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店先に出ると、みゆきはふらりと雨上がりの道路に飛び出した。少し酔っていたのだろうか。濡れたアスファルトの上で、どこかおどけた様子で僕を見ていたかと思うと、何の前触れもなく僕の腕を掴み、踊り始めた。
絵になるような場面ならまだしも、第三者から見れば、ひどく滑稽だっただろう。当事者の僕にしても、自分が何をやっているのか、彼女が何をしようとしているのか、さっぱりわからなかった。馬鹿げていると思いながらも、恥ずかしさを感じつつ、僕はみゆきに腕を掴まれたまま、しばらく一緒に踊っていた。
歌舞伎町からの帰り道、僕らはふらふらと新大久保のラブホテル街を歩いた。人けのない狭い路地裏に差しかかると、僕は立ち止まり、みゆきに「入ろう」と声をかけた。みゆきは何も言わず、すぼめた傘を振り上げると、僕の頭をガツン、ガツンと叩き、くすくすと笑った。
肩越しに後ろを振り返りながら「何だよ、やめろよ、やめろってば」なんて言いつつ、僕はそのままみゆきに追いかけられるように歩き続けた。大久保通りに出ると、みゆきは通りかかったタクシーを拾った。僕らは「おやすみ」と言い合って別れ、僕は歩いて十分ほどのアパートに帰った。




