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第十三話 幻の島、出現!

「ああ、わかった」


 スミスとボーガンも頷き、俺達は解散した。全員、宿に戻って休息を取る。


 いよいよ、レイジング・キング・サーモンの討伐。


 一体、どんなモンスターなのか。少しの緊張と、新たな敵の高揚感を胸に、万全の体制を整えるために俺達は眠りについた。


 目覚めると、頭がすっきりしていた。ギルドに向かい、装備を装着する。


 準備を終え、ナビィが指揮を執った。


「じゃあ、行きましょうか! レイジング・キング・サーモン討伐へ!」


 ナビィの指揮の元、俺達はレイジング・キング・サーモン討伐のためにラッテル湖に向かった。


 ラッテル湖は、エアリア草原の奥地にある。俺達はエアリア草原を歩いていた。


「みんな、もうすぐよ」


 ナビィが地図を見ながらどんどん進んでいく。


 だんだん、潮の香りが辺りに漂い始めた。波の音がザザーザザーと聞こえる。


 歩いている地面も土ではなく、砂が混じり始めた。


 森が開けて、砂浜が見えてくる。


「ついたわ。ここがラッテル湖よ」


 エアリア草原の森を抜け、大きな湖を囲んだ砂浜にたどり着いた。


 砂浜には、漂流した木や小岩がある。不思議なのは、砂浜には釣竿を持った人がちらほらいることだ。


「ナビィ、あれって?」


「一応、ハンターよ。ラッテル湖の砂浜は比較的安全でね。モンスターが滅多に出現しないのよ。だから、ああやって釣りをして小銭を稼ごうとするハンターがたまにいるらしいわ。まあ、私達には関係ないけどね」


「そうだな。で、俺達はラッテル湖の中心の島に行かなきゃいけないんだよな?」


「ええ、そうね。でも……」


 ラッテル湖の中心を見るが、そんな島はどこにも見えない。やはり、資料館で調べた通り、何らかの条件があるようだ。


「まあ、これに関しては、聞き込みが一番ね。手っ取り早いし、あそこで釣りをしているハンターに聞いてみましょう。何か手がかりをもらえるかもしれないわ」


「ああ、そうだな。誰が話しかけに行く?」


「うーん。じゃあ、私が行くわ。女の子の方が教えてくれるでしょ。おじさんだし」


「そういうもんか? まあいいか、よろしく頼むよ」


「任せて!」


 ナビィは砂浜で釣りをしているおじさんハンターを見つけ、話しかけに行った。


「あのーすみませーん」


「おっ、なんだい嬢ちゃん。俺になんかようかい?」


「実は私達、レイジング・キング・サーモンの討伐に来たんですけど、ラッテル湖の中心にある島に行かないといけなくて、何か情報を知っていませんか?」


「ああ、あの島か?」


「知っているんですか?」


「あの島はね、時々現れるんだよ。俺も見たことはあるけど……いつだったかな~」


「なんでもいいです。教えてください」


「そうだな。たしか、太陽が湖の中心付近に昇った時だったかな。すげえ地面が揺れて、気づいたら島が中心にあってさ。興味本位で行って見ようとしたんだけど、水の中からモンスターの視線がすげえのなんの。びびって逃げちまったから、後のことはよくわかんねんだ」


