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霧雨が降る中、二人でタクシーに乗り、新宿へ向かった。濡れたガラスの向こうで、街の明かりが果てしなく尾を引いている。タクシーの中で、僕はみゆきと二人きりになったことを意識し、我ながら驚いていた。


夜の10時少し前、西武新宿駅の近くにある中華居酒屋に入ると、僕は周囲の男たちのうらやましげな視線に気づいた。みゆきはそんなことなど気にも留めず、案内されたテーブル席に静かに腰を下ろした。


雨のせいか、店内は空いていた。僕らが席につくと、店にいた男たちはちらちらとこちらを見ている。


自分がほかの食事客の目にどう映っているか、僕にはわかっていた。


こんな綺麗な女が、こんなガキといったい何をしているんだ――そんな目で、僕らを見ていた。


俺って、ほんとモテねーんだろうな。


そう思いながら、僕はみゆきを見た。


また、僕は一緒にいて楽しい相手ではなく、神経質で、優柔不断な態度をとり、とっておきの笑顔なんかで相手を気持ちよくさせるようなタイプの人間ではない。ひとりで手持ち無沙汰にしている、そんな感じの人間だ。


そういうと、さぞ気詰まり、というかぎこちないものだったのではないかと思うかもしれないが、そんなことはまるでなかった。


みゆきは、そんな僕を鼻で笑いながら酒を飲み、グリーンプラザによく通っている話を始める。僕はみゆきの話に時々うなずいたり、微笑んだりした。


そのうちトイレに行きたくなって席を立ち、小便を済ませてから手を洗い、鏡で自分の姿を見ながら髪に手を触れた。そして戻ると、みゆきが「あ、顔つきが変わった」と微笑んで僕を見た。


――これもたまにあることなのだが、こっちは何にもしてないのに、昔なら先生から、今なら職場の人なんかが「最近顔つきが変わった」なんて褒めてくれることがある。だけどこっちからすると「なんのこっちゃ?」という話なのだ。わかるだろうか。


要するに人の評価なんてのは、髪型なんかで決まっちゃうんだろうな。


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