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第十四話 襲来、レイジング・キング・サーモン!

「おっ? まさか、来るのか?」


「うそ? 本当にこれだけで?」


 モンスターの肉が重ねられた浜辺の地面が盛り上がり、山のような状態になってから、地面からレイジング・キング・サーモンの大きな口が現れた。


 モンスターの肉を砂の地面ごと食らっている。巨大なクジラのようなモンスターが飛び上がり、体を反転させて湖の中に戻った。


 ドパァンと大きな水しぶきと波が起こっている。


「でっ、でっけえ!! てか、エサを持ってかれたぞ! どうする、ナビィ!」


「逃がさないわ! フリル、一緒にお願い!!」


「わかりました、お嬢様!!」


 レイジング・キング・サーモンはサメのように背びれを水面から出していた。


「あれを狙うわ。同時にいくわよ!」


「わかりました!」


 バシュッ!! バババババッ!!


 フリルとナビィの同時攻撃がレイジング・キング・サーモンの背びれに命中する。


「グオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!!!」


 レイジング・キング・サーモンは体を仰け反らせ、巨大な悲鳴を上げた。


 あまりの音のでかさに俺達は両手で耳をふさぐ。


「くそっ! なんつう声のでかさだ! 鼓膜が破れちまう!」


 レイジング・キング・サーモンは水中に潜り、赤い眼光をこちらに向けた。


「なっ……! 来るぞ!!」


 レイジング・キング・サーモンは水中から勢いよくこちらに向かって突進をしてきた。サメのように研ぎ澄まされた歯を持つ大きな口が迫る。


「まかせろ、イッシン! 変形機構、巨人(ギガント)()爆鉄(パニッシャー)!!」


 ボーガンが大盾でレイジング・キング・サーモンの攻撃を防ぎ、爆撃と雷撃を浴びせる。


「グオオオオオオオオォォォォォォ!!!!」


 レイジング・キング・サーモンはボーガンの大盾を食らいながら、突進を続けている。微細な鱗を高速で動かし、地上でも凄まじいスピードだった。


「くそっ、こいつ止まらねえ!!」


 そのままレイジング・キング・サーモンは盾を嚙み砕こうと猛攻を続ける。大盾の拡張パーツについている爆雷石が耐えきれず、いくつか噛み砕かれてしまった。


「嘘だろっ! なんつう勢いだ」


「グオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!!!」


 レイジング・キング・サーモンの勢いは止まらず、ボーガンは森の近くにある大岩まで体を持っていかれた。


 大岩を背にして、なんとかレイジング・キング・サーモンの猛攻を防いでいる。


「うおおおおおおおおおっっ!! やられてたまるかぁ!!」


 背にしている大岩に大きなひびが入る。あれを食らい続けるのはまずい。


「待ってろ、ボーガン! 今、助ける!!」


 俺はレイジング・キング・サーモンの脇腹に近づき、構えを取る。


「豪魔獣王流、戦騎(せんき)(かま)え、戦乙女(ヴァルキュリア)()剛弓(ブレイク)!!」


 拳撃がレイジング・キング・サーモンの体にめり込み、爆雷石による爆発と雷撃が炸裂した。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 鱗の一部が破壊され、かなり手ごたえを感じる。


