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第十話 上位種 極雷鳥コカトリュフ!

 ナビィはコカトリュフに近づき、剥ぎ取りをしようと試みる。


「あれ? なんか固いわね」


 その瞬間、俺は気づいた。違和感の正体に。


 そんなはずがないと思っていた。知性があるとはいえ、そんなことをできるはずが無いと。


 だが、違った。コカトリュフのクチバシから出ていた舌がクチバシの中に戻っている。コカトリュフは死んだふりをしていた。


「ナビィ!! 離れろ!!」


「……え?」


 瞬間、俺の目の前に突如、不思議なことが起こった。


 雲があるわけでもない。空は開けている。夜空の星が見えるほどだ。


 だが、俺の目の前で起きた現象はこう呼ぶしかなかった。落雷。


 大きな地響きと共に落雷の轟音が炸裂。鼓膜が破れそうになる程の音に耳を塞ぐしかなかった。


 強烈な光と共に空気が破裂したような圧力が俺達を襲い、地面が割れた衝撃で岩片がはじけ飛ぶ。


 咄嗟にボーガンが俺達を庇い、盾で岩片を防いでくれた。


「……ぐっ!! ……なんなんだ、これは!!」


 だが、盾で防がれている中で見てしまった。空高くに吹っ飛ばされた、ナビィの姿を。


「ナビィ!!!!」


 ドサッ……と、まるで生き物ではないかのようにナビィは地面に落ちた。


 俺の叫びでナビィに気づいたフリルが涙を流しながら急いで駆けつける。


「おっ……お嬢様!!!!」


 フリルはナビィの顔を叩き、意識を確かめるが、反応が無かった。


「イッシン様! お嬢様の意識が完全にありません!! どうすれば!!」


「……わかった!! とりあえず、茂みに隠れて処置を頼む! こっちは俺とボーガンでなんとかする!」


「わかりました!!」


 フリルはナビィを肩に乗せ、急いで茂みへと隠れる。


 だが、俺は気づいていた。問題なのは目の前にいるこいつだと。


「こいつを狩らねえと……全員死ぬ!!」


 目の前にいる落雷を直撃したそれは、姿が先程までとは変わっていた。


 全身が光り輝き、目は赤く、羽根は逆立ち、クチバシで雷を食らいながら体から漏れ出た電気を纏っている。そこには先程までのコカトリュフの面影はもう無い。


「ボーガン……どういうことだよ、これ。倒したんじゃなかったのか?」


「俺も初めて見る。奴め、恐らく上位種って奴だ」


「……上位種?」


「モンスターにはまれに上位種と呼ばれる存在がいる。それは同じモンスターの中でも一際強いモンスターに呼ばれ、中には姿そのものを変える変異体が存在するらしい。恐らく、奴もそれだろう」


「つまり、簡単に言うとコカトリュフの中でもめちゃくちゃ強いし、やばいってことか」


「そういうことだ」


「ギュエエエエエエエエエ!!!!」


 コカトリュフはクチバシに雷を溜めこみ、一気に飲み込んだ。コカトリュフの体が光り輝く。


「くるぞ、イッシン!! 俺の後ろに!!」


「ああ!!」


 ボーガンは盾を構える。


 コカトリュフはまるで雷をレーザービームのようにクチバシから放出した。


「ギュアアアアアアアアア!!!!」


 空気の弾ける衝撃と巨大な雷の轟音が響き渡り、とてつもないエネルギー波がボーガンの盾を襲う。


「ぐああああああああああああああああ!!!!」


「うおああああああ!!!!」


 あまりの威力に耐え切れず、俺とボーガンは吹き飛ばされてしまった。


 地面に派手に投げ出され、俺達は受け身をとることすらできない。幸いにも盾は貫通していなかったおかげで重傷を受けずに済んだ……が、拡張されたシールドが溶け、盾の表面が焼け焦げていた。