「太陽が湖の中心に昇った時……? まあ、わかったわ。ありがとう、おじさん!」


「おうよ! 俺はお兄さんだけどな! 気をつけろよ、嬢ちゃん!」


「ええ! ありがとう、おじさん!」


「お兄さんだっての!!」


 ナビィは俺達の元へ戻り、情報を教えてくれた。


「へえ~。湖の中心に太陽が昇った時か……。つっても、今はまだ太陽が昇り始めたばっかりだしなあ」


「そうね、しばらく待つしかないかも」


 太陽は東から西へ沈むというが、この世界もそこは同じだ。


 太陽はまだ湖の東にあり、湖の周りを囲む森の陰から出てきたばかり、湖の中心に昇るまではまだ時間があるだろう。俺達はしばらく待つことにした。


「ひまだな……」


「ひまねえ……」


「酒飲みてえ……」


「ひまですね……」


 しばらく全員で湖を見ながら過ごす。唯一あったことといえば、釣りをしていたおじさんが大物の魚を釣ったのをみんなで喜んでいたぐらいだった。


 そして、太陽が湖の中心の上に昇った頃、地面がドドドドと大きく揺れ出した。


「なんだ……!?」


 湖が盛り上がり、巨大な水の山が形成されていく。


 徐々に水が流れ落ち、苔の生えた巨大な島が姿を現した。


「うおあっ!! でかすぎだろ!! ってか、本当に出てきたぞ!」


「そんなこと言ってる場合じゃないわ、イッシン。とりあえず、近くまで行って島に移動できる手がかりを探すわよ!」


「あっ、ああ!!」


 全員で急いで島の中心近くの沖まで走る。


「なあ、走ってるけど、どうやってあそこまで行くんだ?」


「知らないわ! でも、手がかりがあるならあの島の近くのはずよ! 最悪、沖との距離が近いなら泳いでいけばいいわ!」


「まあ、それもそうか!」


 しばらく走って、島の近くの沖までたどり着く。


 だが、泳ぐ必要はなさそうだ。


「ああ、そういうことだったのね……」


 ナビィがそう言うのもわかる。まさか、こうも大胆に島までの移動手段が用意されているとは思わなかったからだ。


「道が出来ている……」


 ラッテル湖の中心の島まで続く、長い砂岩の道。どうやって形成されたのかはわからないが、明らかにあの島まで続いている。


 俺達は砂岩の道を歩き出した。


「なるほどな。これがあるから資料にはここに行ける前提で書かれてあったのか。しかし、親切な書き方じゃないな」


 だが、俺の言葉にナビィが苦言を呈した。


「ダメよ、イッシン。みんな、あやふやな情報から必死に集めて本にしたり、資料にして情報提供をしてくれているんだから。贅沢は言えないわ」


「まあ、そうか。しかし……なんでこいつら襲ってこないんだ?」


「え? こいつらって?」


「気づいてないのか? 湖を見てみろよ」


 ナビィは湖を見る。大量の魚型のモンスターが眼光をこちらに向けていた。


「うわあ!!」


 びっくりしてナビィは思わず腰を落とす。俺はナビィに手を貸した。


「大丈夫か? ナビィ」


「教えてよ、びっくりしたぁ~」


「いやあっ、てっきりみんな気づいているもんだと……」


「知らないわよ。でも、なんで襲ってこないのかしら?」


 モンスターの眼光はじっとこちらを見ている。


 まるで、何かを待っているかのようだ。


「どうやら、行ってみるまでわからないみたいだな。あの島に」


「そうみたいね」


 俺達は魚型のモンスターに見られながら、島にたどり着くために砂岩の道を歩き続ける。


 しばらく歩いているとようやく、島の全貌が見えてきた。


「うわぁ~まるでジャングルだな」


 島の奥にある森にはツタの葉や蔓が張り巡らされた木々が生い茂っていた。砂浜に囲まれており、湿った岩がたくさん散見される。


 島に上陸し、俺達はひとまず砂浜で作戦を立てることにした。


 ナビィが指揮を執る。


「さて、じゃあここからだけど、アスラコンガ、グレイトロールパング、リングバードを探し出して討伐。その肉を使ってレイジング・キング・サーモンを呼び寄せてエサにするって手順でいいわね」


 全員が頷き、いざ森の中に入ろうとするが……。


「どうやら、探す必要はないみたいね」


 森の中から、赤い体毛が印象的な大きなゴリラのようなサル型のモンスター、アスラコンガと、茶と白色の模様の体毛が印象的なパンダのようなクマ型のモンスター、グレイトロールパング、頭に輪っかをつけた二足歩行の鳥型のモンスター、リングバードが現れた。


「アスラコンガ、グレイトロールパング、リングバード、どれも資料に書いてある特徴と一致しているわ。みんな、準備はいい?」


「おう!」


「もちろんだ!」


「行けます!」


 三匹のモンスターはこちらを見るなり、雄叫びを上げた。


「グオオオオオオオオオオオオ!!」


「ガアアアアアアアアアアアア!!」


「キュエエエエエエエエエエエ!!」


 その瞬間だった。島が揺れ始めた。


「なっ、なんだ!?」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴと地響きが起こり、俺達は体を屈める。


