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半年ほど経ったある夜、ぱったりと連絡のつかなくなっていたみゆきのことが気になり、僕は電話をかけてみた。
呼び出し音が途切れ、みゆきが出た。
「もしもし」
その口調だけでわかった。彼女は僕を覚えている。
「俺のこと、覚えてる?」 期待を押し殺し、つづけた。
「大野だけど」
彼女はやっぱり僕のことを覚えていた。ただ、薬か何かをやっているのか、それとも鬱状態にあるのか、声を聞いただけでは判断がつかなかった。
「ちょっと待って、今話せる場所に行くから」
そう言った彼女の声は、少ししわがれていて、眠たげだった。電話では他愛のない会話を交わした。
ーー翌日、僕はヤンキースの帽子を深くかぶり、昼ごろの電車に乗ってみゆきに会いに行った。
初めて出会ったときと同じように、雨はしとしとと降り続けていた。ただ、止みそうな気配もあり、頭上に広がっていた暗い雲がやわらかな灰色へと薄まり始めていた。