 ボーガンは直ぐに立ちあがり、俺に手を貸してくれる。


「大丈夫か、イッシン!」


「あっ……ああ、大丈夫だ」


 ボーガンの手を受け取り、立ち上がる。


「助かったよ、ボーガンの盾が無ければ死んでいる所だった」


「ああ……だが、どうする? もう一発食らったらさすがに耐え切れねえぞ。……逃げるか?」


「いや、無理だろう。あいつ、相当キレてやがるぜ。どこまででも俺達を追ってくるはずだ」


「そうか……じゃあ、やるしかないな! 覚悟決めるぜ、イッシン!」


「おう!!!!」


「ギュエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」


 コカトリュフは空を見上げ、羽を広げた。


「……ん? なんだあれ?」


 その時、不思議な物が見えた。


 コカトリュフの羽から黄色くて小さな粒が出ているのが見える。小さな粒同士が重なる瞬間、大きな轟音とともにまた雷が落ちた。


「うおっ!!」


 衝撃で思わず目をつぶる。コカトリュフは目の前で落ちた雷をまたクチバシで食らい始めた。


「どうした、イッシン! やばいぞ、あいつまたあれを撃ってくるかもしれねえ!」


 ボーガンの言う通り、コカトリュフにまたあの光線を撃たれたらまずい。


 俺はコカトリュフに向かって走り出した。


「おい、イッシン!」


 ボーガンに指示を出す余裕はない。あの光線を放たれる前に攻撃を仕掛けるしかなかった。急いでコカトリュフの懐までたどり着く。


「豪魔獣王流、戦騎の構え……!!」


 だが、俺が構えをとった瞬間に、コカトリュフは大きく跳躍した。


「くそっ、またか!」


「キュエエエエエエエエエ!!」


 俺は腰を低くし、腕を前に防御態勢をとる。


 だが、コカトリュフは羽で空を飛んでいた。


「なっ! あいつ飛べるのかよ!」


 コカトリュフは滞空したまま、俺に向けてクチバシを大きく開ける。


「あっ……」


「よけろ!! イッシン!!」


 コカトリュフはクチバシから雷の光線を放ち、眩い光で辺りは包まれた。


「ギュアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 俺はボーガンの声でとっさに我に返り、足の爆光石を爆発させて強引にその場から離れる。直撃は免れたが、受け身は取れなかった。


 プスプスと割れた地面から焼け焦げる匂いがする。


 コカトリュフは倒れている俺に、すかさず飛び蹴りを食らわせようとしてきた。


「キュエエエエエエエエエ!!!!」


 俺の周りの地面に足の爪が突き刺さり、全体重で俺にのしかかる。


 腕でできる限りの抵抗をするが、俺の腕ごと押しつぶそうとしてきた。


「がぁ……ぐっ……ああああああああ!!」


「イッシン!!」


 ボーガンが俺を助けようと攻撃を仕掛ける。


 だが、羽で体ごと吹き飛ばされてしまった。


「ぐわああああああ!!」


「キュエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」


 メキメキと体が地面に押し込まれる。


「ぐっ……がぁ……ああああああ!!!」


 このままだと、押しつぶされる。こうなったら……やるしかねえ!


「ぶっとべえ!!!!」


 俺は押しつぶされているコカトリュフの足の隙間から両手のガントレットを激しくぶつけ合わせ、爆光石を爆発させた。


「があああああああああああああああ!!!!」


「ギャガアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 コカトリュフは急な爆発に仰け反り、俺は足の爪から脱出することに成功した。


 だが、爆発を自分の体に直撃し、その場から動けない。


 コカトリュフは起き上がり、追い打ちをかけるように俺に突進してくる。


「ギュアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 やべえ、立ち上がれねえ……。さすがにやりすぎたか……くそっ……。


