2・ルカの告白
第2話です。
よろしくお願いします。
”天使”とは言うが、元々は人間である。
天から見出され、その使命を負う。
私には番がいた。
だが、彼女は天に召されてしまう。
死んでしまったのだ、私を置いて。
私は貴族だから、すぐに新しい婚約者があてがわれた。
その意味を少しは理解していたから、新しい婚約者とは仲良くしようとした。
彼女も私に好意を抱いてくれていたとは思う。
しかし、婚約式の日、彼女に番が現れたのだ。
私の目の前で、妻にしようと決めた女が、別の男と恋に落ちる姿を見せつけられ、私の心はひび割れた。
もう恋なんて、結婚なんてしたくない、そう思っていたところで、婚約式に来ていた天使に誘われたのだ。
あなた、天使になりませんか?と。
**********
今回、天から新しい天使候補の婚約式に出るようにとのお告げが届いた。
自分と同じ運命の人間がいるのか。
そうか、私のときも、天は見ておられたのか。
まあいい。
教会に到着して、新郎新婦と挨拶をかわす。
女のほうは、糸が切れている。そうか、彼女が候補者か。
男のほうは、ああ、糸がつながっている。
糸の先をみると、わりと近くに番の気配を感じた。
先に教会内に入り、意識を向ける。
男の糸をたどり、番の居場所を探る。
今到着したところか。
あれは、まだ子供ではないか。
それなら、このまま放っておいても、大丈夫だろう。
どうせ控室あたりで出会って騒ぎになって終りになるだろう。
あ?逃げただと?
子供のほうが先に番に気が付いたようだが、逃げるとは。
それならこっちに来るがいい。
意識をこちらに向けさせる。
子供が勢いよく走って入ってきた。
「今すぐ私の番の糸、切ってもらえませんか?」
むせた。
こんなことを言うとは思いもしなかった。
子供の魂を見てみることに。
前世持ちであれば、肉体は子供であっても、魂は大人か。
それにこちらの世界ではない魂のようだ。
それなら考え方も我々と異なるのだろう。
「あなたは変わった前世持ちですね」
うわ、これひでえな。ろくな男に出会ってないな。
番のいない世界なのか?よくもまあ、ハズレばかりに会う。
「そうですね、たくさん恋愛しましたね。そして苦労しましたね」
そうとしか言えねえなあ。カスばっかだなとか、お前は男見るセンスねえぞとか。
「男を見る目、ねえな~」
「それは言わないで...」
あ、本音でてた。
「前で懲りたのかな。あなたは無意識に恋愛から逃げていますね。
だから番を切るという選択が簡単にできるのですよ。
今回あなたが番だと言っても誰も怒りません。
むしろ祝福されるでしょう。
それでも切りたいと思いますか?」
これまでもさんざん振り回されつづけ、最後には男に殺されている。
そんなことまでは思い出させはしないが、少し哀れに思えてきた。
だが、子供はうつむき少し悩んだようだが、私の目を見て、少しづつ思いを綴る。
「私がいた世界には、番の糸なんて存在しませんでした。
もしかしたら、運命ってあったかもしれないけど。
でも、普通はお互い出会って一緒に生きて、そこで信頼関係というか、絆を作るのだと思うんです。
だからこそ、お互いを一から認識してはじめるほうが正しく感じます。
ねえさまは、私に教えてくれました。今日は婚約者とこんな話をした、喧嘩した、笑った。
そうやって二人の絆を作っていったと。
私はその絆を切りたくないんです。
番の糸よりも自分たちで作った絆の糸を大切にしたいんです」
自分の喜びよりも、姉の喜びか。
面白い。
扉が叩かれる。
もう時間か。
子供に気付かれる前に、こっそり糸を切る。
天使はどこでも糸が見れて切れるからな。
婚約式のときは皆に婚約を宣言するためのものだから、皆にも見せてやってるだけだからな。
子供はあわあわしていたが、兄に回収されていった。
さあ、婚約式をはじめようか。
全4話で終了します。
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