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第八話 激闘、コカトリュフ!!

 クロイス村から出て三十分ぐらい歩いた頃、俺達はエアリア草原に辿り着いた。


 エアリア草原は野生の小動物が多く、雄大な草原の中に森、洞窟、湖などがあるらしい。しばらく歩くと、草原からだんだんと景色が森林に変わっていった。


「あっ、あったわ! 中間キャンプ!」


 ナビィが地図を見ながら何かを見つける。森林の奥に、キャンプ場があった。


 簡易のキャンプテントが設置されていて中に寝床がある。キャンプ場の真ん中には火を起こすための焚火ができる場所が用意されていた。


「よし、じゃあみんな、一旦ここに余計な荷物を置いて整理しましょう。ハンターズベルトに必要な物だけ詰めて、準備ができたら討伐に向かうわ」


 みんなで中間キャンプにハンターズベルト以外の荷物を置き、身軽になった状態で俺達はコカトリュフを探しに向かった。


 まずはコカトリュフの痕跡を探すらしい。しばらく歩いていると、フリルが何かを見つけたようだった。


「ありました、お嬢様。コカトリュフの足跡です」


「本当? さすがね、フリル。でかしたわ」


 大きな鳥の足跡が二つずつ。森の奥へと移動している痕跡がある。人が覆いかぶさるほどの大きな足跡だ。


「これは……」


 フリルは少し険悪な顔をしていた。丁寧に足跡の痕跡を調べている。


「お嬢様、今回は引き返した方がいいかも知れません」


「え? どうして?」


「このコカトリュフ、今まで私達が戦ってきた個体より、ずっと大きな個体です。それに、痕跡に血の跡があります。これは、コカトリュフの血です」


「え? 手負いってこと? じゃあ、チャンスじゃない!」


「違います。足跡から察するに、足の動きに一切のブレがありません。手負いなら多少のブレは出るはず。でも、それが一切ないということは、恐らく、これは返り血か、捕食の跡です」


「つまり、共食いってこと?」


「ええ。ですが、コカトリュフは仲間意識が高く、縄張り意識も高いため、余程のことが起きない限り、共食いは滅多に見られません。ですが、それが起きたということは……」


「異常ってことよね」


「はい。縄張り意識の高いモンスターが共食いをする理由は主に二つです。一つはメスの奪い合い。もう一つは……あまりにも縄張りの中で強すぎてしまったか……その二つです」


「強すぎる? どうしてそれで共食いに?」


「……力を持て余してしまうからです。この弱肉強食の世界で、力は最も大きな権力でもあります。大きな力を持つと、振るいたくなってしまうんです。これは人間も同じ。大きな権力を持つと、それを振るいたくなってしまう。まして彼らはモンスター。力という絶対的な権力を持つ以上、その欲は計り知れません」


