No.19 2ndリーグ・決勝戦
〜実況〜
「さぁ、いよいよ2ndリーグも決勝戦となりました。個人的には納得の2人ですね。チュール君とシュウマ君、この2人が勝ち上がりましたがトワコ先生はどう予想しますか?」
「相性で言えばシュウマ君の方が優勢に見えるわね。武器も小さいし、鎖の間を潜り抜けられるもの。でも、チュール君はそれも織り込む済みでしょうね」
審判「それでは始め!!」
試合時間 3:00
チュール 0ー0 シュウマ
「フェンリル、このヴァルハラにて鎖を顕現せよ!」
地面を抉るように試合場を鎖で包んでいく。
ドーム形になっており2人は閉じ込められた状態だ。
しかし、チュール君の場合フィールドを組み立てられるという強さがある。
シュウマ君はここをどう掻い潜るのだろうか?
「こんな物、忍者屋敷に比べれば赤子と同じ。拙者の手裏剣捌きしかと見よ」
観客席
「...何かキャラが濃い2人の組み合わせですね」
ワットさんやヴァニラさんと一緒に試合観戦をしに来たのだが、試合場も観客席もキャラが濃くて私が埋もれそうだ。
「僕、2人が戦ってる所見た事ないんだよね。カンナ君は見た事あるんだよね?どんな感じだった?」
「そうですね、2人とも武器の扱いに慣れてますけどチュール君は応用力、シュウマ君は命中率が高いイメージがありますね。それ以上にコントロールが可笑しいですけど」
試合開始から20秒経過したが攻撃回数が異常に多い。
チュール君は鎖で相手を固定し、手裏剣を投げられなくしている。
シュウマ君は点差を開かせないよう投げた武器を投げては戻しを繰り返している。
鎖にも限界はある。それは“長さ”だ。
試合場を覆うように作れば面積に反して隙間が生まれる。
シュウマ君を拘束するなら尚更だ。
シュウマ君はワザと捕まった状態で武器を投げ続けている。
投げれば防御しようと鎖を壁のように配置してくる筈だからだ。
防御の為に相手の拘束を解き、自分の方に寄せなければいけない。
万能ゆえに起こる不祥事。
現にシュウマ君は鎖による拘束と解放を繰り返しているのだ。
試合時間 2:30
チュール 8ー4 シュウマ
「これ、完全にノンストップで3分間を戦うことになるわね。2人とも体力保つのかしら?」
「無理だろうね。だから、相手に隙を見せず隙を作らないといけない。矛盾してるけどね」
「集中力も関係してきそうですし、間を挟まないとキツイのは両者とも分かってると思います。現に2人とも睨み合ってるじゃないですか?狙っているんですよ。相手が隙を作る所を」
いつもお喋りな2人が無口で攻防を繰り広げているのだ。
相手がバテるのを待っているのだろう。
その合図は恐らく...
