No.24 廃れた戦場
グイフェイさんに案内された場所はスポーツの大会で使用された痕跡のある廃墟だった。
「ここに皆さんがいらっしゃるんですか?」
首を傾げ、蔦に覆われる建物を眺めていると「ドゴンッ」何かが崩壊する音が聞こえた。
ドームの周りを移動すると綺麗にくり抜かれた壁があった。
私はその光景に既視感を感じた。
「シャンランさんっ!?」
くり抜かれた壁の正体は如意棒による物だった。
穴を除き込むと見た事の無い怖い形相で誰かと対峙しているようだ。
皆で恐る恐る建物の中に侵入し、観客席に隠れ様子を伺う。
「シャンランさん、一体何をしているんですか?何かと戦っているように見えますけど」
「もしかして、悪の秘密結社と戦ってるとか?...いやいや、アメコミじゃあるまいし。嘘だよね?」
「嘘では無いぞ。我らの目的はシャトランスに投資する組織の弾圧。見ろ、あの者ども達は武器を手に入れるため高額を支払って守護霊を手にした。これがどれだけ危険な行為か?其方らにも分かるだろう?」
やっぱりそうだ。
OB会、特にアジア支部はママの影響力が大きいのだ。
私達の知らない所で関係者を潰し回っている。
シュン君の叔父さんも潰された関係者の1人なのだろう。
見た感じ、グイフェイさんの言葉通り屈強な成人男性達と対峙しているようだ。
その様子をみたヴァニラさんが次第に険しい顔に変わる。
「まさかシャンランがこんな事をしているなんて知らなかったわ。仲間として、こんな事辞めさせるべきね。彼女がするべき事では無いわ」
「そうだね。彼方は1対2。此方は幸運な事に頼もしい仲間がいるしね。シャンラン君を止める事は出来るんじゃないかな?」
「それでは始めましょう」
「(?烏が寄って来るなんて珍しいネ。...!?)」
突如として彼女に手裏剣が放たれるが受け流された。
「シャンラン殿は反応が早いでござるな。まぁ、これで少しは気を散らせたかと。後はワット殿に任せるでござるよ」
「《奥義・円網の罠》これなら戦闘狂のシャンラン君でも抜けられないよ。僕って天才じゃない!?」
シャンランさんの足元に蜘蛛の巣が貼られる。
咄嗟に足掻こうとするがなかなか足が離れない。
ワットさんの声にシャンランさんは目を見開き動揺している。
まさか私達がペキンに来ているなんて思ってもみなかったのだろう。
「ワット、お前何しに来たネ!!我の邪魔をするな!!」
「やだね。じゃあ、後は接近戦組に任せたよ!」
彼の合図にヴァニラさんとアウベックさんが互いに武器を展開し突撃を開始する。
強力な棍棒をアウベックさんが振り下ろすが如意棒でガードし耐えているようだ。
私とシュウマ君でサポートに周り、縮小した剣や手裏剣を投げつけ撹乱させる。かなり追い詰められているようだ。
その隙を突いてシャンランさんが対峙した敵は逃げ惑っている。
何処かへと向かうようだが今は放置しておこう。
「シャンラン、貴方ここで何をしているの?貴方が果たすべき物はこんな事じゃないでしょ?目を覚まして」
「我は、もう戦うのがいやネ。物事の根本的問題を解決する。この10年も続く悪夢を終わらせる。それの何が悪いネ」
「いえ、悪い事ではないわ。私もそれを望んでいるから。でも今は耐えて。こんな強力な武器を持っていても目的が達成されたら皆んな要らなくなるわ」
「...分かったネ」
そのあと、シャンランさんは動きを止め捕らえられた。
しかし聞かなければいけない事があるあの人の行方だ。
「シャンランさん、他に仲間がここに来ていませんか?特にドヴァイパーナヤさんという方を探しているんです」
「...アイツならプールの方にいるネ。何をしに行くヨ?」
「聞きたい事が沢山あるんです。それにこの前、逃げられたのでお返しをしないと」
No.24を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.25「水辺のリベンジマッチ」をお送りします。




