パラレル会議 将来的設計の妄想
別の日。地獄の庭。珍しく静かな時間だった。
こはくは縁側に座っている。
その隣に転生後清明。当然のように近い。
少し離れた場所に道満。さらに転生前清明
風だけが静かに流れていた。
転生後清明がぽつりと言う。
「静かな場所がいいな」
道満、嫌な予感。
「何の話だ」
「共に暮らすなら」
道満「始まった」
転生後清明は真面目だった。
「人が少ない場所がいい」
「庭が広いと落ち着く」
「寝台も大きい方がいいだろう」
道満「やめろ」
転生前清明は少し首を傾げる。
「未来の計画か?」
「ああ」
「伴侶として必要だ」
道満「まだ違う」
転生後清明はこはくを見る。
視線が柔らかい。
「朝は静かな方がいいだろう」
「光も強すぎない方がいい」
「茶は毎日淹れよう」
道満が机に突っ伏す勢いで額を押さえる。
「具体的すぎる……」
転生前清明は本当に感心していた。
「未来の私は、随分先まで考えているのだな」
「当然だ」
「共に過ごすなら環境は大事だ」
道満「前提を固定するな」
転生後清明はさらに続ける。
「疲れたらすぐ休めるようにしたい」
「寒くない部屋がいい」
「触れて眠れる距離が――」
「やめろ!!」
ついに道満が遮った。
転生前清明、静かに瞬き。
「今のは駄目だったのか?」
「全部駄目だ」
こはくは静かに聞いている。
否定しない。それが本当に良くない。
転生後清明は、こはくが拒絶していないのを見て少し目を細めた。満足そう。
道満はそれを見て絶望する。
(また成功体験にしている……)
転生前清明は、そんな未来の自分をしばらく見ていた。
それから静かに呟く。
「……人の生とは恐ろしいな」
転生後清明はこはくを見たまま答える。
「ああ。好きになってしまった」
道満だけが深く長くため息を吐いた。
「知っている……」