「チュール殿、もうそろそろ《奥義》を使ってはいかがでござるか?」
「まだその時ではない。お前の方こそ《秘めたる力》を使っていないじゃないか?《秘めたる力》の定義に反する事はしない」
「序盤か?終盤か?相打ちか?中盤は邪道?そんな定義など存在しないでござるよ。《奥義》は使いたい時に一度だけ使う物。そうでござろう?先駆者が勝手に決めた事に過ぎない。
《奥義・変化の術 大蝦蟇》さぁ、拙者と自来也殿のコンビネーションを見よ!」
観客席
「Fooo!!凄いよカンナ君!忍者って本当にいたんだね!変化している所なんて初めて見たよ!」
「いや、私も初めて見たんですけど。これって、変化もとい分身の術ですよね?これはチュール君厳しいかもしれませんね」
試合場に大蝦蟇が2匹いる状態だ。
チュール君が小さく見えてしまう程の大きさ、見ててもエグいなと感じる。
チュール君の鎖の長さ的に1匹を固定するのが限界だろう。
それをどう補うのかが重要だ。
シュウマ君はここから点差を縮めてきている。
逃げ惑うチュール君を自来也さんが掴みかかる。
「フェンリル、実物顕現せよ!カエルなど噛んでしまえ!」
オッドアイを見開かせ、指示するチュールに応えるように『ガルルル』と唸りをあげ鋭い牙で噛み付いている。
試合時間 2:00
チュール 8ー7 シュウマ
〜実況〜
「チュール君、まだ《奥義》を出さないんですね。このままでは逆転されてしまいますよ?」
「きっと待ってるのよ。《奥義》が出せるタイミングを。物事にはメリット、デメリットがあるでしょ?大きい事も小さい事もそれは一緒。チュール君はそれを分かっているんじゃないかしら?だから終盤までシュウマ君を自分に攻撃させるつもりだと思うわ」
相手の拘束を解かれたチュール君はあれからというものの姿を現さない。
試合場を見ても、いる事は分かっても見えないのだ。
それはシュウマ君や私達も一緒だった。
観客席
「これ、相手の死界に隠れてますよね?シュウマ君達の真下か後ろか?前の可能性もありますけど」
「やっぱりこう言うのって一長一短だよね。視界っていう意味ではカエル状態だと周りの視野は広いけど真下は見えないしね。人間状態なら真下ならすぐ分かるでしょ?」
「《奥義》って守護霊か武器、片方の性能強化がメインだけどシュウマの場合特殊だものね。試合ももう終盤、見つかる前にチュールも準備を始めるでしょうね」
『シュウマ、小僧を見つけたぞ。ちょこまかと逃げよって!』
「自来也殿、チュール殿に近づくな!《奥義》がくる!」
「《奥義・魔法の紐鎖よりも頑丈なこの紐はフェンリルでさえ解けなかった。お前たちは解けるかな?」
観客席
「嫌だね、あの《奥義》僕も拘束系の武器使ってるけど対人用だからね。対霊用のチュール君の方が厄介だよ」
シュウマ君は奥義を咄嗟に解除し霊体に戻すものの拘束が解けない。
武器に転じても自分の手元に戻ってこないのだ。
厄介な事この上ない。
「対策を考えるのに何度も見たでござるが、とうとうきたでござるな。自来也殿、あと1分耐えるでござるよ!それではドロン!「忍法・隠れ身の術」」
観客席
「いいね!いいね!盛りやがってきたよ!」
「でも、あれってリーグ戦用の弾丸を武器で破壊しただけよね?煙幕の中で移動しているのが見えるもの」
「ヴァニラさん、ワットさんの夢を壊さないであげて下さい。《奥義》は対霊だから人間に危害を加える事は不可能。シュウマ君は拘束されないし、手元には戻らないけど武器は使える。まだ、希望はある。最後までわかりませんね」
煙幕の中、ゆらりと現れる黒影がある。
試合時間も後2秒と迫った時、チュール君は彼を拘束するため奥義を解いた。
その次の瞬間だった。
電光石火、拘束を解かれた手裏剣がチュール君の胴体に命中する。
それと同時にチュール君が拘束するが時すでに遅し、コンマ1秒の差で勝敗が決した。
試合時間 00:00
チュール 8ー10 シュウマ
「嫌はや、今回ばかりは運が良かったでござるな。1秒違えばチュール殿の勝ちだったでござるよ」
「時を見誤ったか。だが、良い試合だった。感謝する」
試合終了後、握手をする2人に歓声が上がるがシュウマ君は嬉しくないようだ。
「この後のエキシビジョンで負け確定でござるからな。そのまま実況席にいるのを楽しくなかろう。ミオン殿、さっさと試合場に来られよ。2edリーグの番人の指名でござるよ」
〜実況〜
「えっ、ミルクが試合に出ていんんですか!?でも、実況は?」
「安心して、ラントユンカー君がコッチに向かってるから。それじゃあミオンちゃん、行ってらっしゃい」
No.19を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.20「2edリーグ・エキシビジョンマッチ」をお送りします。