「でも、メスの奪い合いの可能性だってあるんでしょ? この足跡はそれじゃないの?」


「いえ、その可能性は低いかと。何故ならメスの奪い合いの場合は相手の縄張りの中で戦いを行うからです。つまり、戦った後に、獲物を持って移動したりはしないんです」


「てことは、この足跡は……」


「恐らく、強すぎたのでしょう。縄張りから出て、他の縄張りを荒らし、無作為に戦いを挑み続けている強者だと思われます」


「……っまじかぁ」


 ナビィがその場で座って頭を抱えている。


 確かに、これは思っていたよりも厄介な事態かもしれない。


 ただ、それよりも俺はフリルの驚異的な洞察力に脱帽していた。まさか、足跡一つでここまで見抜けるとは、恐ろしい観察眼と知識力だ。心強い。


 だが、この情報を前にナビィはどう出るのか……。


「どうしますか、ナビィ? 引き返しますか?」


 しばらくして、考えがまとまったのか、ナビィは立ち上がった。


「ん~とりあえず、目で確認してからにしましょう。あまりに手に負えないようならギルドに報告する必要もある。姿を見ないままビビッて動かないのは性に合わないわ」


「わかりました。では、捜索を続けましょう」


 こうして、俺達はコカトリュフの捜索を続けた。とりあえず、足跡を辿って、途切れたら痕跡をまた探す。それの繰り返しらしい。


 だが、意外にもそれは早く見つかった。


 森の奥、足跡を辿って歩いていると、何かを食べている音が聞こえてくる。


 コカトリュフが大きなヘビィーピッグの死体をバリボリと食べていた。


「いた……静かに移動して」


 小声でナビィが指示を出し、全員でコカトリュフの姿が見える近くの茂みに隠れる。コカトリュフの姿を観察した。大きな二本の脚でヘビィーピッグの体を押さえつけ、クチバシを使って食べている。


 黄色の羽、赤い瞳、橙色のクチバシが特徴的だった。


「大きいわね……。確かに、今まで戦ってきたコカトリュフが子供に見えるくらいだわ。どうしよう……フリルはどう思う?」


「私は……いえ。このパーティーのリーダーはあなたです。ナビィ。ナビィが決めてください」


「むぅ……う~ん。今回は前と違って、イッシンもいる。それに、あいつがヘビィーピッグを食べているなら、気づかれずに攻撃できる大きなチャンスかもしれない。それに、結局ここで引き返した所で、あいつは他のコカトリュフも捕食して歩いているってことは、またあいつと戦わなければいけない可能性は高い。なら、このチャンスを逃すのは惜しい。私は戦うべきだと思うわ」


「では、やりましょう。イッシンとボーガンもいいですね」


「もちろんだ、そのために来たからな」


「おうよ、やってやるぜ」


 全員の意志は固まり、とりあえず作戦を立てることにした。


「まず、全員の立ち位置から確認するわね。不意打ちで先制攻撃を仕掛けたいけれど、イッシンのガントレットファイターやボーガンのプロテクトソードのように近距離の戦闘スタイルだと気づかれる可能性が高いわ。だから、不意打ちは私のアルターボウガンとフリルのカスタムバレルガンで遠距離の射撃を行う。それからイッシンとボーガンは私達の攻撃に合わせて死角から飛び出して攻撃って形がいいと思うんだけど、どう?」


 ナビィの作戦に全員が頷く。良い作戦だ。


「じゃあみんな、配置について。イッシンとボーガンはあいつの死角まで行ったら合図よろしく!」


 俺とボーガンは茂みに隠れながらコカトリュフの死角まで移動を開始した。


 コカトリュフの死角、斜め右後ろに辿り着き、ボーガンと俺は互いに少し離れた距離の茂みに隠れた。コカトリュフの死角を分散するためだ。


 ボーガンは俺に目で合図し、俺が頷くと、ボーガンは手を振って反対側にいるナビィ達に合図を送った。


 コカトリュフはまだヘビィーピッグを食べるのに夢中になっている。絶好のタイミングだ。


 ナビィはアルターボウガンの矢をセットし、弦を限界まで引き絞る。


 フリルはカスタムバレルガンをアサルトバレルに切り替えて引き金を引いた。


 放った矢と無数の銃弾がコカトリュフの背中に命中する。


「キュエエエエエエエッ!!!!」


 コカトリュフの鳴き声が森中に響き渡った。


 空気の振動で衝撃が来るほど大きな鳴き声に、全員、咄嗟に耳を塞いでしまう。


 俺とボーガンは少し出遅れてからコカトリュフの死角から飛び出した。


「うおおおおおっ!!」


 俺の拳とボーガンの斬撃が当たると思った瞬間、コカトリュフは大きな二本脚を踏ん張らせ、跳躍した。


 およそ俺の五倍はある高さだろう。俺達の攻撃は空振りに終わってしまった。


 瞬時にボーガンの声が聞こえる。


「よけろ!! イッシン!!」


 ボーガンの声のおかげで、咄嗟に飛び、その場から離れた。


 コカトリュフはまるで隕石のようにその巨体を地面に叩きつけ、ズゴォン!! という轟音と共に大地を揺らし、コカトリュフの下にあったヘビィーピッグの死体は地面にめり込んで粉々になってしまった。ボーガンの瞬時の声が無ければ確実に死んでいただろう。