 万事休すかと思ったその時。


「うおおおおおおっ!! やらせるかああ!!」


 ボーガンが俺の前に立ち、プロテクトソードを展開させた。


「死んでも守る!!!!」


「ギュエエエエエエエエエ!!」


 コカトリュフの爪がボーガンのプロテクトソードに突き刺さる。鉄を打つような音が響き渡り、火花が飛びちった。


「うおおおおおおおおおおお!!!!」


「ギュエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」


 コカトリュフの猛突進により、プロテクトソードに爪の跡がくっきりと残る。コカトリュフの突進の威力は弱まり、動きを止めることに成功した。


「よっしゃあ!!」


 だが、コカトリュフは羽を広げて黄色い粉を散布し、雷を目の前に落とす。


「うおあっ!!」


 偶然にもボーガンは盾で防いだが、コカトリュフはクチバシに雷を溜め、ボーガンの盾めがけて雷を放とうとしていた。


「キュエエエエエエエエエ!!!!」


「まじかよ! そりゃやべえぞ!!」


 もう一度盾を構える。だが、防ぎきれる自信はなかった。


 頼む!! 持ちこたえてくれ!!


 雷の光線がボーガンの盾に直撃し、轟音と共に盾に雷撃を浴びせる。


「ギュアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


「うおおおおおおおおあああああああああああ!!!!」


 取っ手が燃えるように熱い。盾の表面が雷撃の熱で溶けていくのがわかる。


 だが、離すわけにはいかなかった。


 くそっ! くそっ!! 持ってくれ! 頼むから!!


 もうだめかと思ったその時。


紫炎(インフェルノ)()弩弓(ブラスト)!!」


七竜(セブンス)()激唱(レクイエム)!!」


 紫炎を纏った矢と七色の弾丸がコカトリュフを襲う。


「ギュアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 思いもよらない不意の攻撃にコカトリュフは倒れ、雷撃は止まった。


「ナビィ、フリル!! 大丈夫なのか!?」


「援護は今ので限界です! 私達は大丈夫ですから、イッシン様を!!」


「わかった!!」


 ナビィは倒れた状態でフリルに肩を借り、アルターボウガンを撃っていた。だが、立ち上がれる状態ではないようだ。


「イッシン。大丈夫か!」


「ああ、時間を稼いでくれたおかげで動ける。ありがとう」


 俺はボーガンの手を借りて立ち上がる。それと同時にコカトリュフも起き上がった。


「クキュアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


「おいおい、早すぎんだろ!」


 コカトリュフは羽を広げ、大粒の黄色い粉塵を撒き散らす。俺は咄嗟に距離を取ったが、ボーガンはそれが何かわからず、困惑していた。


「なんなんだこれ?」


「でかい! ボーガンよけろ!! 雷撃がくるぞ!!」


「……何!?」


 ボーガンはとっさに自分の盾を背に乗せて体を地面に伏せた。


 ふわふわと浮いている粉塵同士はお互いに引かれ合い、重なった瞬間に大きな落雷が轟音と共に降り注ぐ。目の前が真っ白になるほど光で包まれ、ボーガンの体は見えなくなった。


