episode 06:思ったより、情が移っていたようです
学校から帰ってくると、ネコが朝と同じように土下座して待っていた。
いつからそこで土下座してたの。
恥ずかしいからやめてほしい。
「ほんとすまんかった。この通りっ」
私は無視して横を素通りし、玄関に鍵を差し込む。
「お願いだから、無視はやめて」
ネコは膝立ちになって私の足に縋ってきた。
気安く触るんじゃない。
と、思うのだけれど。
本当に反省していたのか、制服の背中に朝踏んづけた跡をしっかり発見してしまい心が揺れる。
ずっとここでしょんぼりしていたのだろうか。
だとしたら、私は…
「…ネコ」
私はネコから一歩離れ、右の拳を握る。
「はい」
ネコは私に呼ばれて、素直に返事をしながら顔色を伺っている。
「歯ぁ食いしばれ」
腰を落として、重心を低くする。
「あ?」
理解できなかったのか、目をぱちくりさせてこっちを見ているネコの顔に拳を思い切り横から振り切った。
にぶい音がして、ネコが倒れる。
「ってぇぇー!!」
「これで許してあげるわ。次はないからね」
腰に手をあてて、ネコを見下ろす。
ネコは頬に手をあてながら、
「肝に命じておきます…」
しょぼくれた感じで、座り込んでいた。
釘はしっかり刺しておかねばならない。
「今日は上げないわよ。よそ行きなさい」
そして私は、無常かもしれないがさっさと玄関をくぐって中へ入り、鍵をかけチェーンまでしっかりとロックする。
「ちょ、待っ」
扉の外でネコの声が聞こえた気がしたけれど、気にしない。
さっさと部屋の中へ入り込み、ラグの上に座り込む。
結局、私はネコに甘いのだ。




