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2章 8話 「俺が幼女なのを皆んな忘れているのではないかと言う話」

以前作った造語の「おっぷるぱい」と「おっぱいヒルクライム」と同じくらい今回の「OPALLオッパル」は気に入っています。


こんにちは、キアーラ・カサッツァです。

倫理というものは時代によってその姿形を変え、現代では驚くような風習が過去にはあったりします。人権の尊重というものが制定されていない異世界では、殊更にそうなのではないでしょうか?

つまりセーフの幅が広いという事です。



「いらっしゃい、キアーラちゃん」


俺が部屋に入ると、すぐにマダムが目に留まった。

いや、視線を誘導され釘付けにされたと言うべきか。


彼女は油断のならない相手だ、何が仕込まれているかわからない。

本来であれば状況確認のためにも部屋をサラリとでも見回すべき状況。

だが、それができなかった。


理由はマダム本人。彼女はただそこに居ただけだ。

だのに、彼女を視界に入れた瞬間に自分の意思とは関係なく、視線がそちらを向きそして固定された。


美しい人だとは分かっていた。

以前あった時も、観衆の目を独り占めにし、その姿に誰もが息を呑んだ。

街中で会えば、10人中10人が振り向き思考を停止させる。

同性でも嫉妬の念すら抱くことすらできない完璧な美しさ。

そう感じた。思った。


だが、今日の彼女のそれはあの時の比ではない。


彼女の声や姿、動作や匂い、そしておそらく感触。

それら全てを含めたその美貌。

およそ人とは思えぬほどの、人間を狂わせる魔性がそこにはあった。


前にあった時となにかが違うわけではない。

絹糸のような金色の髪も、その吸い込まれるような青い瞳も、白磁のような肌も同じだ。


だが、今の彼女を見れば、老若男女問わず誰もが心を奪われるだろう。

そしてこう思う。

誰もが彼女の為ならどんなことでも厭わないに違いない。

そうする事でとても幸せになれるに違いない。

誰もがそう思うだろうと、誰もが確信する(・・・・)

そして、誰もが思うなら、自分がそう思っても仕方ないと安心し、彼女の虜になる。

普通ならそうなるだろう。


だから俺は普通じゃない事を思う。


「こんにちはマダムのおっぱいは登る時にスベスベだから滑って苦労するでしょうね突然お邪魔して申し訳ありません大きさ的に登り甲斐はありそうですね迷惑じゃありませんでしたか?」


「いえ、そんなこと……え? なに?」


ノリツッコミのような感じで聞き返してくるマダム。

首を傾げた仕草もチャーミング。


「それなら良かったです」


あくまで自然体の俺。


『それならが、登りやすいことに対するものなのか、迷惑じゃなかった事に対するものなのかを聞きたいね? いや嘘だ。聞きたくない』


当然前者ですけど何か?


俺が早口に捲し立てた言葉に、困惑を隠せないマダムから魔性の雰囲気が消える。

そして、ルナからは笑顔が消える。


「あぁ、すいません。マダムのあまりの美しさに、つい、妄想科学戦隊おっぷるぱい隊員としての所感が漏れ出てしまいました」


「妄想……おっぷ……え?」


「ちなみに隊員は今のところ私一人です」


「……そう」


なおも俺の発言を理解しようとしていたマダムだったが、最後には何かを諦めたように呟きソファを勧めてくれた。


魔の俺の思考は理解できないから、その対応が正解だ。

だって考えて喋ってないもの。


『君の思考は、悪魔である僕ですら理解できない時があるから恐ろしいね?』


いつの世も天才は理解されないものか……。


『……君は自分を天才だなんて思ったことがないだろう?』


……うるさいよ。人の敏感ところに、おいそれと踏み入れるな。バカチン市国が。


一瞬、前世の嫌な思い出が浮かびそうになるのをルナを罵倒することで回避。

そして俺は椅子に腰掛ける一瞬の間に、マダムを改めて観察する。

マダムが立ち直る前に状況を把握せねば。


だが俺の思いとは裏腹に、自分を見る目が変わったのが分かったマダムが正気に(失礼)戻りそうになる。

なので俺は両腕両足を前に突き出しつつ、尻からソファにダイブ。

弾力性を利用し、座ったと見せかけてすぐに立ち上がる。


「ばいーん、ばいーん」


それを数回繰り返していると段々とマダムの目が白いものに変わっていく。

よし。成功。


『君っていかれているね?』


直球はヨシ子さん。


対人関係に必要な何かを犠牲にしながら俺は更なる猶予を得た。


___なるほど。


マダムの何が以前と違うのかわかった。

この場所だ。

パピヨンの支配人室という彼女の仕事場。

彼女を照らす照明の位置、部屋に炊かれた香の香り、部屋の大きさ天井の高さ、壁の材質から床の絨毯の材質まで全てが彼女のために計算し尽くされているのだ。

彼女の美しさを更に際立たせるために。


彼女が着ている絹でできた薄手のドレス。

ともすれば下着のように見えるその露出の多い装いも、彼女の仕事着なのだ。


自分の美貌で相手を籠絡するための娼婦としての職場と仕事着。

俺は今彼女の仕事場(テリトリー)の中にいるのだ。


自然と背中に冷たい汗が流れる。


このままでは負けるっ! 俺も籠絡されてしまうっ!

