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変わり者錬金術士アレイシアの研究日誌  作者: 大蛇山たんと


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4/12

今日もアレイシアのアトリエ、OPEN

授業が終わり、アレイシアは学院を出る。

経営にやる気は出ないものの、それでもアトリエの主だ。

アトリエを守る為には経営もしなければならない。

といううわけで、急いで家に帰ろうとしていたのだが……。


「あ、アレイシアちゃん、お疲れ様~。」

「あら、エクセ、お疲れ様ね。」


学院から帰る準備中に、アレイシアはエクセに話しかけられた。


「アトリエに帰るの~?そうなら、途中まで一緒に帰ろうよ~?」

「……まあ、それくらいなら大丈夫かな。」


そういう事で、アレイシアはエクセと帰る事になった。

因みに魔法学のアルモニアの方は、恐らく後で来るだろうと推測している。

魔法学の授業……特に、アルモニアが参加する授業は質問が多くて授業が長くなりやすいらしい。

なので、アルモニアが終わるのを待つよりも、エクセと一緒に帰ってその後にアルモニアの手伝いの準備をすればいいというわけだ。


「にしても、今日の授業も面白かったね~。」

「そうね……と言っても、今日の授業はあまり私向けではなかったけれど。」


今日の錬金術の授業は錬金術の歴史の授業だったのだが、そのメインはやはりというか、ポーションを基本とした、アイテムの量産化の歴史であった。

アイテムの量産が得意ではないアレイシアには、確かに勉強すべき内容ではあるのだが、同時に自分のアトリエの、自分の錬金術の良さを活かそうとする場合は、量産化の方向性はあまり正解ではないのだ。


「アレイシアちゃんは、一つ一つオーダーメイドで作った方が良いタイプだもんね~。将来は、やっぱり高級化路線にした方が良いのかな~?」

「まあ、一品物の道具を作る、という意味ではそうするのが正解ではあるけれど……かといって、一つのブランド物みたいに高級路線に舵を切る、というのもなかなか上手くやれるかわからないのよね……。」

「まあ、簡単じゃないよね~……私も、数あるポーション専門店の中でうちを選んでもらえるようになるまで大変だったし~。」


エクセの店のポーションが評価されるようになった理由は、ポーションの性能の実演や、緊急で必要になった時に数多くの依頼を熟している、という点が大きい。

また、素材の蒐集に冒険者の手も借りたりして、更にその冒険者にポーションの性能を実感してもらったりしている為、それを実感した冒険者が買いに来るという良い循環が出来上がっているというのも大きいのだろう。

一方、アレイシアは、というと、性能だけならばエクセにも負けない……というか、それ以上の性能のポーションを作る事が出来るであろう。

だが、ポーションを売りにするとなる場合、性能だけが求められる、という機会はあまり多くない。

むしろ、数を揃える必要がある場合の方が多いのだ。

複数人怪我人が出た、という時なんかがそうだ。

一個性能が高い物がある場合、確かに重傷者が居る場合は助かるだろう。

だが、複数人を一気に回復したい場合は、複数個があればその方が助かるという事だ。

なので、そういうのが向かないと早めにアレイシアは見切りをつけたので、アトリエにもポーションを売ってはいるが、あまり数は多くない。


「そういえば、アレイシアちゃんが量産が苦手なのは知ってるけど、マジックアイテムは何であまり作らないの~?あれなら冒険者の人達が欲しがる物、色々作れそうだけど~……。」

「全く作らないわけじゃないけど、私の場合は拘りが強すぎて結果的に足踏みしちゃうのよね……。」

「ああ、なるほど~……。」


マジックアイテムは、確かに一品物を作る、という点だけを見れば、一つの高性能アイテムを作る、という意味ではアレイシアの錬金術には合っている。

事実として、アルモニアに渡したアイテムはマジックアイテムだ。

だから、ポーションよりは製造には力を入れてはいる。

だが、マジックアイテムは製造に入る前の準備に、拘る作業を拘ればそれだけほとんど無限に手間が存在する。

それに拘り始めれば、多分今より錬金術のペースが下がってしまうだろう。

それに、冒険者向けの店にする、というのもアレイシアにとってはいまいち気が進まない、というのもあった。


「まあ、私の場合は何でも屋というか、便利屋って感じでやっていくわよ。貴女も、人の心配より自分の心配をしなさい。ただでさえエクセの店よりポーションを売ろうと努力している店はいくらでもあるんだから。」

「えへへ、は~い、ありがとう、アレイシアちゃん。」


危機感があるのか無いのか分からない返事にアレイシアはやれやれ、と息をつく。

アレイシアの方も、人の心配をしている場合なのかと言われそうではあるが、こういう性格なのだから仕方がない。


「っと、じゃあそろそrだね、またね、アレイシアちゃん~。」

「はいはい、またね。」


分かれ道に着くと、アレイシアとエクセはそれぞれの道に分かれて家に帰るのであった。


アレイシアは、自分のアトリエに入ると、経営の準備と、アルモニアの道具の調整の準備に取り掛かる。

必要な魔導書を幾つか魔法で取り出し、開いて中身を確認しながら準備に取り掛かる。

この開いた魔導書の中身は、基本的で初歩的な魔法が多い。

正直、アレイシアみたいな秀才なら見る必要も無いくらいの内容だ。

それでも並べるのは初心を忘れないようにするという心構えでもあるが、同時に魔導書がこういうアトリエのインテリアとして、客に有効であるという事に気付いたからである。

魔導書を並べているのはどうやら魔法に対する理解の深さに近く感じるらしい。

そう感じたのは、客の反応や客層を見た結論だ。

冒険者向けにするつもりは無い。

様々な人々が立ち寄り、その人々から色々な依頼を受けてそれを熟して様々な知識を蒐集して、それを新たな錬金術の理論に活かす。

それが、アレイシアにとっての錬金術なのだ。

今日もアレイシアのアトリエがOPENする。

アレイシアにとっての研究の発表であり、研究を更に深める為の大切な時間だ。

気だるげなアレイシアの顔が、少しだけ笑みが浮かんだ。

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