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episode 03:心配性だったようです
ネコが走って逃げてから数日が経った日。
家に帰ると玄関横に座り込んだ黒い塊が見えた。
一体何かと凝視したのが悪かったのかもしれない。
目が合ってしまった。
「…いたの?」
ネコは、いつからそこにいたのか、疲れたような表情と声で項垂れて答えた。
「いちゃ悪いかよ…」
なぜ傷ついたような声を出す。
まるで私がいじめたみたいじゃない。
「そんなこと言ってないでしょ?」
とりあえず、玄関まで辿り着いて、ドアに鍵を差し込んで回す。
カチャリ、と音が鳴ったのを聞いて、ほっと安心する。
家に入ろうと扉を開けると、ネコが立ち上がったところだった。
そして、若干不機嫌そうに眉をしかめながら手首をとられる。
「…こんな時間までどこ行ってたんだよ」
なぜネコが私の行動を気にするのか。
理解ができないけれど素直に答える。
「バイト」
「こんな遅くまでか?」
「そうよ。高校生なんだし普通でしょ?それより、入るの?入らないの?」
早く落ち着きたくて、少し早口になる。
なぜ玄関先でこんな問答をしなければならないのか。
「…入る」
「困ったネコね」
溜息をついて、ネコを中へ招き入れる。
「猫じゃねー」
ネコはいつもの言葉とけだるげな態度で、定位置のようにラグの上に転がった。
私は肩をすくめながら、玄関の扉を閉める。
誰かが一緒にいる空間は、やはり暖かいモノだと思う。




