No.181stリーグ・エキシビションマッチ
「よし、行こうか。八咫烏さん」
『バカンナ、恥晒すなよ。何の為にこのバッチを付けてるのか分からねぇからな』
「勿論、分かってるよ。このバッチを付けてる人達はもう少なくなっちゃったしね。守護者の名に恥じぬように頑張るよ」
防具を装着し、試合場に向かうと決勝戦よりも大きな歓声に包まれている。
一年振りの出来事に私の頭は追いつけなかった。
この歓声を聞いて自分が初めて守護者であると言う自覚と、重いプレッシャーを与えられている事に気づいたのだ。
一番高い位置にある観客席からペルケレ先生と両親の顔が見える。
自分の力を見せつけるには良いの機会だろう。
...私がこの試合でやるべき事はただ一つ。
戦線布告、見せしめだ。
自分がどれだけ冷酷で悪い子なのかを母に見せつける。
案の定、この試合にも抵抗があるのか目を逸らす仕草をしている。
絶対にその他人から奪い取った目で追わせてやる、私達の試合を。
「カンナ、お前の目に私は映らないのだな。私との試合だというのに、寂しいぞ」
「ごめんね、アウネーテさん。じゃあ、始めようか?」
試合時間 2:00
アウネーテ 0ー0 カンナ
開幕、歓声が上がる。
辺りは霧のように包まれるが想定内だ。
リーグ戦用の弾丸を用いた目眩し、私の十八番だ。
エキシビジョンは2分間の短期決戦。
これで少しは時間稼ぎ出来るだろう。
八咫烏さんに上空から偵察してもらい、これで準備完了だ。
「やはりカンナは手慣れてるな。5秒で舞台を整えられるのか。私の位置も探られたか、やられたな」
『バカンナ、相手は真正面、延長線上にいるぞ。どうするつもりだ?』
「八咫烏さん、実物顕現して。接近戦ならコッチの方が有利でしょ?囮になって」
その合図と共にこの霧を切り裂くように滑空を始める。
150歳の彼女とはいえ、この学園の一年生である事には変わりない。
私は戦闘経験なら誰よりもあると自負している。
大人気ないが、守護者としてここは全力で挑もう。
「(やはり来たか、カンナの強みは武器と動物状態の扱いに両者とも長けている所だ。やはり私との経験の差があるな。しかし、抵抗させてもらうぞ)
《奥義・泡沫の泡沫》さぁ、カンナ。これを攻略してみせろ」
「思ったより《奥義》を出すのが早いな。私も対抗しよう。《奥義・烏合の衆》みんな頼んだよ。シャボン玉の壁は壊せなくてもバラバラにする事は出来るよね」
数は力だ。破壊する事が不可能な壁を四方八方から仲間に突撃してもらいシャボン玉を宙に舞いさせる。
相変わらず、綺麗な景色だ。
「八咫烏さん、先制点はいただきだね」
試合時間 1:30
アウネーテ 0ー11 カンナ
防具を全狙いし、一度に獲得出来る最高点を叩き出す。
周りから歓声が上がるが、私にとって観客席で険しい顔をする母の姿を見るのが痛快だった。
思わず笑みが溢れる程だ。
このまま《奥義》をキープした状態で最後まで試合を完遂する。
「《奥義》も破られたか。逃げるぞ」
「全然構わないよ。八咫烏さん達、彼女にお土産をあげてね」
追い討ちをかけるように更に弾丸を彼女の元に落としていく。
透明な壁というのは厄介だがこういう時に便利だ。
奥義も破られ、通常攻撃も対策されたアウネーテさんは私の側による事すら出来ず、試合は終了した。
試合時間 00:00
アウネーテ 0ー11 カンナ
試合終了後、コロシアムの廊下内を歩いていると母に出会った。
「カンナ、エキシビジョンお疲れ様」
「ありがとう、ママ。でも、ママやアウネーテさんに嫌な思いをさせちゃったかな。ごめんね」
その言葉に該当項目があったのか寂しそうな顔をしている。
本当は戦って欲しくなかったのだろう。
しかし、“敢えて”彼女を煽るような言葉を発した。
「アウネーテさんには内緒にしててね。やっぱり下級生が相手だから思わず手加減しちゃったんだよね」
「...!」
同じようで異なる目を開かせ、私の言葉の意味を探っているようだ。
「カンナは嘘つきね」
「ママは正直だけどね」
No.18を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.19「2ndリーグ・決勝戦」をお送りします。




