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変わり者錬金術士アレイシアの研究日誌  作者: 大蛇山たんと


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10/12

宝石商の水銀 その1

「さて、今回の依頼だけど……。」

「二人で協力してやる、でいいんだよね~?」

「そうね、依頼されている内容は別々だけど、お互いの発見が更なる発見になる可能性がある以上、協力した方が良いわ。」


アレイシアとエクセは友人同士だ。

そして錬金術士同士でもある為、こういう事の連携は早かった。

というわけで、二人で調査を行う事にした。

もちろん、貴重な水銀だ、簡単に手に入る物ではない為、量に限界はあるから、錬金するにしても慎重に扱わなければならない。

そういう意味でも、情報共有は必須だ。

二人はアレイシアのアトリエの錬金室で作業を考える。


「さて……まずは何から調べるかしら。」

「私は薬効の部分から調べようかな~……薬効にしても、どういう薬効かとかを調べなきゃいけないから~。」

「なら、私はそれ以外の特性について調べるわね。もしかしたら、薬効以外にも何か特殊な特性があるかもしれないし。」


というわけで、方針を決めた二人は、調査の為にもらった水銀を少しずつ取って、慎重に調査を始めるのであった。


当然ながら、始まる作業は地道な作業だった。

水銀の厄介な所の一つとして、直接触るのは良くない、という所がある。

短時間の皮膚接触なら普通の水銀ならだめではないが、今回の水銀がそうであるとは限らない。

そもそもとしての問題だ。

この物質を、水銀の特性に非常に似ているから水銀と仮に銘打っているというだけで、本当に水銀なのかも分からない。

実は全然別の物質でした、という可能性も、今まで発見されていない未知の物質でした、という可能性もあるのだ。

それを考えると気軽に触れるわけにはいかない。

特性もそうだ。

もしかしたら、かなり可燃性の高い物質だったり、不可逆な変化をする物質という可能性もある。

危険に気をつけながら、数少ない素材を無駄にしないようにしながら調査が必要なのだ。


「あ、アレイシアちゃん、薬の材料どこ~?」

「左の棚が薬の材料系ね。三段ずつ、薬草系、液体系、固体系に分けてるわ。」

「ありがと~、使った分は後で補充しとくね~。」

「ええ、頼むわ。」


こういった合同研究は初めてではない。

アレイシアとエクセは仲が良い、というのもあるが、錬金術士としての方向性も違うという事で一見すると水と油に見える。

事実として、実績や店の需要からも、周りから見たら何故この二人が?と思っている人物も居るだろう。

だが、アレイシアもエクセも、お互いに敬意を持っている。

アレイシアは量産やポーションを極めている上に店の経営もしっかりできるエクセを凄いと思っているし、逆にエクセもアレイシアを錬金術士としての単純な錬金術の技術ではアレイシアの方が上だと思っているし、他の人が受けない依頼を自分から受けている姿勢を凄いと思っている。


「まずは~、ドクシラズ~。ドクシラズで無毒化出来るかな~♪」

「まずは熱属性の魔力の伝導率……魔力をこれくらい入れて、これくらいの発熱量なら簡単に蒸発はしないわね。なら次は氷属性で冷やしてみて……。」


アレイシアは魔力の伝導率を調べている。

エクセは薬草で無毒化出来るかを調べている。

因みにだが、エクセのこの歌はエクセのいつもの光景なのだ。

それと同時に、ある意味では儀式のような物でもある。

このエクセの癖でもある即興ソングは、これを歌うと気分が上がって錬金術の調子が上がるのだ。

しかも、エクセは歌声に魔力を乗せる歌魔法の練習もしている為、錬金術の為に歌うのだ。

それをアレイシアは知っているので、アレイシアはそれについて突っ込んだりはしない。

というか、寧ろ、内心では少し楽しみにもしている。

めんどくさがりなアレイシアでも、友達がご機嫌なら嬉しくなる物なのだ。


「う~ん、毒の無毒化は~……出来てないね~……無毒化の方向に持っていくか、薬効の抽出の方向に持っていくか~。」

「薬効の内容はわかってるのかしら?」

「何となくはね~。もしこれが薬に出来るなら、多分すっごい薬が出来る気がするんだよね~。」

「エクセの直感なら、確かに信頼出来るわね。」


錬金術士に必要な直感、センス、発想力。

それを依頼に合わせながら発揮しなければならないのは大変な所だ。


「そっちの調子はどう~?」

「かなり魔力の伝導率が良いわね。これを触媒にしたりして魔導機を作りたいくらいよ。」

「アレイシアちゃん、自分で魔導機組み立てる派だからね~。」

「エクセみたいに人の腕を信頼して任せる、という事が出来るのも信頼の形として必要よ。」

「えへへ、ありがと~。」


エクセの店にも魔導機を導入しているが、アレイシアは自分で組み立てたのに対してエクセは信頼出来る人に組み立ててもらっている。

その組み立てをやった人はお得意様だったので、いつものお礼という事だったらしい。

こういうコミュニケーションも、エクセのお店では必要な事なのだ。

アレイシアには足りてない部分とも言える。


「じゃあ次は水銀の薬効部分を抽出~。これで抽出に失敗するなら多分予想通り~。」

「失敗前提に、ねえ……なら私は今度は魔法そのものを近づけてみようかしら。」


錬金術士の勉強は基本的にトライ&エラーだ。

一度作れば大体は感覚で作れるが、その最初の一度目が難しいのが錬金術士あるあるなのである。

というわけで、アヨティス期待の錬金術士二人組の研究は時間を忘れて没頭し、気付いた時には翌日の朝になっていたのであった。

だが、まだ完全な解析とは発想には至っていない。

錬金術士二人の研究は続く……。

全く考えていない為かなりノリで書いているので破綻している部分あったら申し訳ないです。

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