「イッシン、後ろ!!」


「後ろ……!?」


 ナビィに言われた方向を見ると、俺達が歩いてきた砂岩の道が沈み始めていた。


「嘘だろ!? 帰り道が!!」


 やがて砂岩の道は全て湖に沈み、地響きも止まってしまった。


「どうやら、私達はまんまと島の中心におびき寄せられたってわけね」


「そうみたいだな」


 だが、三匹はこちらを睨みつけたままでじっと動かない。


「どうする、イッシン。こっちから仕掛ける?」


「いや、今下手に動くと。あいつらから奇襲を仕掛けられる可能性がある。散開して行動するよりも、三対三の構図を保ったまま戦った方が安全だろう」


「わかったわ。フリルとボーガンもいつでも戦えるように構えといて」


「おう、まかせろ」


「わかりました」


 四人で互いに背中合わせで固まる。


 すると、しびれを切らしたのか、アスラコンガが雄叫びを上げた。


「グオオオオオオオオオオオ!!」


 体を丸め、ものすごい勢いで転がってくる。


「ボーガン、いけるか!」


「おう、任せろ!」


 ボーガンは剣を盾の中にしまい、グリップを回転させ、大盾に変形させた。


「変形機構、巨人(ギガント)()爆鉄(パニッシャー)!!」


 アスラコンガの突進を受け止めると同時に、変形時に出現した大盾の拡張パーツについている爆雷石により、巨大な爆発と雷撃が同時にアスラコンガを襲う。


「グオオオオオオオオオオオオ!!」


「すげえぜ! 前の変形機構よりも格段に威力がアップしている!」


 アスラコンガは不意に食らった爆発と雷撃で倒れていた。


 よく見ると、ビリビリと痺れて痙攣をしている。麻痺状態にあるようだ。


「ナイスだ、ボーガン! 俺も行くぜ!!」


 アスラコンガの前に立ち、構えを取る。


「豪魔獣王流 戦騎の構え!!」


 だが、その瞬間だった。


 猛スピードでグレイトロールパングとリングバードが迫っていた。


「やべっ!! 出過ぎたか!?」


「イッシン、あぶねえ!!」


 とっさに、二匹の足蹴りをボーガンが大盾で俺を庇う。


「ガアアアアアアアアアアアア!!」


「キュエエエエエエエエエエエ!!」


 グレイトロールパングとリングバードは同時に口を開け、炎を吐き出した。


「うおっ、なんだそれ! あっちい!!!」


 大盾で守られているが、盾越しにも熱が伝わってくる。凄まじい炎の勢いだ。


 だが、この瞬間をあの二人が見逃すはずがなかった。


「変形機構、紫炎(インフェルノ)()弩弓(ブラスト)!!」


「変易機構、七竜(セブンス)()激唱(レクイエム)!!」


 ナビィの紫炎の弩弓はリングバードの胸を貫き、フリルの七竜の激唱はグレイトロールパングの体を仰け反らせた。


「グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


「ギュエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」


 二匹は炎を出すのを止め、その場で痙攣して動けなくなった。


「すごいわ。まさか、麻痺状態にできるなんて……」


「私の攻撃も威力が上がっています。ここまでとは思いませんでした」


 麻痺状態による絶好のチャンス。これを逃す手はなかった。


「今よ、イッシン! まとめてやっちゃって!」


「わかった! ボーガン、どいてくれ!!」


「おう、やっちまえ! イッシン!」


 俺は体を伏せているアスラコンガを掴み、構えを取る。体を極限までひねり、地面がえぐれるほど両足に力を溜め、軸足がぶれないように限界まで耐え続けた力を一気に放出した。


