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雨空  作者: ランデブー
7/11

6話

 うー、うー、少年はうなされています。恐い夢でも見ているのかな? 熱に苦しんでいるのかな?


「一人じゃ……ない」


 寝言です。一人じゃない、どんな夢を見ているのか気になりますね。でも見れません、だって人の夢を勝手に見るなんてイケませんし、プライバシーの侵害だし。

 うー、うー、うなされていますが助ける事ができず見守る事しかできません。

子供はウイルスに抵抗する力が弱いのです、なのでよく熱や病気にかかります。熱や病気にかかっていく内に抵抗する力を身に付けます、言い換えれば筋トレをしているのと同じです。筋肉があんまりない人がマッチョッチョになるにはどうしたら宜しいでしょうか? はい、答えは簡単です、体を動かせば良いのですよ! それと同じ、わかりやすく説明したつもりです。




 ――――★



 外はやっぱり明るい。


 キラキラ、ギラギラ、ピカピカ。


 そして色んな人が行き交っている。


 物知りな人や一生懸命な人やぐうたらな人や。


 面白いな、話してみたいな、でも恐いな。


 恐いし関わらない、誰とも話したくない。


 もう二度と汚らわしいその手で触らないで。僕は真っ白のままで何色にも染まらないんだから。


「どうした? 元気ないな、顔を上げろよ」


 うるさい、黙ってよ。


 お前がうるさかったから出てきてやったんだ、さみしくなんかない。


 苦しいだけ、生きてるなんて、苦しいだけ。


「今現場に向かってる、無理矢理にでも連れていくからな。泣き喚いても暴れても、見てもらうから」


 泣かないよ喚かないよ暴れないよ。疲れるし。


 別に後悔なんてしてない、コレが正しかったんだ。


「今日も雨か、空はどんよりか。滅入るな」


 どーでもいい。早く明日になってくれ、今日はとってもつまらない。


「良いお天気だったら少しは気分晴れるんだが」



 ――――★




 うー、うー、それにしても苦しそう。悪夢を見ているのかもしれませんね、神社でお祓いをしてもらわないと。となると少年は悪霊に取り付かれている? 悪霊退散! 悪霊退散! 今直ぐ出ていけー!

「一人が……いい」

 また寝言です。一人がいい、さっきは一人じゃないと言っていたんですが、真逆です。夢で何があったんでしょう、悪霊がいらぬ事をしでかしたのか?

 髪の毛は汗で濡れています、ビショビショです。一時間前に理沙ちゃんがくしゃみをしながらドライヤーで乾かしていたのに、またビショビショになっています。コンコン、ほっぺた真っ赤です、コンコン、リンゴのように。咳も多くなってきたので、お薬の力でどうにかしないとなりませんね。


 ザザザザ、ザザザザ。天井から聞こえるこの音は、屋根に当たる雨。勢い良く空から降ってくる。


 アヒルの壁掛時計の長針は天辺を指した。時刻は六時、民放各局は一斉にニュース番組を開始する時間帯です。子供にとってはツマンナイ時間帯です。理沙ちゃんは六時になると、教育テレビにチャンネルを合わす。因みに今小学生に大流行しているのは、おしりかじってる虫という虫。

「……夢か」

 息を荒くしながら目を覚ました。髪の毛を触り溜め息、おでこを触り溜め息、起き上がってパジャマを脱いで溜め息。くしゅんとくしゃみをして、スリッパをはいた。咳き込みながらドアを目指すが、足付きはフラフラで表情は辛そう。

「早く行かないと……僕はこんな所でじっとしてられない」

 タンスに手を付け少しずつドアへ。タンスの上に座っているテディーベアは、少年を心配しているような顔に見えた。

 その時、階段を上ってくる音が聞こえた。足音はどんどん大きくなる、少年がいる部屋に近付いてくる。


「会わないと……」


 トントン、とドアをノックする音。反応はない、しーんとしている。もう一度トントン、やはり反応はない。ガチャッ、


「まだ寝てるの〜? とりあえず夕食食べて、片付かないからさ」


 理沙ちゃんがお盆に、あっつあつのおかゆを乗せてやってきた。小さなお鍋みたいな容器に入ってるおかゆを見て、美味しそー食べたいーいただきまーす、とか言っている。しかし次の瞬間、上半身裸で手にパジャマを握り真っ赤なほっぺで苦しんでいて横たわっている少年が視界に入った理沙ちゃんは、悲鳴を上げた。キャーー!!!!

 驚いたがその場におかゆが乗ってるお盆を落とさず、隅っこにふたをして置いた。冷めたら美味しくないしね。

「ちょ、大丈夫? ってそんなわけないよね。あっ、さっきもこのセリフ言ったような」

「苦しい……」

「安心してよね、絶対助けるから、お医者様が」

 理沙ちゃんはあたふたしている。どうすれば良いのかワカラナイ、こーいう時って人工呼吸をするのかな、心臓マッサージの方が効果的かな、てか酔い止め薬じゃ治らないよね、とパニック状態。

「そうだ、ママを呼びに行こう。ママなら助けられる、確実に助けられる」

「苦しい……」

 少年は理沙ちゃんの手を握った。

「仕方ない、私が彼を助けないと手遅れになるわ。その前に服を着せましょう、恥ずかしからね」

 少年が握っているパジャマを取る。しかしその場に落とした、さっきは落とさなかったのに。


「濡れてる。汗かな? ……よし、雨だと思おう」

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