「あっぶねえ……」


 ボーガンは降りてきたコカトリュフに向かって勇敢に攻撃を始めた。


「うおおおおおっ!!!!」


 プロテクトソードの剣でコカトリュフの羽に一撃、二撃と斬撃を繰り出す。だが、羽が散らばるだけで中の肉まで届かず、手ごたえを感じられなかった。


「くそっ! 硬え! 剣が通りにくい!!」


 負けじと斬撃を繰り出すが、コカトリュフは平然としていた。


 コカトリュフはその大きな羽を使い、ボーガンを体ごと弾き飛ばす。


「ぐああっ!!」


「ボーガン!!」


 ボーガンは茂みの奥にある木まで吹き飛ばされ、木にぶつかった後、茂みで見えなくなってしまった。ボーガンの手助けをしたいが、俺の直感が明らかにコカトリュフが俺を警戒していることに気づいていた。


「こいつ……隙がねえ」


 コカトリュフはボーガンの攻撃に見向きもせず、ただずっと、俺のことを見ていた。視線が絶対に俺から離れていない。


 わかるのか……。警戒するべき相手が。


 格闘家時代。今までいろんな奴を相手にしてきたからわかる。強い奴ほど、相手の力量を瞬時に観察し、戦うべき相手を選ぶ。


 こいつは、出会って間もない俺のことを警戒すべき相手だと認識したのか。


 強いな……。だが、それでいい。そんな奴らと戦うために、今の俺がいる。


「いくぜ!!」


「キエエエエエエエエエッ!!!!」


 コカトリュフの雄叫びが俺に直接向けられる。


 耳を塞ぎたい所だが、挑戦者として一発かまさねえと気が済まなかった。


 武器の使い方はスミスに教わった。


 俺はコカトリュフの懐に入れるように、腰を落とし、かかとで地面を強く蹴る。


 シューズに付いた爆光石が爆発し、推進力による高速移動でコカトリュフの懐に飛び込んだ。


「まずは、あいさつ代わりだ。くらえ」


 懐に入った瞬間、足を止め、コカトリュフの顎をめがけて拳を打ち上げた。


「豪魔獣王流、戦騎(せんき)(かま)え、戦乙姫(ヴァルキュリア)()剛弓(ブレイク)!!」


 拳が入ったと同時に、エクス・ブレイクの爆光石がコカトリュフの顎で爆発する。


 Ⅹ状の光と共に、コカトリュフは奇声を上げた。


「キュエエエエエエエエエエッ!!!!」


 確かに一撃は入った。


 だが、コカトリュフは羽を羽ばたかせて、俺に強風を送り付ける。


「キュエエエッ!! キュエエエエッ!!」


 何度も羽を動かし、その強風で次第に俺の体は浮き、吹き飛ばされてしまった。


「おうぉ…………くっ……!!」


 咄嗟に、空中で受け身の体勢を取る。着地と同時に両足と手を地面につけ、体の重心を三点に固定させて吹き飛ばされないようにした。


 コカトリュフの近くには誰もいなくなってしまったが、これで俺を巻き込まないように撃つのを待機していた二人に合図を送れる。


「今だ、ナビィ。フリル! 援護を頼む!」


 合図と同時にナビィのアルターボウガンとフリルのアサルトバレルの射撃音が聞こえた。ババババババッ!! バシュッ!!