「豪魔獣王流、嵐星(らんせい)の構え、夜星(ロッキング)()旋風(スロー)!!」


 アスラコンガを掴み、グレイトロールパングとリングバードに向かって投げつける。そのあまりの勢いに三匹は砂浜の大岩に衝突し、大岩には大きなへこみができていた。


「グガアァァ!!」


「ギュエエエ!!」


「ガアアァァ!!」


 アスラコンガとリングバードはその場で倒れ、動かなくなった。


 だが、グレイトロールパングだけは立ち上がる。


「ガアアアァァ!!」


 雄叫びを上げて、四足歩行で急突進してきた。


 目は虚ろに、舌を出しながらの突進。完全に我を忘れていた。


「ガアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ!!!!」


 ボーガンが心配して俺の前で盾を構える。


「イッシン、俺が防ぐ! お前がその隙に攻撃を!」


「…………」


「どうした、イッシン!?」


 俺にはわかる。あいつはもう……。


「どいてくれ、ボーガン。俺が終わらせる。それがあいつのけじめだ」


「なっ……どういうことだ? このままだと向かってくるぞ!?」


「大丈夫だ。それでいい」


「よくわからねえが、イッシンがそういうなら任せるぜ、無茶はするなよ」


「ああ。ありがとな、ボーガン」


 グレイトロールパングは、ただひたすら俺に向かって突進してきた。


 周りにボーガンやフリル、ナビィもいるのにだ。突っ込んだら袋叩きにされる。


 例えモンスターであっても、俺達とは大きな実力差があることはわかるはずだ。


 だが、それでも向かってくるということは。


「終わらせて欲しいってことだよな、俺に」


「ガアアアアアアアアアァァァァァァ!!」


 俺は構えを取る。グレイトロールパングの突進に合わせて、限界まで体をひねり、力を溜めた。


「行くぜ、冥土の土産に持ってけ!」


 グレイトロールパングが俺の眼前に来るその瞬間、構えを解き放つ。


「豪魔獣王流、戦騎(せんき)(かま)え、戦乙女(ヴァルキュリア)()剛弓(ブレイク)!!」


 顎に溜め切った力を解き放ち、最高の一撃を放つ。


 グレイトロールパングは、空高く打ち上げられた。そのまま、アスラコンガとリングバードの上にズガァンと大きな地響きを立てて、落下する。


「ガァ……ァァ……ァ……」


 腕を小さく上げた後、完全に動かなくなった。


「意外とあっけなかったな。だが、良い敵だったぜ、レイジング・キング・サーモンと戦う前の肩慣らしになった」


 ナビィが三匹の近くに行き、目を開けて生きているかを確認する。


「うん、討伐成功ね。あとはこいつらの肉を使って、レイジング・キング・サーモンを呼び寄せましょう」


 四人で三匹の素材を剥ぎ取る。素材を剥ぎ取っていると、あることに気付いた。


「この三匹、首元にエラがついているんだな。ってことは元々、水中の生物ってことなのか」


「そうみたいね。まあ、普段は島が水の中にあるんだし、不思議なことじゃないでしょ」


「それもそうか」


 剥ぎ取った皮や骨など、必要のない素材は自然に返し、肉だけを剥ぎ取った。


「おお~結構あるな」


「そうね、半分くらいは念のためにレイジング・キング・サーモンのエサにしましょう。残りは私達でおいしく食べればいいから」


「よっしゃあ~!」


「じゃあ、早速調理しちゃいましょうか」


 みんなで調理するためにハンターズキットの鉄板型肉焼きセットと折りたたみテーブルを組み立てる。テーブルの上にモンスターの肉を用意し、まな板に乗せて全員で手分けして肉をさばいた。


