パラレル会議 転生後の清明、触れ過ぎでは?
地獄の一室。
こはくは静かに座っている。
その隣に、転生後清明。
少し離れた場所に、転生前清明。
そして頭痛を堪えている道満。
いつもの配置だった。
転生後清明は、ごく自然な動作でこはくの髪に触れた。指先で流れを整えるように撫でる。
静かな接触。こはくは拒まない。
転生前清明がそれを見る。
「……未来の私は、随分触れるのだな」
純粋な感想だった。転生後清明は頷く。
「触れる」
「嫌がられてはいない」
道満が即座に口を挟む。
「お前の判断基準は信用ならん」
転生後清明は真面目だった。
「逃げない」
「拒絶もしない」
「視線も柔らかい」
道満「だから解釈を盛るな」
転生前清明は少し考える。
「なるほど、信頼関係を積み重ねた結果か」
転生後清明の表情が少し柔らかくなる。
「そうだ」
道満が嫌な顔をする。
(何故納得する)
転生前清明はさらに観察する。
転生後清明は近い。近すぎる。
会話の合間にも自然に肩へ触れる。髪を整える。
視線を向けられれば、少し笑う。
その空気があまりにも“慣れている”。
転生前清明は真面目に言った。
「未来の私は、かなり努力したのだな」
転生後清明は即答する。
「した」
道満「認めるな」
「最初はここまで許されなかった。時間をかけた」
道満「経過を語るな」
転生前清明は感心したように頷く。
「そうか、継続は大事なのだな」
道満はついに額を押さえた。
「教育に悪い……」
するとその時。
こはくが少しだけ姿勢を変える。
転生後清明は何でもないように、その背へ手を添えた。
自然。あまりにも自然。
転生前清明が静かに言う。
「……夫婦のようだな」
空気が止まる。道満、むせる。
転生後清明は真顔だった。
「伴侶になりたい」
道満「聞いてない」
転生前清明は少し考える。
「なるほど」
「未来の私は、そこを目指しているのか」
「そうだ。本気だ」
道満「知ってる」
■ 距離感の差
別の日、また同じ部屋。
転生前清明は、こはくの少し横に座っていた。
距離は普通、近すぎず遠すぎず。
対して転生後清明は違う。
当然のようにこはくの隣へ座る。
しかも近い。肩が軽く触れる程度の距離。
道満が嫌そうな顔をする。
「近い」
転生後清明は普通に返す。
「許されている」
道満「便利な言葉にするな」
転生前清明は、その光景を真面目に観察していた。
「未来の私は、随分自然に隣へ行くのだな」
「努力した」
道満「何でも努力で済ませるな」
転生後清明は静かに続ける。
「最初は距離があった」
「今は隣が落ち着く」
転生前清明は少しだけ目を細める。
「……こはくも嫌そうではない」
「そうだ」
転生後清明の返答が早い。
道満は深くため息をついた。
「お前の返答速度だけは毎回気持ち悪い」
その時、こはくの髪が肩から滑り落ちる。
転生後清明は迷いなくそれを払った。
指先が首筋に軽く触れる。
転生前清明、静かに呟く。
「随分慣れているな」
「慣れた」
「未来の私は、こはくにかなり近しい関係になったのだな」
転生後清明は、こはくを見たまま言う。
「まだ足りない」
道満「足りないのか」




