表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/60

パラレル会議 道満と清明どっちが重いか

地獄の執務室。珍しく静かだった。


転生前清明は書物を読んでいる。

転生後清明はこはくの隣。道満は書類処理。

いつもの配置。

そしていつものように、転生後清明がこはくへ寄っている。

距離が近い。近すぎる。

道満は視線だけ向けた。


「……お前は本当に隣が好きだな」


転生後清明は即答する。


「好きだからな」


転生前清明が顔を上げる。


「分かりやすいな」

「隠す理由がない」


道満が嫌そうな顔をする。


転生後清明は、こはくの髪へそっと触れた。


「綺麗だ」

「静かだ」

「落ち着く」

道満「毎回口説くな」


転生前清明は少し考える。


「未来の私は感情表現が素直だな」

「生きている間に学んだ」

「失う前に言葉にしなければならない」


その声は妙に静かだった。

道満は少し黙る。 

転生前清明はふと聞いた。


「だが、お前の方が分かりやすいだけで」

「道満もかなり重いのではないか?」


沈黙。道満の手が止まる。

転生後清明が顔を上げる。


「……ほう」


嫌な空気。道満は低く返す。


「何故そうなる」


転生前清明は本当に不思議そうだった。


「未来のお前は、“伴侶になりたい”と口にする」

「だが道満は、“こはくがいる前提”で話している」


空気が止まる。転生後清明、静かに道満を見る。

転生前清明は続けた。


「お前、一度も“離れる可能性”を考えていないな」

「……」

「未来の私は、失うことを前提に求めている」

「だが道満は違う」

「“永遠にいる”と思っている」


道満が沈黙する。

転生後清明がぽつりと呟いた。


「……確かに」


転生前清明は静かに分析していく。


「お前は伴侶になりたいわけではない」

「だが最初から最後まで傍にいる前提で話す」

「こはくが他者へ行く想定をしていない」

「むしろ、他者が入り込むことを嫌がる」


転生後清明、ゆっくり頷く。


「分かる」

道満「共感するな」

 

転生前清明はさらに続けた。


「未来の私は“欲しい”」

「だが道満は、“既に自分の生の一部”として扱っている」

「……

「その方が重いのでは?」


完全沈黙。道満、止まる。

転生後清明も静かに固まる

 

「……あ」


転生後清明が呟く。


「お前、かなり重いな」

道満「何故お前が驚く」


転生後清明は本気で考え始めていた。


「私は伴侶になりたい」

「だが道満は」

「伴侶以前に、“こはくが存在すること”を当然としている」

「生活の一部だ」

「呼吸に近い」

道満「やめろ」

 

転生前清明は頷く。


「なるほど」

「未来の私は熱量が強い」

「だが道満は根が深い」

「染み付いている」

「長年積み重なった執着だな」


道満が机に額を押し付ける。


「執着ではない……」


転生後清明が即答。


「執着だ」

「重い」

「かなり独占欲も強い」

「誰よりもこはくの近くにいる前提で動いている」

道満「お前は本当に黙れ」


転生前清明は、少し納得した顔だった。


「未来の私は感情を自覚している」

「だが道満は、感情を“当たり前”として処理しているのか」

「だから言語化が遅い」


転生後清明、深く頷く。


「分かる」

「私より深刻かもしれない」

道満「分かるな」


その時、こはくが静かに道満の近くへ来た。

自然だった。何でもないように。


だが、道満の空気が一瞬で緩む。肩の力が抜ける。

視線が柔らかくなる。

転生前清明、見る。転生後清明も見る。


沈黙。

それから転生後清明が静かに言った。


「……ほら」

「呼吸だ」

道満「殺すぞ」


こはくは静かにそこにいる。ただそれだけ。

なのに道満は、こはくが近くに来ただけで空気が変わる。

転生前清明は小さく息を吐いた。


「なるほど」

「これは確かに長いな」


転生後清明は真面目に頷く。


「私より重い」

「伴侶になりたいどころではない」

「“こはくがいる世界”で完成している」


道満は顔を覆った。


「何故分析会になっている……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