勘違い
前の話とサブタイトルで分かると思いますが、勘違いが多めです。
段々と、女性達の声が大きく聞こえるようになる頃には、路地裏の外に繋がっていた。
「うん?女性達が襲われているのは日の当たる通りなのか?」
少女は通りから聞こえる声に、疑問を思いつつも、自分を讃える声が聞こえたので気にせずに向かって行く。
ダン!
光の先に出る一歩が、俺様の物語の始まりを感じさせた。
「うぅ、眩しい」
急な光に目が眩しくなって、瞳を細めていると、
「「「「「きゃーーー!!」」」」」
女性達の、俺様を讃える声が聞こえてきた。
段々と目が慣れて、俺様を讃える女性達を見ようと声が聞こえる方に目を向けると、
「きゃー!カッコいいー!」
「えぇ、その通りね!」
「さすが、王族の人達ね」
「うん!美男美女で絵になる!」
王族?とやらの人達に向けて女性達が歓声を上げていた。
「はっ?悪者に襲われていたんじゃないのか?」
少女は呆然とした表情のまま、その場で固まってしまった。
幸い、少女を見た人達は、王族の人達に見惚れて固まっているのだろうと思っていたので、微笑ましい目で見られていただけだった。
暫く、王族達が居なくなる頃まで固まったままだった少女は、
トントントン
「おーい、戻ってこーい」
先程まで、微笑ましい目で少女を見ていた男性に肩を叩かれて、声を掛けられたことにより戻って来れた。
「はっ!俺様はいったい何をしてたんだ」
突っ立てる自分の状況を把握出来ないでいる少女に、
「おっ?戻って来たか。それより、今の状況が分からないみたいだな?」
男性は少女にそう声を掛けた。
ビクッ!
「貴様は誰だ!?」
自分一人しか居ないと思ってた所に、急に声を掛けられてビックリした少女は、慌てて後ろに下がり問い掛けた。
「うーん……それよりも、状況が分からないみたいだから、教えようか?」
優しさからくる男性の質問に、
「ま、まさか!貴様、誘拐犯なのか?俺様を捕まえて何をするつもりだ!」
何を勘違いしたのか、自分の体を抱き締めて後退りをした少女。
それも、大声で男性を誘拐犯だと言い切った。
「はぁ?……」
間抜けな声を上げて固まった男性だが、少女の言葉を理解すると同時に反論した、
「へっ?!だ、誰が誘拐犯だ!俺は誘拐などしていない!変な勘違いは止めてくれ!」
男性の反論に、
「えっ、違うの?」
少女は首を傾げて問い掛けた。
「あ、あぁ、違う」
男性は、仮面で見えないけれど、可愛いと思ってしまった。
だって!少女自身の体を抱き締めながら、俺に向けて首を傾げながら問い掛けて来る。
可愛い以外の何が当てはまるんだ!
男性は心の中で、誰に向けてなのか分からない反論をした。
「そうなのか、すまない。勝手な勘違いをしてしまって」
先程までの活発な雰囲気は消え失せ、しおらしい雰囲気に変わった少女に男性はドキドキし続けていた。
「あぁ、いいよ。それよりも、状況を教えようか?」
男性の問い掛けに、
「頼む」
少女は、コクりと頷き頼んだ。
仮面で見えないが、少女の視線が自分に向けられていることに気付いた男性は、胸がドキドキしながらも言った。
「分かった。固まっていた理由はな、王族の人達に見惚れていたからだ」
男性の言葉に少女は、
「俺様は固まっていたのか?」
呆然として聞いてきた。
男性は、少女の言葉に可哀想な子を見る視線になった。
「そうか、王族の人達が美し過ぎて気絶していたんだな」
「はっ?王族?なんだそれは?」
少女のその言葉に、男性は泣きそうになりながら、
「そうか、王族の人達の美しさに記憶まで忘れてしまったんだな」
トン
「ぐす、うぅ」しまいには、少女の肩に左手を置き、泣き出し始めた。
「へっ?」
少女は、この状況が理解出来なくて間抜けな声を上げて、固まってしまった。
仮面の中に、光って届くんですね。
一応、設定をつけるなら、
仮面が本体だから、仮面が光に当たったから眩しくなった。
どうでしょうか?