「もう一発!!」


 だが、俺が攻撃しようとした瞬間、レイジング・キング・サーモンは急に移動を始めて湖の方へと逃げていった。


「なっ……!! どこに行きやがる!!」


 レイジング・キング・サーモンは水中に潜り、姿をくらます。


「くそっ! 水中じゃ攻撃が通らねえ。ナビィ、フリル! 攻撃できるか!」


「ええ、任せて!」


「わかりました!」


 フリルとナビィが水中に向かって、銃撃と矢撃を仕掛ける。


 だが、水中で動き続けるレイジング・キング・サーモンに狙いが定まらない。


「くそっ! 全然当たらない!」


「せめて、姿さえ見えればいいのですが……」


 その瞬間、水中から顔を出したレイジング・キング・サーモンは大きく口を開け、水の塊を二人に向かって射出する。


「危ない、お嬢様! 避けて!」


「くっ!」


 二人は間一髪で水の塊を避ける。水の塊は地面で弾け、まるで岩が落ちたような巨大な音と共に地面に大きなへこみができていた。


「ただの水なのに、すごい威力です。まともに食らったら危険ですね」


「攻撃する時だけ湖から出てきて、こっちの攻撃がきた瞬間に湖に逃げるなんて、卑怯なモンスターね。どうにかして引きずり出したいけど……」


「お嬢様、私に考えがあります。いったん作戦を立て直しましょう」


「わかったわ! 一旦、合流する!」


 ナビィとフリルは、俺達の元へと合流した。


「イッシン、ボーガン! そっちは大丈夫?」


「ああ、俺は大丈夫だ。ボーガンもそこまでダメージは負ってない」


「よかったわ、一旦、作戦会議をしましょう。フリルが何か策があるらしいの」


「まじか! どんな案だ、教えてくれ!」


「はい。しかし、現状を打破するにはイッシン様とボーガンの協力が必要不可欠です。お願いできますか?」


「おう、なんでも言ってくれ! 俺達で引き受ける。良いよな? ボーガン」


「ああ、俺にできることならなんでもやるぜ!」


「わかりました。では、お二人にしかできない作戦を説明します」


 フリルは俺達に作戦を伝える。その内容は衝撃的だった。


「まじか……それを俺達でやるのか……」


「はい、お願いします」


「ボーガン、いけるか?」


「ああ、俺は大丈夫だけどよ……イッシン、死ぬなよ?」


「それはお前にかかっている! いいか、俺を絶対に守ってくれよ! 絶対な!」


「あ……ああ! 任せろ!」


「では、この作戦で行きましょう。皆さん、配置について下さい」


「行くぞ! 気合入れろ、イッシン!!」


「おおーし! やってやらあ!!」


 近くの木陰で武器と防具を脱ぎ、俺達は裸になった。


 フリルとナビィは木陰に隠れ、ボーガンと俺だけが裸で浜辺に立っている。


「やーいやーい! レイジング・キング・サーモンのバーカバーカ!! 意気地なしー!!」


「へーい、おしりぺーんぺーん! 悔しかったら、出てきなバーカ!!」


 …………。


「なあ、ボーガン。これ、本当にやる意味あったのか?」


「さあ?」


 そう言った瞬間、レイジング・キング・サーモンは水中から顔を出した。


「グゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


「「来たああああああああああああああああ!!」」


 怒っているのか、凄まじい咆哮を俺達に向けている。


「フリル、ナビィ! 今だ!!」


「変形機構、紫炎(インフェルノ)()弩弓(ブラスト)!!」


「変形機構、七竜(セブンス)()激唱(レクイエム)!!」


 二人の変形機構による攻撃がレイジング・キング・サーモンに炸裂する。


「グゴガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


 レイジング・キング・サーモンは不意の攻撃に悲鳴を上げ、その隙に俺とボーガンは防具と武器を装着した。


「よし、準備オーケーだ!」


「俺もオッケーだ!」


 レイジング・キング・サーモンはまた口の中に水の塊を作り出す。


 水の塊は俺とボーガンに向かって放たれた。


「作戦通り、こっちに注意(ヘイト)が向いたか! ボーガン頼む!」


「おう!!」


 ボーガンは大盾でレイジング・キング・サーモンの水の塊を防ぐ。その隙に俺は走り出した。


「イッシン、頼んだ!」


「まかせろ!」


 俺はレイジング・キング・サーモンの頭上にジャンプし、一気に距離を詰める。


「豪魔獣王流、戦槌(せんつい)(かま)え、豪勇(ソール)()拳撃(フィスト)!!」


 体をひねらせ、回転の勢いを使いながらレイジング・キング・サーモンの鼻先を殴り、爆発と雷撃がレイジング・キング・サーモンに炸裂する。


「グゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


 レイジング・キング・サーモンは水中に叩き落とされたように沈んだ。


 俺はそのまま浜辺に着地する。その時だった。


 ふとした直感が湖の方に目を向ける。湖の水に無数の影が見え始めていた。


「なんだ……あれ?」


 明らかな異変を感じる。俺の直感が伏せろと言っていた。


「まずい……! みんな、伏せろ!!」


 俺の声が届き、みんなは咄嗟に体を伏せた。瞬間、無数の影は海の中から飛び出し、まるでマシンガンのように連続した影が俺達の頭上をかすむ。


 人一人分くらいの大きさの魚が近くの木に激突していた。


「なんだこいつら!!」


 木に激突した魚は反転し、俺達に噛みつき、襲いかかってきた。


「キシャアアアア!!」


「くそっ、うざってえ!!」


 俺達は各々武器で魚達を振り払う。魚達はそのまま湖の中へと戻っていった。


「なんなんだ、あの魚の群れ!」


 すると、フリルがみんなに聞こえるように説明してくれた。


「あれは、レイジング・キング・サーモンの子供、レイジング・サーモンです! 普段は親の狩りには参戦しないのですが、親が苦戦している時に子供達が応戦してきます。気をつけてください!」