そして良いように利用されてしまうのだ!


……ならば仕方ない。更に色々なものを捨てる事になるが奥の手を出そう。

マダムと相対する時は思考を分散させ、読まれぬように常時発動している脳内セルフ会議(2話参照)。

今現在脳内で行われている会議は、おっぱいについての討論が7で真面目な討論が3だが、事ここに至ってはOP(おっぱい)ALL、オッパルで行くしかない!


「あの……ごめんなさいね?」


俺が決意を硬くし、拳も硬く握りしめていると、マダムから声がかかる。

その顔は申し訳なさそうな、心配そうな、なんとも複雑な表情だ。


「何か悲壮な覚悟を漂わせていたけど、今日は本当に相談したいことがあって来てもらったの」


む? 俺がここに来るように仕向けたことを隠さぬとは一体?


「相談ですか?」


本当に?


「じゃあ、なんでそんな服を?」


マダムがここで気合いを入れる意味を俺がわかっていると言う意味も込めて聞いてみる。


「キアーラちゃんが来るから、私も仕事服を見せようと思って。ほら、この前も着ていたその服。可愛かったから」


マダムが指し示すのはゴスロリ服。

返答になっているような無いような?


そういえば、俺がこの服をドルネオ父さんに見せて褒められた次の日、クレア母さんもなんか気合いが入った服を着ていたような??

お楽しみでしたね?


「じゃあ、この照明効果は?」


「一番この服にあう様に」


そういえばあの日、母さんもキャンドルで寝室をライトアップしていた様な?

お楽しみでしたね?


「このお香は?」


「キアーラちゃんがきっと緊張するだろうなと思って。リラックスできる香りなんですって」


そういえばry


じゃあ本当に他意なく、俺に見せるために?

頷くマダム。


「まさか俺を呼んだのも本当にトントンさんの相談の為?」


俺をここに呼び出す口実ではなく?


「そう。トントンの相談。トントンだけではないのだけれど」


俺の問いかけに再度頷くマダム。


……わっかんね〜。

なぜ相談する為に気合いが入るのか?

あれか? 俺に惚れてるのか?


『それは無いよ。無い。そう言うことじゃ無いんだよ?』


呆れ顔で言うルナだが、お前にはわかると言うのか。

そう問うとルナは深くため息をつき肩をすくめる。


なんだその処置無しみたいなリアクションは。


『はぁ〜』


何故だか無性に俺が悪い事をしているみたいに思えて来たので、この話はここまでとする。

……ルナのくせに生意気だな。


しかし、気になる事を言っていたな。

トントンさんだけではない?


「まさか従業員がみんな太ってしまったとか?」


俺は思い至った事を問うとマダムが眉をひそめる。

なんだ? なぜそんな表情を?


『はぁ〜。君が太ったなんて言うからだよ? 本当に女心をわかっていないね?』


なんだよもう! だっておっさんだもの!

傷つくぞ俺だって!

女心なんてわかりませんっ!


『今は君も女だろう?』


心は男です。そう言うのいけないんだぞ。

今の時代、多様性が云々かんぬんで差別だからな。


『異世界に来て時代って言われてもね?』


そりゃそうか。


「キアーラちゃんみたいに若い子だと気にしないかもしれないけど、大人になるとそういう(・・・・)言葉は言わないものなのよ?」


「ごめんなさい」


マダムの射るような視線に、ドルネオ父さんがクレア母さんの皺に言及した時と同じものを感じ即謝罪。

俺は無言の右フックを食らいたいくないんです。


「気をつけないと駄目よ?」


念を押されるとか、ガチ案件じゃないですか。ヤダー。

いつもと違う種類の笑っているけど笑っていない笑顔で言われて引きつる俺の笑顔。


その姿に溜飲を下げたのか、咳払いをしてマダムは話の続きを始める。


曰く、ここ最近何人もの従業員の子達が太っ、


「ん?」


マジで震えてきやがった。怖いです。


曰く、ここ最近何人もの従業員の子達が看過できない状態異常になり、更にトントンさんと同じく肌荒れや吹き出物ができ、他にはイライラしたり怠くなったりするとのこと。

時には腹痛を伴うこともあるらしい。


なんか腹痛とかまで来ると、医者の範疇では?

