7話
バタン!
勢い良く開いたドア。理沙ちゃんが蹴ったのです。まぁなんてお行儀が悪い子なのかしら、どーいう教育をしているのか親の顔が見たいでございますわ、マダムはこう言うに違いない。
「頭痛い……」
少年は言いました。
理沙ちゃんは歩くスピードを上げ、二段とばしで階段を下りていきます。よい子は真似しちゃイケません、おんぶしてるのに理沙ちゃん身軽ですがそこら辺は無視してください。リビングのドアを足で開けます、正確には蹴ります。バタン! という音で、キッチンでデザートを作っているエリザベスはイチゴを床に落としました。
「あー! イチゴが、佐竹さんに貰ったイチゴが……」
床に寝転んでいるイチゴを見ています。なんだか悲しそう、ってか悲しい。両目から涙が流れています。イチゴが床に落ちたぐらいで泣くなんて大げさだよと思いますが、佐竹さんはエリザベスのお友達なんです、イチゴ倶楽部というものを作った仲なのです。
「ママ! 今直ぐ病院に行きましょう!」
エリザベスが泣いているなんて露知らず、理沙ちゃんは言いました。
床に寝転んでいるイチゴをつまみ手のひらに乗せたエリザベスは、まるで頭を撫でるかのようにイチゴを人差し指で撫でます。なでなで、ゴメンね落としてしまって、なでなで、捨てるなんて勿体ない事しないから安心して、なでなで、水で洗ったらまだ食べられるんだから。イチゴが笑ったような気がしました。
「あの、ママ。もしもーし、聞こえてますか?」
キッチンまでやってきた理沙ちゃんは大声で言いました。おんぶされている少年は、その声のせいで頭を押さえています。エリザベスはイチゴと喋っています、初めてこの光景を見た人は大体忘れようとします、しかし理沙ちゃんは見慣れているので
「またかよ」と飽き飽きしています。
「死にそう……」
その声はとても苦しそう、早く病院で子供が大嫌いな注射とか点滴とかしないと。エリザベスはイチゴをまな板に置くと、エプロンを取り深呼吸しました。そして理沙ちゃんにおんぶされている少年を取る(?)と、炊飯器がピピピと鳴ってその後言いました、
「今から病院に行きます。用意はできたわね?」
できてないよ、理沙ちゃんは言いましたがエリザベスと少年はもうそこにはいません。向こうからエンジンがかかる音が聞こえ、理沙ちゃんは走りました。
「待ってよ、私も着いていく!」
縁側でカエルのゲコゲコが聞こえそれに気が取られている内に、玄関に置いてある靴が一足になりました。玄関の向こうからはブォーとかゴォーとか聞こえてきて、それは少ししたら聞こえなくなりました。し〜ん、さっきまでは賑やかだった雨宮家がお静かに、し〜ん。雨音とゲコゲコは聞こえますが、し〜ん。
「僕に内緒でどこかに出掛けたな」
わっ! ビックリした! 玄関にいつの間にかいたのは理沙ちゃんの弟の健一、通称ケンちゃん。理沙ちゃんより小さいです、牛乳を飲んで背を高くしましょうね。
「勉強してたから気付かなかった」
わっ! いつの間にかリビングにいますケンちゃん。キッチンの方を見たらお腹ぐー、勉強したらおなかすくよね。ゲコゲコ、ガラス戸に顔をぺたりと付けているカエルがいました。部屋に入りたいのでしょうか? 顔をぺたりが好きなのでしょうか?
「ニュースでも見ようかな。世界情勢が気になる年頃だし」
そんな年頃ないと思いますがケンちゃんはテレビの電源を付けました。ゲコゲコ、ぺたりとしながら山のような洗濯物を見つめています。登りたいのかな? 山頂から眺めたいのかな?
「なるほどー、でもこうなると危ないかも」
何かの事件の特集を見ているケンちゃん、子供はもっと可愛らしい番組を見たら良いのに。ゲコゲコ、鳴き声は聞こえましたがガラス戸にカエルはいません。でも洗濯物の横に小さくて丸くてしめっている足跡のようなモノがあります。廊下まで続いていますがコレは一体なんなんでしょうね?
「やっぱこの人が言ってるのはでたらめだよ」
理沙ちゃんより小さいのに子供らしくないです。マガジンラックにあった新聞を広げてますよ、子供はテレビ欄しか見ないけど彼はトップ記事を見ています。難しい漢字が多いですが辞書とか使わずに読んでます。凄い、漢字検定受けたら良いのに。てかテレビか新聞どっちかにしなさい!
洗濯物の横に先程まであった足跡のようなモノは消えていました。乾いたのでしょう、早いですね。それにしてもゲコゲコ鳴いてたカエルはどこ? さがさなくてもその内出て来そうな予感がするので再びカエルが登場するまで待ちましょう。そうしましょう。
ゲコゲコ、ゲコゲコ。
「何処に行ったんでしょうか? 僕は責任取れませんよ、子どもなので」
「あんたって都合の悪い時だけ子供って言うのね。だから嫌いなのよ、ガキは」
女生と男の子がマクドナル〇で、何も注文せずに座りながら喋っています。二人を見るレジにいる店員さんはスマイルじゃないです。何か食うか食べるかしろよ、そう聞こえてきたかもしれません。
「でも本当に悪いのはレイさんじゃなくて、あの人を逃がしてしまった警備員でしょう」
「本当はそうなんだけど組織というのは上下関係があるじゃない? 逆らえないよね、警備員が悪いけど」
二人を見ているのは店員さんだけじゃなくてお客様もです。女生の足元にあるアタッシュケースに貼ってあるステッカーに“触るな危険”と達筆で書かれています、そりゃあこんなん目に入ったら見ますよ。何故達筆なのか、何処でこのステッカー売ってるのか気になります! ……えっ、そこじゃない?
「カフェで何か飲みながら話しましょう」
「そうねー、ケーキも食べたいな」
二人は〇クドナルドを後にしました。おい、ここで何か飲みながら話せよ! レジにいる店員さんは言いました。
ジャンル変更しました。童話っぽくないなと思いましたので。童話的ファンタジーを目指していますが、ファンタジーなところがナッシングだと思ったのでその他にしました。その内ファンタジーにするかもしれません……。




