No.27 兄妹対決
「準備は大丈夫ですか?」
「うん、バッチリだよ。これでOB会の問題を解決出来ると良いんだけどね」
スタジアムの物陰から番犬兄弟を見やりワットさんと作戦会議をする。
春休みも終わり4thリーグが開幕されヨハンナさんの試合を見る為2人も観戦に来たのだ。
それを見計らいグイフェイさんの言葉を借りるなら「説教」をしようと思ったのだ。
「それじゃあ、作戦に移ろう!」
「了解です!ワット隊長!」
まずは作戦通り、番犬兄弟に話しかける。
「お二人とも、こんにちは。あの、ヨハンナさんが試合前にお二人にアドバイスが貰いたいんですって。控え室の方にいるので一緒に来てもらえますか?」
勿論、これは彼らを誘き出す為の罠だ。
しかし、都合の良い事にマリアちゃんが二人の背を押してくれた。
「もう試合まで時間ないし、行ってきたら?私はここで待ってるから」
「そうだな、しかもコロシアムが新しくなって内装も変わってるからな案内してくれ」
「「(よし!!)」」
ワットさんと二人で隠れてガッツポーズをし、人のいない所へと移動する。
「ここでいいのか?」
「はい、ここで大丈夫です!」
廊下の奥まで案内し、行き止まりに囲い込む。
「はい、確保ー!!」
バツーカで捕獲を図るが、さすが4thリーグの番人とチャンピオンリーグ2位の兄弟だ。
「不味い!逃げられた!」
しかも既に決勝戦が始まっており試合場から歓声が聞こえる。
誤魔化しの効かない状態だ。
しかし、この歓声は良い意味でカモフラージュになる。
どんなに大声を出されても叫び声を発しようとも気づかれない。
いい機会だ、此処で追い詰めてやる。
双方武器を出しながら、追いかけっこを始まる。
「カンナ君、今ヴァニラ君をコッチに向かわせたから上手く挟み撃ちしよう!今、反対側にいるから!」
「こういう時、機動力のある特性の人が本当に羨ましいですね。頼りになります」
廊下の中央まで追い詰めるように走って行くと向こう側からスケボーに乗ったヴァニラさんの姿が見えた。
しかしそれに気づかない番犬兄弟じゃない。
「兄貴不味いぞ、囲まれた!」
「んな事分かってよ、コッチに逃げるぞ!」
廊下の中央に枝分かれする様に新たな廊下がある。
そちらに迷い込んだ番犬兄弟に私達は笑みを溢した。
コロシアムの中央へと向かう彼らを見送る。
試合場内
「あれ?兄さん達どうしたの?」
試合を終え、表彰式を行なっていたようで優勝者のヨハンナさんにバッチが贈られていた。
入り口を塞ぐように3人で微笑みながら彼女に拍手を送る。
ペルケレ先生も空気を読んでくれたのか笑顔で彼らの対応をしてくれている。
「もし、よかったらこの後のエキシビションマッチで久しぶりに試合をしてみませんか?OBの試合を見られるのは在校生にとっていい勉強になりますし、どうでしょうか?」
「「えっ、ええっと...」」
「折角、ペルケレ先生が言ってくれてるんだもの。兄さん達、ちゃんと試合見てなかったでしょ?分かってるんだからね。試合を通して実力を証明するから」
「じゃあ、決まりですね。でも、1対2じゃフェアじゃないですね。ミオンさんの件もありますし」
その言葉に観客席の方から声が聞こえてきた。
大声を上げているのはマリアちゃんだ。
「私も試合に出させて!1stリーグのリベンジがしたいの!」
世紀の4兄妹対決に会場内も盛り上がっている。
ここまで来れば彼らも断る事など出来ないだろう。
空気に飲まれ承諾したのだった。
No.27を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.28「4thリーグ・エキシビションマッチ」をお送りします。