俺には解決できない様な気がするんだけど……。

そう言うとマダムが答えた。

「もちろんお医者様には見ていただいたわ。うちの店は色々あるから、お医者様に毎月来てもらっているの」


色々ね。まぁ、色々あるだろうけど、何気にそれってすごい事じゃないか?


「うちの娘たちは商品であるのと同時に家族だから」


俺が驚いたのを見てマダムがそういうが、その言葉には色々な意味が込められているんだろうな。

俺なんかでは計り知れないほどの意味が。

大したもんだよ。本当に。


「ふふふ」


俺が感心しているとマダムが笑う。

今度はなんじゃらほい?


「いえ、フレアが入れ込むのも分かると思って」


そう言ってまた笑う。


「い、入れ込むだなんて! な、なにを入れるつもりですか!」


あ、フレアさんいたの? あと普通にど直球の下ネタですね?

俺の後ろに立っていたフレアさんが突然喚くので驚いたが、ここはスルーする一択。


「お医者様はなんて?」


「病気の状態ではないらしいわ」


マダムもフレアさんをスルーして会話を続ける。

病気じゃないのか。

ん? 病気の状態ではない? 変な言い方だな。

気になったので聞いてみる。


「そう言う魔術があるの。病気かどうかが分かるらしいわ」


使える人が極少ないエリートさんの魔術らしい。

でもそれってお高いんでしょう?


「うちのお客様は身分の高い方も多いから」


だから大丈夫とおっしゃるマダム。


本当にお高いのはパピヨンでした!


まぁそれはともかく、病気じゃないとすると……。


「だいたい、そう言うのって生活習慣病みたいなものですからねぇ」


「生活習慣病?やっぱり病気なのかしら?」


病と言う言葉に眉をひそめるマダム。


「いや、病気というかなんというか。毎日の過ごし方で、その……皆さんがなっている状態になりやすいと言うか、恒常化すると病みたいなもんだよって言うか」


しまったな、そりゃ生活習慣病なんて言葉は前世でも近年できた言葉だろうし、ここには無いだろう。変なところで前世の知識をだしちゃったな。


「毎日の過ごし方……。寝たきりだと体が弱ったりするとかそう言う事かしら?」


流石に頭がキレる。わずかな情報から直ぐに理解なさる。


「そういうことです。なので何か分かるかもと思ってパピヨン(ここ)に来てみたんですけど……」


と、俺がパピヨンに来てみた理由をマダムに告げると、後ろでドアが激しく開けられる音がした。


「話は聞かせてもらったわ♪」


振り向くとそこにはトントンさん……って! なんて格好だ!


「トントン姐さん! 部屋以外では服を着てください!」


フレアさんが慌ててトントンさんに詰め寄る。


「あら、ちゃんと着てるわよ♪」


そういうトントンさんの格好は、着ていることに意味があるのか無いのか、ガーゼ一枚より薄いであろう薄衣(ネグリジェっていうのか?)を羽織り、下着はつけていない状態だ。

つまり丸見えちゃんだ。


「それは服を着ているうちに入りません! 下着もつけずに!」


「あら、下は履いているわ♪」


フレアさんの叱責もどこ吹く風のトントンさん。

薄衣をたくし上げてみせるが、本当に下を履いているかどうかはお腹があってよく見えない。


「トントン。盗み聞きは良く無いわよ?」


そしてマダムにも窘められる。


「もう、固い事を言わないでマダム♪」


頬に手を当てしなを作っているが、腰がどこだかわからないため成功していない。

マダムも呆れ顔だ。


「それよりも聞かせてもらったわ♪」


得意げに登場と同じセリフを言うトントンさん。


「毎日の過ごし方を見てもらうなら、お仕事風景も見てもらわなくっちゃね♪」


うなぁ? なにを言いだすんだこのお人は?!


「もちろん、お店の娘じゃないキアーラ本番は見せられないから、疑似体験ね♪」


本番って生々しいですね。

ん? 疑似体験?


「そう♪ キアーラちゃんがお客さん役で体験してもらうの♪」


ホワイ? なんでそうなるの?

あ! 準備ってこれか!


戦慄の内容を告げるトントンさん。

唖然とするフレアさん。

それも良いかもと言う顔のマダム。

逃げようにもトントンさんで隙間がない出口。


ピンチなのかチャンスなのか。

この日、胸中を渦巻く感情を俺はまだ知らない。




お読みいただき誠にありがとうございます!

下の★を灯して評価いただけるとやるきでます!

よろしくお願いいたします。


ちなみに次回は消されないために健全です。

KENZEN DEATH。

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