 無防備となったコカトリュフの胸に数発の弾丸と矢が当たったが、コカトリュフは平然としている。


「なんで効いてないの!?」


 コカトリュフは「キュエエエエエ!!」と奇声を上げ、胸筋を膨らまし、めり込んだ全ての矢と弾を体から弾き飛ばした。


「クカァ……!」


 どうした、こいよと言わんばかりにコカトリュフはそこから動かず、俺を睨みつけている。


「へっ……そんなに俺とやりてえのか」


 だが、ボーガンの剣とナビィやフリルの射撃が効かないというであれば、ダメージを与えられるのは俺の武器だけだ。


 でも、こいつと戦うよりも心配なことがある。ボーガンだ。


 さっきから姿を現さないということは酷い怪我を負っている可能性がある。


 ここは、ナビィとフリルにボーガンを任せた方がよさそうだ。


「ナビィ!! フリル!! ボーガンを頼む!!」


 できる限りの大きな声で伝えた。二人は手を振って合図をしてくれる。二人が茂みから移動を開始したが、相変わらずコカトリュフは俺を見て、一歩も動かない。


「やっぱ、目当ては俺か……!!」


 だけど、それなら都合がいい。ボーガンの為に時間稼ぎができる。


 俺は構えを取る。時間稼ぎをするなら、こっちから仕掛けるしかない。


「いくぜ、コカトリュフ!!」


 体を縮こませ、狙いを定める。ナビィとフリルの攻撃で奴の胸筋はかなりの防御力があることはわかった。ならば、狙うは頭部。


 だが、アッパーカットである戦乙姫の剛弓はさっきの戦闘で見られていた。俺の直感だと、あのコカトリュフは知性がある。同じ攻撃をしても避けられるだろう。……なら!


 かかとを蹴り、爆光石を爆発させる。爆発の推進力で先程と同じようにコカトリュフの懐に飛び込んだ。


「キュエエエエエエ!!」


 だが、その瞬間。コカトリュフは足で地面を蹴り上げ、大きく跳躍する。


「だよな、そうくると思ったぜ!」


 コカトリュフが空高く届かない位置に到達する前に、俺はかかとで地面を強く蹴り、爆光石の爆発で垂直に飛んだ。ほぼ、コカトリュフと同じ高さに到達した瞬間に、コカトリュフの体を蹴り上げる。蹴った瞬間の爆発により、コカトリュフを追い越して更に上昇した。


「キュアアアアアア!!!!」


 コカトリュフは爆発によるダメージで奇声を上げている。


 そのままコカトリュフが飛ぼうとしていた最高到達点に辿り着いた。


「いくぜ、ぶっつけ本番!! 一か八かだ!!」


 空中で体をひねらせ、構えを取る。


 地面に背を向けるほど体をひねらせながら、腕を限界まで引き絞り、力を込めた。


 爆発による推進力がなくなり、空中で体が止まった瞬間、体を下に向け、両足を重ねる。火打石のように両足を爆発させ、爆発による推進力により、空中で落ち始めているコカトリュフに追い付く。


 その瞬間、限界まで引き絞った拳をコカトリュフに放った。


「豪魔獣王流! 戦槌(せんつい)(かま)え!! 豪勇(ソール)()拳撃(フィスト)!!」


 放たれた拳はコカトリュフのクチバシに直撃し、同時に爆発が起こる。


 クチバシは半分砕かれ、爆発により、頭部にもダメージが入った。


「キュアアアアアアアア!!」


「よし! 手ごたえあり!!」


 コカトリュフは殴られた勢いでそのまま落下し、地面に叩きつけられる。


 俺はコカトリュフをクッション代わりに、ボフンと羽の中に体が埋まった。羽のおかげか、落下の衝撃は緩和される。


 すかさず、コカトリュフに一撃を入れようとしたが、感づいたコカトリュフが羽を力強く広げて、俺を吹っ飛ばした。


「キエエエエエエ!!」


 空中で受け身を取り、着地する。


 コカトリュフは俺を睨み付け、半分くだけたクチバシを開いた。


「キュエエエ!! キュエエエエエ!! キュエエエエエエエエ!!!!」


 先程までとは違う奇声の上げかた。


 毛は逆立ち、羽を広げてこちらを威嚇している。明らかに雰囲気が変わっていた。


「……ははっ、怒らせちまったか」


「キエエエエエエエエエ!!!!」


 足に力が入っているのか、鋭い爪で地面がえぐられている。


 冷静さを失い、クチバシから舌を垂らしながら急に突進をしてきた。


「やっべえ、さすがに避けれる自信がねえな……」


 どうする……カウンターを食らわせるか?


