンリング初見プレイ時の回顧録である。


フロムゲーを遊ぶ上で、もっとも良くない感情は、「恐怖心」である。


恐怖は人の手を自然と鈍らせ、集中力を鈍らせ、焦りと不安を増長させ、プレイヤースキルを大幅に低下させる。


ボスとの戦闘で「恐怖」を感じているようでは、まともに戦う事など出来ない。


しかし今、私は、その「恐怖」を感じている。


マルギット。あいつと再び戦うのが怖い。マルギットを倒せる気がしない。


そんな風に思いつつ、私は半島にやってきた。


そしてとある廃墟にいたボスを倒し、女王の杖を入手する。知力初期値の10でも使用できる代物。


輝石のつぶてが使用可能になった。レベルも20まで上がった。生命力も20まで振った。黄金の種子も集めた。回復量が上がるアイテムも沢山集めた。


マルギット対策完了。奴を倒す準備が整った。


本当はもっとこの半島を探索したり、色々行ってみたいのだが、まずはマルギットを倒さない事にはスッキリしないし、私の冒険は始まらない気がしていた。


私は恐怖を乗り越え、マルギットに再び挑む事にした。


とはいえ、相変わらず奴の攻撃は激しい。ソロではとても勝てる気がしない。そこで私は遺灰のクラゲ、クララを使用し、デコイ代わりにする作戦に出た。ソロで倒せるまでレベルを上げたいが、早くこの戦いを終わらせたい、という気持ちの方が強かったのだ。


戦略はシンプル。


まずは開幕、クラゲを呼び出し、囮になってもらう。


そしてマルギットがクラゲを攻撃している背後から、自分は攻撃をしていく。


マルギットが第二形態になったら、不用意に飛び込まず、距離を取り、つぶてを撃ってダメージを重ねていく。


接近戦に持ち込める状況なら接近し、攻撃を加えていく。


この作戦で行こう。


武器は猟犬の長刃を使おうとしたが、ステ振りがしんどいので、道中の探索で手に入れた打刀を使うことにした。


マルギットに出血が通るのかは怪しいが、これまで戦ってきて、今作は出血が異常に強いことがわかったので、賭けてみたいと思っ

た。


それにしてもマルギットという男、少しディレイかけてタイミングをずらして来てから突進攻撃を仕掛けてくるのが非常にやっかいだ。とても序盤のボスの行動とは思えない。どう考えてもおかしい。明らかに次元の違う強さをひしひと感じる。




さっそく私は再びマルギットとの再戦へ。


案の定、マルギットは遠くから、ゆったりとこちらに向かってくる。


私は開幕、クララを召喚。そして左方向から様子を伺う。


マルギットがクララを攻撃し始めたタイミングで、背後から近づき、切りつける。


なんという誉れない戦い方。許せマルギット、私は王になりたいんだ。


と思ったら、マルギットに出血ダメージが入り、一気に体力が3割削れた。これはいける。


私は一気に攻勢をしかけ、体力を半分まで削ることが出来た。丁度そのとき、クララが蒸発してしまう。おつかれ、クララ。


マルギットの残り体力は半分。遺灰は気休め程度にしかならない。そして第二形態。ここからが本当の戦いだ。


まずは距離を取り、左手に装備した杖で輝石のつぶてを撃ち続ける。


マルギットの体力は確実に減っていく。


マルギットと接近戦になったら、攻撃を回避することだけを考え、僅かな隙に1発、2発当てる。正直、2発当てるのが限界だ。


だが、それでも最初に戦ったときよりは明らかに勝機を見出せている。


マルギットの体力が、奴の名前の辺りまで減ってきた。ここまで来たら、無茶はしない。落ち着いて距離を取り、確実に魔法で畳み掛けることにした。


そして止めを打刀で刺す。


雌雄は決した。一度は負けたが、2戦目で見事勝利した。私のレベルは20。マルギットとの距離が開いたら魔法で追撃する作戦は見事に嵌ったのである。


勝った。何か袋もらった。


さっそく私は現れた祝福に触れる。


マルギット、恐ろしい相手だった。魔法という選択肢を見いだせていなかったら、もっと苦戦させられていただろうな。


まあとにかく、勝ちは勝ちだ。できれば遺灰は使いたくなかったが、途中で溶けてしまったし、後半はタイマンだったから良しとしようか。


初めての大ボス戦なら、こんなものだろう。


もっと死ぬかと思っていたが、フロムゲーというのは読めないもので、意外と勝つときはあっさり勝てたりする。勝てないな、と思い、一晩寝た翌日の一戦目でいきなり倒せなかったボスを倒せるときもある。頭が煮詰まったときは、無理せず一旦頭をクールダウンさせる。これがフロムゲーを堅実に攻略していくコツの一つだ。 


しかし、先ほどの戦いには、我ながら「誉れ」がない。


フロムゲーを遊んでいるプレイヤーには、近接ソロで全てのボスを倒す事こそ真の勝利、という歪な誉れ信仰が根強く存在する。


遺灰を使う、協力NPCに頼るのは外法であり、フロムゲーでは誉れのない行為、とされているのだ。


マルギットとの戦いで、私は遺灰に頼ってしまった。


極力低レベルで倒すためには、もうこの方法しかない、と思ったからだ。


だが、心の何処かでは、何となくマルギットに負けた感じが残っている。


遺灰は、本当にソロでは対応できない、と強く感じたボスだけに使うようにしよう。


否、それは2キャラ目、2週目で目指す事。クリアしないことには始まらない。まず一週目は、使える手段は全て使い、誉れなき戦いをしてでも確実にクリアする。やり込み、近接ソロなどは後でじっくり考えればいい。まずはエルデンリングのエンディングを観る。それが最優先だ。


誉れは浜で死にました、というわけだ。


これからは、全てのボスも、道中も、一切の容赦なく、あらゆる搦め手を駆使していく。 


王になるためには、卑怯だなんだと言っていられない。


それが長きに渡り、数多くのゲームを攻略してきた男のエルデンリングだ。


誉れ誉れ言う奴は、誉れでも食っていればよいのだよ。


思い起こせば、私はダークソウル3でも誉れを捨てていたな。


ダークソウル3は剣戟がコンセプトのゲームで、脳筋至上主義的なゲームデザインだったのだが、剣も魔法も両方使いたい私の嗜好には合わず、アノールロンドでは見えない体を使い銀騎士相手に糞団子を投げ続け、ロスリック城の羽の生えた天使のデブ騎士には、魅了を使って同士討ちさせて遊んでいたのを思い出した。

そう、私はこのゲームを始める前から「誉れ」などからっきしもなかったのだ。


正直今のところ、ダクソ3の方がゲームとしての完成度は高いが、近接だけではなく、魔法、戦技、ときに遺灰の併用等、勝利のために多彩な戦略を練る余地があるエルデンリングというゲームは、RPG好きな私の嗜好には合っている。


ということで、早くも誉れを捨てた私の戦いはまだまだ続く。


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