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第87話 起床

道端で出会った迫田さんはお腹と右腕から血を流して倒れていた

誰にも気づかれないように病院に連れて行けと死にかけの体で無茶苦茶な要求をしてきた

すぐに気を失ってしまった迫田さんの血をタオルとジャケットで応急処置で止血をしてから俺の車に乗せて腕が信頼出来て口の固い病院へと連れて行った

夜中にインターホンを鳴らして病院を訪ねる

「助けてくれ!刺された人がいる!このままだと死ぬかもしれない!!」

と必死に伝えると

急いで医師は出てきてくれた

迫田さんの容態を診て

「これはひどい…すぐに手術部屋へ運べ!!」

俺は迫田さんを手術室へと運び

医師が手術を始めてから手術室の前で祈ることしか出来なかった

内密にと言っていたが…生死を彷徨っているんだ

親族には知らせるべきなのではないか?

俺は迫田さんの電池の切れたスマホを充電して家族へ連絡しようとするが

スマホにはロックがかかっていて中を見ることは出来なかった

かわりに…大量の着信が入っていた

拓人の親である真中純也さんから大量の着信が入っていた

拓人の関係者と連絡を取るのは迫田さんの意思にそぐわないかもしれない

どこまで内密にして欲しいのか…

最近の拓人は迫田さんとよりを戻して恋人になれたと浮かれて幸せそうにしていたのに

出会えば惚気話ばかりしてくるぐらい幸せの絶頂だったはずなのに

何故迫田さんが刺されることになっている?

何故迫田さんは刺されたことを隠そうとしている?

拓人が…暴走して迫田さんを刺したのか?

あんなに溺愛していた恋人を?

別れると言われて逆上したとか…?

ダメだ!こんなこと考えも仕方がない

話を聞けばいずれはわかることだ

それよりも今は迫田さんが死なないように祈り続けよう…

迫田さんの手術は10時間かかった

生死を彷徨ったがなんとか命は救われたようだった

「ハァ…ハァ…よかった…」

俺は安堵でぼろぼろと涙が溢れる

10時間眠ることが出来なくて一睡もしていなかったので、少し仮眠を取ることにした

目覚めてすぐに拓人のスマホに何度も電話をしたが出なかった

迫田さんからの着信なら出るかもしれないと

俺は迫田さんのスマホで拓人に電話をした

スマホのロックがかかっていても緊急連絡の為に電話だけはすることが出来た

「はい。」

「拓人か!?お前今何やって…!!」

「申し訳ございません。私は拓人さんではありません。警察です。」

「警察…?」

「失礼ですが…迫田さんではないですよね。我々は迫田さんの身柄を探しています。貴方は何者ですか?どうして迫田さんのスマホから電話をしているのですか?迫田さんはどこにいますか?」

「…迫田さんを刺したのは誰ですか?」

「迫田さんを刺したのは斎藤真由美さんです。」

「拓人じゃないのですね!」

「拓人を庇おうとして刺された可能性があります。迫田さんは今どこに?」

「俺が病院に連れて行きました。今、手術が終わって命は無事です。生きてます。」

「そうですか…それは一安心です。貴方はどうして救急車を呼ばなかったのですか?」

「迫田さんが刺されたことを内密にして欲しいと懇願したので…申し訳ございませんでした…」

「そうでしたか…今後は頼まれても生死を彷徨う大怪我の方は迷わず救急車を呼んでください。今回は助かりましたが…死にそうだったのですよね?」

「はい…申し訳ございませんでした…」

俺は事件の夜のことを細かく警察へ伝えた

この日は仕事を休んだが、次の日から仕事に行き帰りに病院に寄った

迫田さんは3日目に目が覚めた

まだ目が覚めただけだったが、目が合って微笑んでくれた

よかった…元気そうだ…

5日目に面会出来ると言われたので仕事を休んで迫田さんに会いに行った

警察も事情聴取の為に同席している

「どうして…警察がいるの?内密にしてくれって言ったのに…」

「拓人さんの部屋から大量の血痕があったのですよ。殺人未遂事件です。隠そうとするのは無理がありますよ。迫田さん。」

と警察に言われる

「そっか…」

「そこの北条さんが迫田さんを内密に病院に連れて行ったおかげで世間はこの事件のことを知らないです。知っているのは関係者のみです。」

「北条さんありがとうございました。私の我儘を聞いてくれて…」

「警察には怒られましたけどね…死にかけの重体人は迷わず救急車呼べってさ。」

「目覚めてすぐで申し訳ございませんが…事件のことを話してくれますか?」

「…拓人さんは知らない女の人と帰ってきました。拓人さんは泥酔してたのか意識がない様子でした。」

「女の人は会ったことありますか?」

「ありません…私は知らない人でした。でもその日拓人さんはパーティに参加すると言っていたのでおそらくパーティに参加していた女性だったんだと思います。」

「女の人と何を話しましたか?」

「拓人さんを襲って身籠りたいと言ってました。私が阻止しようとすると…包丁でお腹を刺されました。それでも拓人さんを守らないとと思って抱きしめたけど…」

迫田さんは急に震え出して泣き出した

呼吸も荒くなってきて苦しそうにしている

「迫田さん!大丈夫ですか!?」

「わ…私の右腕を…小説を書けなくしてやるって刺されて…」

「迫田さん!もういいです!!医者を呼んできますから!辛いなら今話さなくても…!!」

「わ…私…怖くなって…!!小説が書けなくなるって!!それで…逃げたんです!!拓人さんが…拓人を助けようとせずに!!私だけ!!逃げたんです!!」

「刺されたら誰でも怖くて逃げます!!迫田さんは悪くないです!」

「わた…私は!!拓人さんを大事にしたかったのに!!結局!小説が書かなくなる恐怖に負けて!!逃げ出したんです!拓人さんが殺されるかもしれなかったのに!」

「迫田さん!落ち着いて!!」

「う…うわあああああああああああああああああ!!!」

迫田さんはパニック状態になり暴れ出してしまった

必死に医者が押さえつけて落ち着かせている

「もう嫌だ!こんな自分が嫌いだ!!拓人さんにも2度と会いたくない!!どうせ私は人を愛せない欠陥人間なんだ!!好きな人を…!!見殺しにした!!私は!!小説が書けなくなると理由だけで!!」

大声で叫んで暴れている迫田さんは警察と医者に取り押さえられた

迫田さんは睡眠薬を打たれて無理矢理寝かされた

「愛する人を守れなかったショックが心の病になってしまっているようですね…話をさせるのはあまりにも酷なので事情聴取は今日で終わりにします。申し訳ございませんでした。迫田さんにお大事にとお伝えください。」

と警察は言い残して去って行った

「ごめんなさい…ごめんなさい…拓人さん…」

と呟きながら眠りにつく迫田さんを俺は手を握って慰めることしか出来なかった



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