「ボーガン!!」


 雷撃が止み、ボーガンの盾は焼け焦げているが、貫通はしていなかった。


 コカトリュフは空気に滞留した電気を食べ始める。体の周りに空気が歪むほどの青白い電気が纏わり出した。


「クギャァァ……!!」


「やべえな……おい、ボーガン! 返事をしてくれ!!」


 倒れたボーガンに声をかけるが返事はない。恐らく、意識がないのだろう。


「くっそ!!」


 コカトリュフは毛が逆立ち、目は赤く光って臨戦状態になっている。


 電気を纏いながら高速で突進を始めた。


「ギャアアアアアアアアアアアア!!!!」


 俺は腕を前にしてコカトリュフの突進を受け止めようとする。


 だが、コカトリュフのスピードは想像を超えるものだった。


 まるで雷が目の前に降ってくるかのように、一瞬でコカトリュフは視界の前に現れ、俺の腕をついばんできた。


「うおおおおおおおおお!!!!」


 あまりの威力に地面に跡ができるほど引きずられる。


 俺は足でコカトリュフの顔面に蹴りを入れた。


「うおりゃぁ!!」


 爆光石の爆発により、コカトリュフの顔面は爆発。コカトリュフは怯み、俺の腕を離した。


「クギャアアアアアアアアアア!!」


「よし、これで反撃ができる!」


 怯んだ隙を逃さないように俺は攻撃の構えをとった。


「いくぜ、豪魔獣王流、戦騎(せんき)(かま)え、戦乙女(ヴァルキュリア)()剛弓(ブレイク)!!」


 爆発で焼け焦げているコカトリュフの顎にめがけて、渾身の一撃を放つ。


 殴った衝撃に、更に爆発が加わり、コカトリュフは悲鳴を上げた。


「ギュアアアアアアアアアアア!!!!」


 振り上げた拳の感触から手ごたえがあったと感じたが、コカトリュフはそのまま飛び上がる。コカトリュフは滞空し、空中でクチバシを開けて俺に向けた。


「何!?」


「キュアアアアアアアアアアア!!」


 また雷撃が来る。そう思い、防御態勢に入ったが、コカトリュフはクチバシを閉じて滑空し、俺を踏みつぶそうと足で攻撃を仕掛けてきた。


「ちっ、なめた真似しやがって! フェイントか!! だったら!!」


 足の爆光石を爆発させ、地面を蹴り、コカトリュフを越えて空中に飛び上がった。


「クガア!?」


「豪魔獣王流、戦槌(せんつい)(かま)え、豪勇(ソール)()拳撃(フィスト)!!」


 コカトリュフの脳天に拳が直撃し、爆発する。


「クギャアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 コカトリュフは地面に叩きつけられた。


「よし、このままもう一発!」


 だが、コカトリュフは顔だけを俺のほうに向け、クチバシから雷撃を放つ。


「うおっ!!」


 とっさに空中で体をずらして避けたが、構えが崩れてしまった。


「おっとっと!!」


 空中で受け身をとり、地面に手をついて着地する。


 コカトリュフは追撃を仕掛けようと立ち上がり、また突進を仕掛けてきた。


「へっ、所詮はモンスターか! 同じ攻撃ばかり仕掛けてきても意味はねえぞ!」


 構えをとり、もう一度攻撃を食らわせようとしたが、コカトリュフは俺の目の前で急に動きを止めた。


「何!?」


 羽を広げ、大きな黄色い粉末を俺の前に散布する。


「クガアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


「やっべえ!!」


 逃げる間もなく、粉末同士が重なり合い、雷撃が降り注いだ。


「うがああああああああああああああああ!!!!」


 体が超痙攣する。全身の筋肉が締め付けられ、体が震えあがった。プスプスと焼け焦げた匂いがする。視界が暗くなり、意識を保つのがやっとだった。


「くそっ……油断した……あぁ……がっ……」


「クギャアア!!」


 コカトリュフは足で俺の体を蹴り、吹っ飛ばされた俺は地面に転がった。


 そのまま俺にトドメをさそうと近づいてくる。


「ガッ……クソッ……立てねえ」


「クギャアアアアア!!」


 コカトリュフはとどめを刺すためにクチバシを俺に向けて開き、雷撃を食らわせようとする。


 だが、それを見たフリルが茂みから飛び出し、援護を始めた。


「イッシン様!!」


 ガトリングバレルから射出される弾幕の雨がコカトリュフに降り注ぐ。


 だが、コカトリュフの羽は弾幕をはじき返し、ダメージはなかった。


「そんな……」


「クガァ?」


 コカトリュフの気に触れたのか、コカトリュフは俺への攻撃を止め、フリルの方に振り向く。


「くそっ……逃げろ、フリル!!」