「よし、これで全部さばき終わったか」


「そうね、あとは自分の鉄板プレートで焼きましょう。あっ、イッシンのは私が貸してあげるから」


「ありがとう」


「今回の肉は、アスラコンガとリングバードの骨付き肉に、グレイトロールパングのステーキ肉の盛り合わせよ。じっくり焼いて食べてね」


「はーい」


 まずはアスラコンガの骨付き肉を全員の鉄板プレートに乗せ、鉄板プレートの下にある着火剤に火打石で着火し、しばらく待つ。


 ジューッと肉が焼ける心地の良い音が聞こえた。


「おお~うまそうだ」


 片面が焼けた骨付き肉をひっくり返し、両面を焼く。しっかりと、焼き目がつき始めた頃に、白雪塩で味つけをした。焼けた肉の良い香りが食欲をそそる。


「よ~し、そろそろか」


 食べる前に手を合わせる。


「いただきます」


 すると、ナビィも俺の真似をした。


「あっ、そっか。いただきますだっけ。じゃあ、私も」


 ナビィは手を合わせる。つられるように、ボーガンとフリルも手を合わせた。


「いただきます」


「いただきまーす」


「いただきます」


 骨の部分を手で持ち、一思いにガブッと一口。皮は柔らかいが、少し硬い歯ごたえがあった。


 だが、噛んでいくごとにだんだんと柔らかくなっていく。


「不思議な食感だ。でも、おいしい。癖になる味わいだ」


 硬い食感から柔らかくなっていき、肉の旨味が増していく。


 噛めば噛むほど味わい深くなっていくのがたまらない。酒に合いそうだ。


 ボーガンも同じように感じたのか、小言を漏らしていた。


「あぁ~酒飲みてえぇ~。こいつはつまみに最高だぜ」


 だが、さすがにここに酒はない。今回は我慢するしかなかった。


 骨付き肉を全部食べ終えて、次はリングバードの骨付き肉を焼いてみる。


 両面をしっかりと焼き、焼き目がつき始めた頃に雪塩で味付けをした。


「さて、こっちはどうかな?」


 黄金色になった骨付き肉の骨の部分を手で持ち、フーフーッと息をかけて少し冷ます。思い切り口を開けて、ガブッと一口食べた。


 パリパリの皮に、崩れそうになるほど柔らかい肉がぎっしりと詰まっている。


 噛めば噛むほど、ジュワァッと肉汁が旨味となってあふれだした。


 パリッ、ジュワァッと、食感の連鎖反応が体を刺激させ、やみつきになる。


「これうまいなあ。もっと食べよ」


 おかわりで何本か追加で食べた後、最後にグレイトロールパングのステーキ肉を焼いた。


「さーて、こいつはどんな味かな」


 ジューッと肉を焼き始めると、なぜか肉が少し膨張し始めた。


「うおっ! なんだ?」


 プツッという音が聞こえると、肉の中心から肉汁が一気にあふれ出し、肉の表面を覆いつくした。肉汁が表面をコーティングし、光の反射でキラキラと輝いている。


「なんだかわからないけど、とりあえず、もう片面も焼くか」


 片面をひっくり返し、両面を焼く。こんがりと焼けた両面がきれいな肉汁のコーティングでキラキラと輝いていた。


「さて、どうやって食べるか」


 少し考える。ふと、一つの考えが思いついた。


「そうだ! 一回こうやって食べてみたかったんだよな」


 ナイフで切らず、フォークでステーキ肉を刺し、持ち上げた。


 重力に負けてステーキが少し垂れている。


 溢れ出た肉汁のコーティングで、ステーキの端から滴るように肉汁が零れ落ちていた。豪快に、ステーキ肉を端からガブッと一口。


「ん~~~~~!!!!」


 やわらかい肉から一気にジュワァッと溢れ出る肉汁の海。噛めば噛むほど肉汁が溢れ出てくるが、この肉汁がとてつもなくおいしかった。


 しつこくない、まるで水のように飲める旨味のジュースとなった肉汁から溢れ出てくる純粋な味の暴力。


 何度口に入れても、脂のしつこさや肉特有の飽きを全く感じなかった。


「あっ~~!! うめえええ。こんな肉があるんだなぁ」


 グレイトロールパングの肉を食べ終えた後、無作為に他の肉も食べ始める。


 俺達はあんなに大量にあった肉をあっという間に完食した。


「いや~うまかった。まさか、あの量を四人で食べきれるとはな」


「そうね、おいしかったわ」


「そういやナビィ。確か、レイジング・キング・サーモンにエサを与えるんだろ? 浜辺に肉を持っていけばいいんだっけ?」


「ええ、そうよ。でも、本当に現れるのかしら?」


「まあ、やってみなきゃわからないよな」


「そうよね」


 俺達は少しの休憩を取ってから、全員で三匹のモンスターの肉を移動した。


 大量の肉が重ねられて、浜辺に置いてある。


「これでいいのか?」


「良いと思うんだけど……」


 しばらく待っていると、ドドドドドと地響きが起き始めた。

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