悲しみの裏切り
「くそっ…どうにもできないのか…っ!!滝!!お前はここまで来て怖気づくのかよ!!」
純さんがどれだけ叫んでも、滝さんは体は震えたまま
一向に声を出したりもしない
「ちくしょう…っ!!」
「ふ、フフ…どれだけ叫んでも無駄だ こいつはここで死ぬんだ これをごらん」
「何!?」
純さんが顔を上げると、航介さんはアジトの明かりを照らした
するとそこには、白骨化した遺体がぞろぞろ現れた
「なんだこれは…!!? 俺もこうなるっていうのかよ…!!」
純さんが技を放とうとすると、智嬉さんの声が天井から聞こえた
「そいつの幻惑に惑わされるな!! "氷拳"!!」
智嬉さんの技の氷が一面に広がると航介さんは歯ぎしりをする
「ちぃっ… 息子か…邪魔しやがって」
「純、滝、ごめん、遅くなった!!って滝? どうしたんだよ?ずっとこうなのか?体なんか固まってるぞ?」
テレポートで智嬉さんとトヴァースさんが助けに行った
まだ俺と司令官たちはレスと戦っている
「実は滝のやつ、智嬉の親父さんに過去のトラウマが」
「親父、滝になにをしたんだ!!」
航介さんはニヤリと笑う
「智嬉よ、よくここまで来たな しかし親友の滝くんは助からない 滝くんも白骨化して死んでいく運命なんだ」
航介さんは右手を前に出し、技を出す構えをする
「蒼山家…死ね…"幻影呪縛"!!」
「うわあああっ!!」
「滝!!」
滝さんは技を交わす術もなく、そのまま技を喰らい床に倒れた
ドサッ…
「滝!!もう親父だからって、許さない!!」
「ほう? こいつの味方をするのか?」
「俺は滝の親友だ!!味方をするのが当たり前だ!!」
倒れた滝さんの頭を航介さんは足の指先でどつく
「やめろ!!」
「親父…どうしてこんなことになっちまったんだよ、昔から貴明さんを好いてはいないことは分かっていたけど、こんなこと、酷すぎるだろ」
航介さんは滝さんの胸ぐらを掴んで無理やり体を起き上がらせた
「まだ戦えるだろ…?滝くん このままじゃ終わらないよなあ?」
滝さんは目に涙が溢れていた
「親父!!やめてくれ!! 滝に罪はない!!」
<挿絵>
「そうだな こいつには確かに罪は無い けれど、貴明の力がこいつに眠っている 貴明が死んだ時、死んだと同時に貴明の力が宿った なら…今憎むのはこいつしかいない!!」
「貴明さんが死んだから、戦えるのは滝しかいないから、今四天王と戦っていたんだ!!」
純さんも智嬉さんに加勢する
「貴明と私は、共に能力の力は王座を狙う程の強さだった それが、貴明はある時体の容態がおかしくなった 自分で能力の力をコントロールできなくなっていたのだ 強すぎるあまり」
そう言いながら、滝さんを床に落とした
「かはっ!!」
「滝!!」
「私は… あいつの支えになることも叶わなかった!! 能力が強すぎて、誰にも頼らず、ついには能力が体を支配し、街が崩壊してしまう様を…私たちは見てしまった」
滝さんの体を支えながら、智嬉さんは反抗する
「滝がもし、あの時貴明さんを助けても地獄を見ていたと思うよ 貴明さんはカルテー二に追われていたって聞いていたけど、あの時…貴明さんは爆発するのを分かっていたのかもしれない」
智嬉さんが滝さんの手を強く握ると滝さんは目を開いて、話そうとした
「滝? 大丈夫か?」
「はあ、はあ…っ あの時、親父を助けても、親父も、街も助からない… 親父はカルテー二に追われて、助かる術もなくて、結局自爆するしかなかったんだ…」
航介さんは再び右手を翳す
「私は貴明に裏切られた!ずっと親友だと思ってた!! 能力の力のせいで…能力が、憎い!!」
そう叫ぶと、滝さんに光線を浴びさせた
「うあああっ!!」
「滝!!」
それでも、滝さんはギリギリ腕で体が倒れるのを自力で抑えた
「何!?」
「はあ、はあ… 俺は…親父のこと…あんまり覚えていないけど…俺は…こんなに仲間も出来たし、能力者じゃなかったら分からないこともあったし、親父には、感謝しているんだ…」
航介さんは歯ぎしりする
「無駄なあがきを…」
「俺は、蒼山家でいて、良かったって思ってる…!!」
「滝…」
「俺は…能力者最強の戦士…蒼山滝だ!!」
叫びながら、必死で立ち上がった
「くそっ!!」
「司令官達を返せ!!」
トヴァースさんも再び武器を構える
「シルヴァ・トラーズか あいつはいつも戦闘から逃げてばかりだったなあ」
すると航介さんは左手をゆっくり上げ、強制的に司令官や俺たちを滝さんの元へ来させた
「ここは!?」
「ようこそ、シルヴァ・トラーズたちよ 私のアジトへ」
司令官は航介さんの顔を見て驚く
「お前は…航介…!?」