 だが、カウンターだけであの突進が止まるとは思えない。


 逃げるか? いや、すぐに追いつかれる。やるしかないのか?


「クカアアアアアアア!!!!」


「くそっ!!」


 反撃の構えを取る。だが、その瞬間、コカトリュフの雰囲気が変わった。


「ギャアアアアアアア!!」


 大きな悲鳴にも似たような声、よく見ると、コカトリュフの背に大きな矢が刺さっていた。


「イッシン! 強力な麻痺矢よ! ボーガンの手当てをするから一旦、引いて!」


 ナビィの大きな声で状況を把握した。的確に情報が入ってくる良い指示だ。


「わかった! 今行く!」


「クカ……カカ……ガ……」


 コカトリュフは痺れて動けなくなっていた。攻撃のチャンスだが、ここは退くしかない。茂みにいるナビィ達と合流し、ボーガンの状況を確認した。


「すまねえ……イッシン……」


 左足の太ももに太い木の枝が貫通している。木に吹き飛ばされた時に刺さったのだろう。これは動けないはずだ。

 

「しゃべらなくていい……よく声も出さずに耐えきった。後は任せろ」


 ボーガンの武器はナビィに任せ、ボーガンを背負った。


 茂みの中でコカトリュフに気づかれないように移動し、中間キャンプまで急いで走る。


「ハァ……ハァ……ハァ……!!」


 しばらくして中間キャンプに辿り着き、テントにあるベッドでボーガンを横にした。


「大丈夫か、ボーガン!!」


「ぐっ……!! すまねえ、みんな……俺のせいで……」


 ナビィとフリルが代わってくれた。


「いいのよ、無理しないでボーガン。今、フリルが治してくれるから待ってて」


 フリルは自前のアイテム袋から回復液の瓶と包帯を取り出した。


 だが、治療をする前にボーガンの太ももを貫通している木の枝を調べ始める。


「あ、これは……」


「どうしたの? もしかして足が……?」


「いえ、大丈夫です。足が使えなくなるわけではありません。木の枝が貫通していますが、これは回復液で治るでしょう。ですが、ボーガンが動けない理由は別にあります」


「別?」


「この木の枝です。これは、経痺(けいひ)の木と言って、樹液に麻痺毒が含まれています。ボーガンが動けないのはこの麻痺毒の影響でしょう。麻痺毒の解毒剤は私が持っているので足の回復さえ済めば戦闘に復帰できます。ですが、かなり強い毒なので治るまでに時間はかかると思います。日が落ちれば視界の確保がしづらく、戦闘は不利です。ギルドに戻るのも手ですが、ナビィ、どうしますか?」


 ナビィはしばらく考え込んだ。


 確かに、ギルドに戻ってクエストをやり直せば、ボーガンは復帰できるだろう。


 だが、コカトリュフに負わせた傷は回復してしまい、あのコカトリュフは捕食を繰り返してどんどん強くなる可能性がある。難しい判断だ。


「……ボーガン、あなたはどうしたい?」


 ナビィの言葉にボーガンは即答した。


「俺はナビィに従う。何も活躍できないのは惜しいが、リーダーはナビィだ。決めてくれ」


 ナビィは顎に手を当て、少し考えた。リーダーとして、パーティーの方針は決めなければならない。退くか、戦うかだ。ナビィは考えを述べる。


「わかったわ、ギリギリまでねばりましょう。イッシンがコカトリュフにダメージを与えてくれている。イッシンのがんばりも無駄にはできない。だから、続行不可能になる手前までは戦う。それでいい?」


 ボーガンとフリルは頷いた。


「イッシンはどう?」


「俺も大丈夫だ。ナビィに従うよ」


「……ありがとう」


 こうして、ボーガンが完治するまで俺達は中間キャンプで休息をとった。


 時間は経ち、だんだんと日は沈んでいく。


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