No.15侵入者
「シュン君は下がって!タマミちゃんは補助をお願い!」
タマミ&シュン「了解!」
私の指揮に応じ、シュン君が後ろに下がると耳元で状況を教えてくれる。
「カンナさんが来てくれて助かった。あの水のせいで弾が使い物にならないんだ」
「分かってる。以前、ヤンさんがこの人に襲われたの。可笑しいと思ったんだ。何で反撃せずに逃げてきたんだろうって。でも、これで分かった。間違い無くこの人だって。どうしてこんな事をするんですか?以前も、そして今もです。何が目的なんですか?」
聞いて欲しくない質問だったのか、消防車に搭載されているような大型のホースを噴射される。
威嚇射撃と言っても差し支えないだろう。
満面の笑みの裏に静かな怒りを感じる。
怒らせてしまったようだ。
「カンナちゃん、私の武器で受け流すのも限界だよー。対策を練らないとー」
タマミちゃんに庇われながら、思考を巡らせる。
彼を止める?それとも守護霊を止める?
それ以上にこの水を止めなれば話にならない。
何かいい案はないだろうか?
そう真剣に考えている中、シュン君は一人空を見上げていた。
天然とは言え、度が過ぎる。
こんな状況下で何をしているのだろうか?
ため息を吐きながら目線を彼に合わせると、シャボン玉が浮かんでいた。
その光景に思考が停止するどころか、いい案を思いついた。
針さえ通せないシャボン玉。
彼女達の試合を見ておいて正解だったのかもしれない。
「シュン君!アウネーテさんを呼んで来て!シャボン玉がまだ飛んでるって事はまだコロシアムに残ってるはず!早く」
私達3人は彼女の試合を見ている。
私の考えも二人に伝わるだろう。
シュン君は目を開かせた後、隼さんに指示を出す。
「隼、先に彼女の元に向かってくれ。俺も後を追う」
コロシアム方向に向かう彼らを見送りながら、相手を食い止める。
相手は私達の策にまだ気づいていない。
しかし、応援が来る事は理解してるはずだ。
「(私の《烏合の衆》で食い止めるのは厳しいか…)」
《奥義》を覚えた所で自分に出来る事は限られている。
苦々しい表情をしているとタマミちゃんも同じ顔をする様になってしまった。
両頬を叩き、しっかりしろと自分を鼓舞する。
「…カンナちゃん?」
「タマミちゃんごめんね。暗い顔してたら不安になるよね《奥義・烏合の衆》」
少しでも盾になろうと、前に乗り出そうとするが足が止まる。
「おい、誰だ。私を呼んだのは。勝利の余韻に浸っていたというのに。ん?」
「アウネーテちゃん、カンナちゃんをシャボン玉で包んでくれるー?後、《奥義》も出して欲しいなー」
「えっ、何言ってるのタマミちゃん!?」
「まったく、人魚使いが荒いな。まぁ、いいだろう。試合外で有れば、何度でも使えるしな。なら、私もここから離れた方がいいか《奥義・泡沫の結末》タマミ、私が補助する。思いっきりやってこい」
シャボン玉に包まれ、空中浮遊させられてしまう。
あまりにも状況が把握出来ず、困惑するしかなかった。
1対1でなにをする気だ?
壁のように放たれたシャボン玉によって水は防げるが、攻撃できなければ意味がない。
タマミちゃんは何をする気なのだろうか?
「カンナはタマミの《奥義》を把握しているか?」
「練習してるって言ってたけど、内容はわからない...」
「本当に、そうか?見てみろあれを」
彼女の言葉に促され、訓練所のある島を見ると愕然とした。
島が半壊しているのだ。
建物じゃない地盤自体が崩壊しているのだ。
「あれってもしかして...」
「タマミがやった。寮で練習された時は死ぬかと思ったぞ。水中に避難しても響くからな」
すると、タマミちゃんはトライデントを下に突き刺す。
「《奥義・アースクエイク》!!」
「おっと、これは凄いですね。マルソを彷彿とさせます」
地面に綺麗に穴が開くように地割れが起こっている。
集中的な地震、こんな事が出来るなんて知らなかった。
「もういいだろう。爆ぜろ」
地面に降り立ち、相手の様子を伺う。
瓦礫の中にいると思ったが、武器を構えジリジリ近づくが彼の姿はなかった。
周りを見渡すが何処にもいない。
守護霊の姿もない。
「ごめんね、逃げられちゃたのかなー」
「局所的に《奥義》を発動したから攻撃範囲から外れたんだろうな。特訓し直しだ」
そのあと、シュン君とも合流し彼の捜査に乗り出したものの結局見つからなかった。
捕まえて、話を聞き出したかったのだが無理なようだ。
だが、相手の正体と居場所は分かった。
敵の本拠地に向かう日もそう遠くないだろう。
No.15を読んでいただきありがとうございます。
次はNo.16「1stリーグ・3位決定戦」をお送りします。




