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episode 07:不意打ちはやめて


あれから数日が経ち、以前とは違うけれど、似たような日常に戻り始めた頃。

学校から帰るとネコが傷だらけで玄関に背を預けて座り込んでいた。


「どうしたの?その怪我」


「喧嘩した」


まあ、そうだよね。

それ以外に考えられないわ。

ざっとネコの体を見てみたけれど、ひどい傷はないようで、多少出血はあるけれど浅いようだった。

後は、打撲痕。

うん、軽傷ね。


「そう。ちゃんと手当てしてよ?部屋汚されちゃたまらないわ」


ネコをどかして、玄関を開ける。


「…他に言い方ないのか?」


改めてネコを見るけれど、心配するような傷でもないし。

他に何を気にしろと。


「掃除大変じゃない。してくれるの?」


「…血落としてくる」


そう言って、家の前で服の埃を払い、洗面台に傷を洗いに行ってしまった。

そんなに掃除するのがイヤか。

ネコは家事を何も手伝わない。

ほんとにただいるだけの半居候状態だ。

考えたら迷惑なだけだな…


そんなことをダラダラ考えながらも、薬箱を用意する。

本当なら、こんなもの使わなくてもほっとけば治るものではあるけれど。

傷を洗い終わったらしく、ネコが部屋の中へ入ってきたので、手招きする。


「こっち」


私の前に座るように促すと、素直に従って座った。

そして、私の横に置いてある薬箱を見て、軽く目を瞠った。


「手当てしてくれるとは思わなかった」


失礼ね。


「これでも人の血は通ってるのよ」


「そこまで思ってなかった」


「どこまで思ってたのよ」


どこまでも正直でバカなネコである。

イラッとしながら睨みつけてやると、慌てて傷を差し出してきた。


「ありがとな、紗世!」


「…名前を呼ぶな、ネコ」


初めて名前を呼ばれた。

不意打ちとかやめて欲しい。


なぜか心臓が強く脈打ったような気がした。


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