「そういうことか。健気だが、今は厄介な敵だな。ナビィ、策はあるか!」


「そうね! まずは……」


 ナビィが作戦を伝えようとした瞬間、またレイジング・サーモンの群れが襲いかかってきた。


「またか!!」


 全員で応戦する。群れを振り払うと、また群れは湖の中へと戻っていった。


「クソッ、こうも連続で攻撃されるとキリがねえ!」


 どうやら、レイジング・キング・サーモンは湖の中に潜伏し、レイジング・サーモンの群れに攻撃をさせることで安全にこちらをしとめるつもりらしい。


 間髪入れずにレイジング・サーモンは連続で攻撃を続けてきた。


「ナビィ、どうする!」


「新しい変形機構を使うわ!! 使った後、私は五分の間何もできなくなるから、援護をお願い!」


「新しい変形機構? まあいいや、わかった!」


 ナビィは三発の矢を湖に撃ち出し、レイジング・サーモンに腕を噛まれながらも変形機構の準備をした。


 ライトニング・クロニクルの弓の部品を折りたたみ、銃形態へと変形させる。


 ライトニング・クロニクルに備わった新たな変形機構。それは、銃口から爆雷石を利用した放電をアロンダイトの矢に向かって撃ち出し、避雷針となったアロンダイトの矢から範囲的な雷撃を繰り出す、不可避の一撃。


「変形機構、放電銃(スパーキング)雷撃(ブラスト)!!」


 ライトニング・クロニクルから放たれた雷撃がアロンダイトの矢を通じて湖の一帯を放電で埋め尽くす。眩い光と共にバチバチと青い閃光が降り注いだ。


「キシャアアアアアアアアアアアアア!!!!」


「グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 レイジング・サーモンだけではなく、レイジング・キング・サーモンにもダメージが通り、共に悲鳴を上げている。


 湖には電撃で意識を失った無数のレイジング・サーモンがぷかぷかと浮かんでいた。ナビィのライトニング・クロニクルからは白い煙がモクモクと出ている。


「みんな、後はお願い!!」


 レイジング・キング・サーモンは電撃を物ともせず、湖から飛び出し、ナビィに襲い掛かってきた。


 ボーガンが咄嗟に大盾で庇い、レイジング・キング・サーモンの攻撃を防ぐ。


「変形機構、巨人(ギガント)()爆鉄(パニッシャー)!!」


 大盾の拡張パーツに残っている爆雷石がレイジング・キング・サーモンにダメージを与える。


 だが、爆雷石がいくつか破壊されているせいで、威力はそこまでなかった。


「グゴオオオオオオオオオオオオオ!!」


 威力は少ないものの、不意に食らった一撃にレイジング・キング・サーモンはその場で怯む。その瞬間を俺も見逃さなかった。


「豪魔獣王流、戦騎(せんき)(かま)え、戦乙女(ヴァルキュリア)()剛弓(ブレイク)!!」


 レイジング・キング・サーモンの鼻に向かって渾身の一撃を食らわせる。


 だが、レイジング・キング・サーモンは体をひねり、巨大な尾ひれを使って全員を弾き飛ばした。


「うあああああ!!」


「うおあああああ!!」


「きゃあああああ!!」


「うっ…………!!」


 吹き飛ばされた俺達は体勢を整えようとすぐに立ち上がるが、レイジング・キング・サーモンは間髪を入れずに俺に向かって突進を繰り出した。


「くそっ、狙いは俺か!?」


「イッシン様!」


 フリルが銃撃で応戦する。


 だが、レイジング・キング・サーモンの突進は止められなかった。


 俺は跳躍し、その場から離れる。


「フリル、俺は大丈夫だ! 一旦、ナビィを連れて逃げてくれ!」


「わかりました! イッシン様、無茶だけはしないで下さい!」


「ああ、まかせろ!」


 レイジング・キング・サーモンは方向転換し、また俺に向かって突進を始めた。


 気合で耐え切るしかない。突進を防ぐために腕を閉じてガードの体勢をとる。


 だが、レイジング・キング・サーモンは俺に触れる直前、高跳びを始めた。


「なっ……!?」


 今までとは違った動き。瞬間、レイジング・キング・サーモンは体を回転させ、遠心力を使った尾ひれの攻撃を繰り出す。


「があっ!!」


 ガードは間に合ったが、威力が強い。


 あまりの勢いに体が湖の上までぶっ飛ばされた。


「やべえ!!」


 体が湖の中に沈む。


 レイジング・キング・サーモンは俺を追いかけるように湖の中にダイブした。


「イッシン!!」


 心配するボーガンの声が聞こえる。


 だが、湖の奥に沈まされてしまい、音はかき消された。


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