 コカトリュフは青白い稲妻を纏いながら高速移動でフリルの目の前に一瞬で移動する。そのままクチバシを開け、雷撃を食らわせようとしていた。


「ギュアアアアアアアアアアア!!!!」


「ああ……あぁ……ナビィ……さま……」


 呆然と逃げる気力をなくしたフリルは立ち尽くし、その場で動かなくなってしまった。青白い光がクチバシに集まり、眩い光が周りを包み始める。


「逃げろ! 逃げてくれ! フリル!!」


「…………」


 俺の言葉は届かず、フリルは腰が抜けて動けないようだった。


「ちきしょう!!」


 その時だった。


紫炎(インフェルノ)()剛弓(ブラスト)!!」


 紫色の炎の矢がコカトリュフの左目に突き刺さる。


 「クギャアアアアアアアアア!!」


 コカトリュフは悲鳴を上げ、その場で悶え始めた。


「何やっているのフリル! 生きなさい!! 私と一緒にマスターランクになるんでしょ!!」


「お……お嬢様……」


 フリルは正気を取り戻し、ナビィのいる場所にかけこんだ。


「お嬢様……すみません。私のせいで……」


「いいのよ。あとはイッシンに任せるしかないわ」


「でも、イッシン様は……」


「大丈夫よ、あいつタフだから。なんとかするわ」


「おーい、聞こえてんぞ!」


「ほらね?」


「ははっ……」


「イッシン、あとは頼んだわよ! 私とフリルは避難するからその鳥、ボコボコにしちゃいなさい!」


「ああ、言われなくても!!」


 フリルとナビィは茂みの中から姿を消し、悶えたコカトリュフは痛みに慣れ始めたのか、片目で俺の方を見てきた。


 赤く光った鋭い眼光が俺の体に突き刺さる。殺意がひしひしと伝わってきた。


「へへっ、ラウンド二通り越して、ラウンド三ってとこか……やってやるぜ!」


「クギュアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 コカトリュフはその場で回転を始めた。辺りに黄色い粉塵が撒き散らされる。


「おいおい、逃げ場なしかよ!」


 更に、コカトリュフのクチバシから青白い電撃が連続で射出された。


「ギュア!! ギュアアア!! ギュアアア!!」


「おっと! うわっ! あぶね!!」


 ぎりぎりで転がって回避する。だが、回避する先の粉塵が重なり合いそうになっていた。


「まっず! くそっ、こうなったら!」


 俺は倒れながら両手と両足の爆光石を重ね合い、爆発させる。エビのように体をくねらせ、空中に浮きあがった。


 そして粉塵が重なり合い、俺がいたはずの場所で雷撃が起こる。


 地面がえぐれて焼け焦げていた。


「うおおっ、あっぶねえ……」


 だが、空中に上がった俺を撃ち落とそうと、コカトリュフがクチバシを俺に向けていた。


「まずっ!!」


 コカトリュフのクチバシに青白い光が集まっていく。雷撃が放たれた瞬間、俺は咄嗟に、足の爆光石を重ね合わせ、空中で移動した。


「あっぶねえ!!」


 避けると同時に、コカトリュフの頭上に移動する。そのまま落下と共に、コカトリュフめがけて拳を構えた。


「豪魔獣王流、戦槌の構え!」


 だが……。


「キュアアアアアアアアアア!!」


 コカトリュフは急に跳躍し、俺は標的を見失った。


「うおあ!!」


 地面に激突しそうになり、受け身をとる。すぐに起き上がるが、コカトリュフはそのまま落下し、俺を足で踏みつけた。


「ギュアアアアアアアアアアア!!!!」


「がああっ!!」


 足の爪を地面に刺し、俺のことを拘束する。


「くそっ、離せ!!」


 更に、コカトリュフは羽を広げ、俺の前に黄色い粉末を散布した。


「まずっ……!!」


 俺は脱出しようとガントレットを重ね合わせ、爆光石を爆発させようとする。


 だが、コカトリュフはガントレットの間にクチバシを挟み込んできた。


「なっ、こいつ……!!」


 摩擦が少ないからか、ガントレットは爆発できなかった。


 コカトリュフはそのまま少しずつクチバシを開く。


「なるほどな……逃げる隙も与えねえってことか」


「クガァッカッカッ!!」


 コカトリュフは勝ちを確信したように声を上げ、容赦なくクチバシから雷撃を放とうとする。


 青白い光がクチバシの中に集まり、俺の視界は光で包まれていった。


 だが、俺は待っていた。この時を。


「なあ、コカトリュフ。お前。今、勝ったって思ったろ?」


 人の言葉をなんとなく理解したのか、動物の本能がそう感じ取ったのかわからないが、コカトリュフは俺の見ている方向に眼を向けた。クチバシから光が消えている。その顔は恐怖そのものだった。


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